【第869回】「能登半島地震」Y. H. (英語)
2024年1月1日 16時10分前、「揺れてる」 最初はいつもの地震だと思った。でも揺れがなかなか止まらない。
テーブルには早めの夕食の準備で、おせち料理やお雑煮が並べられていた。揺れがどんどんひどくなり、慌ててストーブの火を消した。その瞬間(16時10分)、ドーンという激しい地震に襲われた。家全体が円を描くように揺れテーブルから料理が落ちていく。私たちはすかさずテーブルの下に潜り込んだがおさまらない、慌てて家の外に出ようとしたが、玄関の階段が崩れていて、外に出るのも大変だった。
しばらくすると、市役所から「大津波のおそれがあるので、ニュースを聞いていないで今すぐに高台に避難して下さい。」という警報が流れた。私たちはなりふり構わず、車に乗り込み高台に向かった。すでに多くの車が行列になっており、なかなか前に進まない苛立ちと不安でいっぱいだったが、ようやく安心できるくらいの所まで上ってきた。
4時間ぐらいそこで留まっていたが、大津波の心配も解除され一旦家の様子を見るのに戻り、その日は家に入ることもできず、家の前で車中泊をした。
あれから1年、家族を失った人、負傷した人、家が倒壊した人、本当に多くの人々が辛く、悲しい思いをした日々でした。
2025年1月1日、あの恐怖にみまわれた16時10分が近づいてきたとき、時間を刻む自分がいた。「夕食の準備をしてみんなでお正月料理を楽しむはずだったのに、、、、」 何かやる瀬ない思いがこみ上げてきたと同時に、今なにも起きていないこの瞬間に安堵した。
復興が進まず、まだ道半ばの状態で不便な生活を送っている人が本当にたくさんいます。今後、今までの日常生活が戻るまでに何年かかるか分からない状況ではありますが、この美しい能登半島の景色、美味しい海のもの、山のものを守っていけるように、皆が一つになっていきたいですね。私も少しでも携われるように頑張ります。
この悲惨な経験を通して、人生の厳しさを目の当たりにしました。しかし、前を向いて一つずつその山積みの問題に取り組むことの大切さも学びました。
『人生で試練に直面することは避けられないが、困難の中には 《 ひかり 》 が潜んでいて、人々のチームワークと協力があれば、素晴らしいことが達成できると信じています。』