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2022年10月13日 (木)

【第751回】「個性とコミュニケーション」Ko. M. (英語)

 本年度より本校で英語科の授業を担当することになりました。私は社会人を経験しています。以前はツアーコンダクターとして世界各地を飛び回っておりました。当時の仕事は、お客様に外国の良さを伝え、満足してもらうことが重たる使命でした。今はそのことがとても懐かしく感じます。特に印象深かったことは、訪ねた国々にて、日本との違いを多く発見したことでした。単に言語が違うということだけではありません。実は、根本的にものの考え方が違うということでした。それにより、時には不便や違和感を覚えたり、時にはなるほどと感心して憧れたりもしました。そして、次第に日本との違いを楽しむようになりました。例えば、電車やバスの中での携帯電話での通話は、他人の迷惑になります。だから、日本では禁止されています。しかし、外国ではどの国でも禁止されていません。また、ゲームをする時はイヤフォンを使わずにスピーカーの音を漏らしている人もいます。このことから日本人は神経質なのかと思ってしまいます。もう一つ例を挙げると、教育の考え方もかなり違っています。欧米では、個性を大切にするという考え方が浸透しています。以前、修学旅行の引率でロンドンに行った時のことです。現地の観光ガイドさんは、バスの中で自己紹介の後、次のことを言いました。「ヨーロッパの教育は、日本とは違いますよ。個性を伸ばす教育なのですよ。だからみんなが持っている唯一の個性を大切にしましょう。」でした。その時、それを聞いた生徒も先生も驚いて目をパチパチさせていました。そのガイドさんが言いたかったことは、金太郎飴のような人間にならないでほしいということでした。みんなの顔が違うのと同様、個性も違って当然。興味のあるものを発見し、そのことについて、どんどん腕を磨いていきましょうということだったと私は認識しました。ヨーロッパでは個人主義が基本です。そのため、個性と個性がぶつかり合うことが心配されます。しかし、みんなが違うからこそ、他人を尊重することも大切になります。他人が自分と違うことで差別につながるのではなく、お互いを認め合うことが必要だということです。そこで大切なのがコミュニケーションなのです。私は、前職の経験を通じて外国人とのコミュニケーションの大切さを痛感しました。日本人だからと言って差別されたこと、反対に日本人だから信頼されたこと、でも最終的にはその個人の人柄なのだと理解しました。これらの経験は、ほとんどが失敗の連続でしたが、とても有意義だったと思います。コミュニケーションを深めることによって、人との距離がより近くなることは、私にとって、この上ない喜びでもありました。いろいろな人に話しかけるのは勇気が必要です。しかし、自分と全く違う見方や考え方を発見することができるのです。このことで自分の視野が広がることもあるのです。私は、この違いを発見した瞬間がとても好きでした。
 現在の私の生活は、遊学館高校の生徒や先生方と多くの時間を共有しております。毎日が新しい発見の連続です。もちろん、生徒から学ぶこともたくさんあります。なかでも、目標に向かって全力で打ち込んでいる姿はとても輝いて見えます。遊学生のみなさん、どうか自分の個性を大切にしてください。そして、是非とも自分とは全く違う「いろいろな人」や「外国人」にも興味や関心を持って、優しく思いやりのあるコミュニケーションを目指してください。