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2015年6月 4日 (木)

【第381回】 『やっとわかった大切なこと』尾谷 力 (地歴・公民)

今回は、父の話をさせてください。私の父は、今年の二月に亡くなりました。 具合の悪いことは知っていましたが、入院することもなくお酒やたばこを楽しむ毎日を送っていたので、こんなに早く亡くなるとは思ってもいませんでした。何一つ親孝行をしないまま最後の別れとなりました。

父は高校卒業後、夢を追いかけ上京しました。帰郷後は教職に就き、自身の夢を生徒たちに託し共に歩む(走る)人生を送りました。多くの教え子に囲まれ充実した人生だったと思いますが、そこで私の人生とも親子以上に大きく重なることになりました。私の高校時代の部活動の監督が父だったのです。 当時を振り返ると、厳しかった父に仲間の二倍も三倍も殴られて納得がいかず苦しんだ時期もありました。しかし、大学卒業後自分と同じ人生を歩むことを決めた私の気持ちを最初に理解してくれたのは父でした。それからは、全てのノウハウ、全ての人脈、そして出来得る限りの協力を与えてくれました。 最近は、「生徒を怒るなよ」が口癖で、今年の年末、「選手がいちばん大切、帰ってこんでいいから選手についておいてやれ」が最後にくれたアドバイスでした。

生徒の皆さん、高校生時代は保護者の方の存在が当たり前で過ぎて、感謝とかありがたいとか分かりにくくなる時もあると思います。保護者の方がどれほど皆さんのことを心配しているのかを気づくことも難しいかもしれません。実は私もそうでした。しかし、間違いなく皆さんの一番の味方は保護者の方です。 そこで生徒の皆さんに提案です。保護者の方に皆さんの思いを伝えてみてください。保護者の方の話を聞いてみてください。 きっと皆さんの人生が色鮮やかになるはずです。もし悩んでいることがあるなら、解決の糸口を掴めるはずです。なぜなら、保護者の方は、みなさんよりも人生経験が豊富で何よりも皆さんのことを考えているからです。

最後に一言。父であり師でもある父さん、今までありがとう。越えられるよう頑張ってみます。