【第558回】 「制服」中村 ゆかり (国語)
先日、某TV局の開局記念番組を目にする機会があった。2018年に至るまでの時代の変遷が記録された画像が流された中に、ほんの一コマだが、一瞬で分かる本校のセーラー服が映った。はじける笑顔で街を歩いている女子校時代の生徒の様子は、見ている方にもさわやかな印象を与えるものであった。
本校のセーラー服は、太い線の内側に細い線と二本の白い線が襟を縁取るように並んでいる。母子線(おやこせん)と呼ばれ、太い方が母を、細い方が子供を表している。また太い線は女性の忍耐強さ、細い線は繊細さと優しさを表していて、二つの意味を持つ。スカートの襞(ひだ)も一般的なものとは異なり、その向きが同じ方向に一周するのではなく、前に中心が来るように寄せられている。私自身の母校はブレザーにボックススカートであったため遊学館高校に着任した当初は、高校でのセーラー服が逆に新鮮でもあった。
同様に雪の結晶の中に白梅をあしらった校章もその「いわれ」を知ると、創設者の生徒に対する溢れる慈しみの思いが伝わってくる。遊学館高校として共学になってブレザースタイルも導入されたものの、歴史ある思いのこもったセーラー服は現在でも、多くの女子生徒が選択している。
平成もまもなく終わりを迎える。時代の流れとともに防寒として、指定のセーターを着用しているが、式典等では正装になる。生徒には「正装」ということの意味を改めて考えてもらいたい。時代は変わっても、受け継いでいくものは厳粛に受け止めていかなければならない。冒頭の女子校時代の生徒のように、ブレザー、セーラー共に制服を「着る」のではなく「着こなせる」生徒であってほしい。