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2012年12月20日 (木)

【第260回】 頑張れ受験生K. N. (数学)

気がついたら師走だ。もう今年も終わってしまう。

でも、年明け早々に、受験を控えている三年生がいる。
もう合格が決まった生徒は、受験生を応援しよう。
頑張れというだけが応援じゃない。勉強する環境を作ってあげることも応援だ。
春にはみんなで笑って卒業できるよう、最後の追い込みに力を注ごう。

とはいうものの、師走だ。今年1年振り返っておこうと思う。
印象に残っているのは、5月の日蝕、オリンピック、最後に選挙だろうか。

まずは、日蝕。

印象的だったのは、木漏れ日が三日月の形だったことだ。
昼間なのに薄暗く感じたのも不思議な体験だった。

次は、選挙。

これを書いているのは衆議院議員選挙の真っ最中で、いろいろ考えさせられることもあったのだけど、それとは別にふと思い出したことがある。

日本の「比例代表」の選挙で採用されている「ドント方式」はベルギーの数学者ドント氏が考えたものだ。数学の理論から来ているのだ。

「ドント方式」にはいろいろ批判もあるし、変えた方がいい部分もあるようだけど、今のところ、そんなに「不自然」な結果を生んではいないようだ。変えることを否定する気はないが、ルールを変えるときは、慎重な議論が必要だと思う。

また、選挙と数学に関して「アローの定理」と呼ばれる不思議な定理がある。
専門的になりすぎるので詳細は書けないけれども、一口に表現すれば
「適切な条件を仮定すると、個人の好みから集団の好みを決定する方法はない」
という定理だ。
雑に言って、選挙の結果が民意を反映しているとは言えないことがある、ということだ。

今回の選挙結果はどうだろう。

最後にオリンピック。

オリンピックで新記録が出る確率、もう少し正確には、
「タイ記録を含む最高記録が出る回数の期待値」は
1+1/2+1/3+1/4+1/5+・・・
で計算できる。
この和は「調和級数」と呼ばれ、無限大に発散することが知られている。つまり、オリンピックでの最高記録は永遠に出続けるのだ。
人類の運動能力が向上しないと仮定しても。

ちょっと不思議だ。

ところで、来年は 2013 年。現れる数字が全部異なる。1987年以来、25年振りのことだ。なんだか、すごいことのような気がする。でも本当に「すごいこと」なのかどうかは確率を計算してみないとわからない。
この場合の確率はどうやって計算すればよいだろう?
僕は答えを知らない。

さてさて、来年はどんな年になるだろう。