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2020年1月30日 (木)

【第613回】 「笑顔の集大成」T. Y. (英語)

 先日、本校バトントワリング部の演技発表会がありました。毎日昼休みも放課後もいっしょうけんめい練習する様子を見ていたのでどんな演技をしてくれるのだろうと楽しみにしていました。メンバーの皆さんが見せてくれた演技は躍動感にあふれたすばらしいもので、ふだんは見られない姿にびっくりしました。練習に疲れて眠たい日もあっただろうに、それでも授業中きちんとノートをとり、テストもしっかりがんばっていた3年生部員のみなさん、3年間お疲れ様でした。そして、とてもすてきな演技を見せてくれてありがとうございました。ところで、私の目をひいたのは演技だけではありません。部員の皆さんが着ていた素敵な衣装の数々です。これだけきれいな衣装を作るのはどれだけ大変だろうと感心せずにはいられませんでした。朝早くに子どもを学校に送り出し、仕事や家事に追われながら衣装を作ってくださったおうちの方の手厚いサポートがあったことでしょう。そして家族のサポートへ寄せた3年生の感謝のメッセージには目頭が熱くなりました。

 私の息子も去年高校野球を引退し、私の手元には彼が小5の頃から日記がわりに付けていたスコアブックの山が残りました。朝早く起きてお弁当の他にたくさんのおにぎりを作り、朝練のために早く息子を送り出すという生活から解放されて楽になりましたが、もうこのスコアブックに記録が刻まれることはないと思うと今も心にぽっかり穴が開いたようです。でもこのスコアブックを見ると、強風の中で大変だった試合や負けてくやしい思いをした試合、勝ち越しヒットを打って喜んだ試合、いろんな思い出がよみがえってきて、息子も自分もよく10年間がんばってきたなあという達成感を感じることができます。なにか1つのことをやり続けるということは大変なことです。最後の試合が終わって「やりきった」と言った息子の言葉に、ずっと応援してきてよかったと感じました。

 演技発表会の後のバトン部の皆さんの笑顔はきらきら輝いていました。この遊学館高校にはバトン部以外にも1つのことをずっと続けている人はたくさんいますね。社会に出てからはなにかひとつのことに打ち込む時間はなかなか取ることができません。部活でも勉強でもなにかひとつ打ち込めることを見つけて、高校を卒業するときに「やりきった」と笑顔の集大成を迎えることができるように、1日1日を大切に過ごしてください。もちろん周りからのサポートへの感謝は忘れずに。

2020年1月23日 (木)

【第612回】 「日本一のバトン部といふこと」T. Y. (国語)

 今年度からバトントワリング部の顧問に就任しました。
 1977年から始まる歴史ある部活動の顧問となることは、大変光栄なことであり、それと同時に大変重たいものだなと感じております。
 日本一に何度も輝いているこのチームに、自分のような素人に何ができるのだろうと毎日考えていました。どんな競技なのか、どんなスケジュールで動いているのかもわかりませんでしたが、最初に自分のチーム作りの核を決めなければ何もできないと思いました。この核を決めてしまえば、何か起こった時にはこの核に基づけばよいと考えました。
 「選手 ファースト、コーチ セカンド、保護者 サード」
 ここに顧問のポジションは入っていません。顧問はすべての下で、責任をとる立場であればよいと考えたのです。
 部活動の顧問というと、一番上に立っている、先頭で指揮をとり引っ張っていると思われる方が多いと思いますが、チームマネジメントを勉強されている方ならそれが間違っているとお判りでしょう。決して甘やかしているわけではありません、むしろチームにとっては本質的に厳しいことをしていると思います。
 そして、私がこの方法をとることができるのは、日本一のコーチ陣がいてくださるからできることです。
 昨年度、全国大会でグランプリをとり、今年度見事遊学バトン初の二連覇を達成しました。
 ここに私の力は全く関係ありません。上に記した選手、コーチ、保護者の皆様の賜物です。

 今年度ももう少しで終わりますが、私はまだ何もできていません。何もできていないというのは、私でなければできないことを何もできていません。つまりは、誰でもできることを、ただやっただけです。

 日本一のチームに見合う、顧問が私でなければならないという高みを目指して精進していきたいと思います。

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2020年1月16日 (木)

【第611回】 遊学講座 『危険物取扱資格』についてT. M. (理科)

 令和元年に開講した『危険物取扱資格』は、受講者27名から始まりました。
講義は90分の24回、開講したばかりで受講者は消防士・自動車整備士・調理師とさまざまな目標がある頑張りが感じられる生徒が多く、90分の長い講義は彼らなりに真剣に楽しく時間を過ごしています。
 この講座ではガソリンスタンドの責任者に必要な『乙4=乙種4類』を最終目標としていますが、初年度は丙種(ガソリン・灯油・軽油と限られた危険物)の合格を目標とし、資格を持つ喜びを感じられる講座になればと思っています。
 危険物取扱資格(丙種)は3つの項目で成り立っています。
1.危険物に関する法令(10問)
2.燃焼及び消火に関する基礎知識(5問)
3.危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(10問)
このすべての項目に60%以上正解することで合格します。
例えば、1の危険物に関する法令では

【第4類危険物を扱う製造所等において、提示板に表示しなければならない注意事項として正しいものは、次のうちどれか。

(1)取扱注意
(2)禁水
(3)火気注意
(4)火気厳禁 解答:4 】

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とガソリンスタンドで提示されている赤色の地で白色の文字で表示されている文字が頭に浮かべば正解です。普段見ているのに思い出せないという問題が多く専門用語もあるので一人で勉強すると大変な資格です。
 今年度は(一財)消防試験研究センターから試験監督に来てもらい、12月14日(土曜日)遊学講座内で試験を行い、21人が受験し7人が合格しました。
 来年度の遊学講座での目標は初年度よりも合格者を増やせるように、生徒の笑顔が増えるように頑張っていきたい。今回、合格できなかった生徒も危険物に関する知識が増え、雑学が多くなっていることに誇りを持ってほしい。合格する能力は無限大に各自で持っているので次もチャレンジしてくれたら嬉しい。資格は持っていても無駄にはならない。何かに頑張った証拠=証明だと私は思っています。
 遊学講座では多くの資格が取得できるチャンスがあるので見逃さないでほしい。

2020年1月 9日 (木)

【第610回】 「ひとりひとりが主人公」園下 真史 (数学)

 私は小学生低学年の頃、「この世界は自分の人生のために用意されたもので、自分はその世界の主人公である。」と考えていた節がある。父にこの話をしたら父も幼い頃は同じようなことを考えていたようなので、おそらく世の中皆子供の頃は自分を「主人公」とみなしているのだろう。
 私は中学生までは勉強も学年で上位だったし、背も高いからスポーツもそこそこできたし、運動会で団長も務めたので間違いなく主人公をしていたと思う。しかし、高校生になると勉強はついていけないし、体育祭の幹部に立候補しても「いや、お前はいらん」と言われるしで、私は「ああ、自分は所詮モブキャラに過ぎないのだな…。」と思ってしまった。要するに挫折を味わったわけである。
 そして現在、世の中を見渡してみると自分と同年代の人が富や名声を得てキラキラしている姿を見ると、「この人達は紛れもなく主人公をしているなあ、モブキャラの自分とは違うなあ。」と嫉妬してしまう自分がいる。しかし、彼らだってどこかで挫折を味わっているし、私と同じような感情を抱いたことはあるのだと思う。反対にツイッターやyoutubeなどで馬鹿なことをやっている人達は「主人公になりたいけど方法を間違えている人」なのだと思う。しかし現実では「ドラゴンクエスト」の主人公が民家のツボを割ったりタンスを勝手に開けるように何でもして良いわけではないのだ。
 私も他の主人公達を見習って自らをモブキャラと卑下することなく胸を張って自分の人生の主人公として人に恥じぬ物語を作っていきたい。

2020年1月 2日 (木)

【第609回】 「私立という選択」S. Y. (理科)

 令和になって、年が変わり、本校も令和2年度の入学試験を控えている今日。
 今年も多くの中学3年生が本校を受験することを期待しているところである。
 そこで受験生になる中学生には、是非、建学の精神というものを意識してもらいたいと、私立で教える立場としては考える。
 建学の精神とは、創設者の教育理念であり、想いであり、願いである。
 それぞれの私立学校には、それぞれの建学の精神があり、本校にもそれはある。
 『良妻賢母の育成』から『遊学精神の涵養』と時代の移ろいとともに、その理念は変化しているものの、本質的には変わっていないと私は思う。どちらも難しい言葉ではあるが、私は、その時代に合った人間を育成する=間に合う人を1人でも多く輩出するということではないかと解釈している(一個人の見解です)。ただ、この建学の精神をもとに現場で教育を実践するのは、今は亡き創設者ではなく、我々教職員であり、またその時に集う生徒自身なのである。ここにいる人たちがこの理念のもとに実践していくのが、私学の教育であり、私学の良さである。結果や実績には直接的には結び付かないものかもしれない。しかし、それこそが遊学館から巣立っていったときに、卒業生の心の中に残っているものであり、本校でしか得られなかったものということになる。血の通った建学の精神にできるかどうかは、今年卒業する本校3年生をはじめとする在校生、教職員、そして次に入学してくるであろう本校受験生の中学3年生、このすべての人たちが建学の精神を意識し、共有できているかどうかによると思う。
 本校を受験する中学3年生には私立という選択について、もう一度意識して建学の精神と向き合ってもらいたい。そして、遊学館でしか得ることができないものをともに探究できることを願っている。がんばれ!受験生!