【第748回】「テスト効果」K. N. (数学)
テストなんてしなければいいのに、と誰もが思う。
テストを受けて、あれができない、これがだめ、あいつより点数が低い、と言われるのはいやだ。点数のよい「あいつ」がなんか上から目線でものを言ってくるのも腹がたつ。
白紙の答案を提出すると、「何か書け。そうしたら合っているかもしれない」と言われたりする。そんなこと言われても、書いて正解になったためしはない。
テストはないほうがいい・・・といいたいのだが。
「テスト効果」という言葉がある。「テストをすることによって記憶の定着が進む効果」のことである。単に、テストをすればいい、というのではなく、テストを行うことにより、「思い出す」とか「考える」という作業が重要なことであるようだ。
教師の側からすれば、テストをする理由は、
生徒の理解度を測るため、授業のレベルが生徒とあっているか調べるため、成績をつけるため、といろいろである。
でも、最大の理由は、「記憶の定着のため」である。
実際、2006年にアメリカで行われたある調査によると、
ある科学的な文章を読んだ学生のうち、単純にテキストを再読したグループよりも、テキストを一度読んだ後にテストを行ったグループの方が、二日後・一週間後に覚えている量が多かったそうだ。教科書や資料を何度も読み返すよりも、「テストして思い出す」といった作業をするほうが記憶はより長く定着するらしい。
習ったことを、日常生活や仕事で使うために、ちゃんと覚えなければならない。だから、記憶の定着のため、テストをする。
これがテストをする本当の目的である。
そんなわけで、今日も小テストを実施する。
明日もたぶん、する。
そして、採点に追われるのである。