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2021年4月22日 (木)

【第677回】 「声の記憶」嶋田 司 (数学)

 人の声や話し方が記憶と強く結び付いていると思った出来事が二つある。
 一つは会議のためある公立高校に行ったときの出来事である。会場となった高校の校長先生の挨拶を聞いた瞬間,高校3年生の現代文の授業風景が頭に浮かんだ。校長先生は私が高校時代に習った国語の先生だった。男性ながら優しい声で,話し方にも特徴があり大変聴きやすい授業だった。校長先生の挨拶を聞きながら20年以上も前の授業を思い返していた。
 もう一つは逆に気付いてもらった出来事である。あるお店のカウンターで食事を済ませ会計をしようとしたとき,店主から「S先生ですよね。」と声を掛けられた。残念ながら,店主の顔を見てもまったく思い出せなかった。話を聞くと,私が初めて非常勤講師として勤めた公立高校で教えた生徒であることが分かった。30年以上も前の週4時間ほどの数学の非常勤講師をよく覚えていたなと驚いたが,声で分かったそうだ。
 自分が意識していない聴覚情報が脳内にまだまだ埋もれていそうです。

2017年2月13日 (月)

【第464回】 素晴らしかった舞台発表嶋田 司 (数学)

 2月4日(土)「遊学講座閉講式」での成果披露において、アカペラ講座、フラダンス講座、カポエイラ講座の舞台発表があった。どの発表も素晴らしいものとなった。
 「遊学講座」とは、教養、資格取得、受験対策、スポーツ、芸術、実習などの講座から1つ選び、1年間通して(土曜日実施 全24回)受講する本校独自のプログラムである。
中には、校外の専門の講師の方が教えてくださる講座や、校外の施設を利用する講座があり、平日の授業とは全く異なるものである。
 今年度の閉講式は、本校体育館改築工事のため、金沢歌劇座で行われた。発表する生徒は、スポットライトを浴び、1300人もの生徒の前で、歌や演舞を披露することになった。私は人前で何かを披露するということは特に苦手としているが、生徒たちは実に堂々と、そして生き生きと発表しており、見ていても楽しかった。生徒たちは緊張しただろうが、歌劇座舞台での発表は気持ちよかったのではないかと思う。
 舞台という場所は人を変えるのかもしれないが、普段の学校とは違う遊学生の一面を見ることができ嬉しく思えた。

2015年10月 1日 (木)

【第396回】 根拠のない自信嶋田 司 (数学)

 夏に懐かしい友人と20年振りに再会した。彼は1年前に会社を立ち上げ,経営者になっていた。1年後にこういう会社になってほしいとビジョンをえがき,目標に向かって一つひとつの事に誠心誠意尽くせばきっとうまくいくと,燃えていた。想像できないほどの不安と様々なプレッシャーがある中,彼は「確固たる自信はないが,根拠のない自信はある。」と話してくれた。彼が会社を立ち上げるまで,大変な苦労を重ねてきたのだろう。その努力と行動力が根拠のない自信を生んでいるのだと思った。
 根拠のない自信をもった人間は強いかもしれない。不安であれこれ考え込んで行動に迷いが生じるよりも,根拠のない自信でも自信をもった方が迷いなく行動に集中できる。受験勉強にも同じことが言える。少々失礼だが,過去にも根拠のない自信をもって受験勉強に臨んだ生徒が国公立大学に合格している。その生徒は,自分は○○大学に合格するという明確なビジョンをえがき,自分は成功すると信じ,ひたすら勉強に励んだ。
 受験生の諸君,ここからが勝負だ。根拠がなくても,やればなんとかなる,合格できる,と信じて勉強の集中してもらいたい。やるしかないのだ。

2013年1月17日 (木)

【第263回】 「26年振りの同窓会」嶋田 司 (数学)

 今年の正月に高校の同窓会に出席した。高校卒業して以来、参加したのは初めてである。同期400人程いる中、80数名の参加があった。26年振りともなると、誰なのか判断つくまで暫く時間がかかる。お互いの顔を見ながら、少しの間をおいて「お~久しぶり!!」となる。参加者全員が、卒業アルバムの個人写真を載せたネームプレートを首から下げ、その写真を見ながら昔話で盛り上がっていた。

 この同窓会には先生方も出席され、私の部活動の顧問であり3年次担任でもあったM先生も出席されていた。テニスコートに姿を現すだけで、部活動の雰囲気を一変させる厳しい先生だった。そのM先生も70歳になられたそうだ。近所の方とグランドゴルフに行っている、という話には年齢を感じたが、話し方や立っている姿は当時と驚くほど変わっていなかった。10年、20年後の自分は想像もできないが、せめて雰囲気は変わってないと思われるようにしたいものである。

2011年9月 8日 (木)

【第198回】 2学期が始まった嶋田 司 (数学)

 夏休みも終わり、9月1日は2学期始業式。今年度は、9月2日、3日に本校学園祭が開催され、いきなりイベント事からのスタートである。

 さて、我1年8組のクラス企画はお化け屋敷・・・経験上、結構、大変な企画である。あまり深入りすると全部任されそうなので、大量に必要となる段ボールだけは集めた。後は、生徒任せ。

 9月1日午後から学園祭準備となり、段ボールで窓を覆い、机と段ボールで通路を作るはずも、全く準備をしていない我クラスは、なかなか始まらない。企画力なし、計画性なし、協力性なし、このクラス。そんなクラスも火が付いたのか、企画する者、買い出しに行く者、ポスターを作成する者が現れ、なんとか形になる。そして、学園祭の2日間、このお化け屋敷にも何故か行列ができるほどの盛況ぶりであった。

 お化け屋敷は、最後の後片付けがまた大変である。だいたい生徒は、後片付けまで考えてお化け屋敷を作ってないから気が重くなる。閉会式が終わり、さぁ後片付け。ダラダラ片付けているのを叱ってくるか、と思い教室に行くと、既に撤去作業が進行中。しかも、全員が、割と手際よく。珍しく、このクラスに感心した。

 4月から新しい環境に馴染もう、新たな友人関係を築こうと高校生活を送ってきた1年生にとって、学園祭クラス企画は初めてクラスが一つになれた行事であったとあらためて感じた。そして、今週から授業が始まり、2学期が始まった。

いつもの学校生活が始まった9月5日のNHK「特集ドキュメンタリー」は、3月11日の大津波で同級生7人を亡くした中学生たちの半年を追った番組でした。遺体安置所に何度も出向き、亡くなった友人全員の顔を確認した女子生徒がいます。エースを亡くし、代わりに投手を務める、ずっとバッテリーを組んでいた男子生徒がいます。中学生たちからは、辛く悲しい経験を胸に刻みながら、生きていこうとする力強さを感じました。与えられた命や生きるということについて、考えさせられました。あらためて、今回の大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

2010年3月17日 (水)

【第125回】卒業生に送った言葉嶋田 司 (数学)

 私が中学生だった頃、担任の先生が最後のホームルームで、「自分がある人を好き(恋愛とかでなく)だと思えば、その相手も自分のことを好きになってくれる。逆に、自分がある人を嫌いだと思えば、その相手も自分のことを嫌いになる。」という話をしてくれた。

この話を聞いて、妙に納得した記憶がある。そして、教員となった今、改めて大切なことだと感じる。

 今年も、3年生を送る言葉として、クラスでこの話をさせていただきました。加藤先生ありがとうございます。

2009年5月20日 (水)

【第86回】新校舎嶋田 司 (数学)

 ゴールデンウィーク前後になると、今年3月卒業したばかりの生徒たちが学校に遊びにやってくる。今年の場合は、近況報告というよりも、新校舎の見学といったところか。

昨年度、彼らは新校舎の工事のため、狭い校舎での学校生活を送り、自分たちが卒業すると同時に新校舎ができあがるということで、事ある度に恨み節を聞かされた。実際に、可哀想な思いをさせたと思っている。

 新校舎を見学し、さぞや文句を言われると覚悟していたが、案外そうでもないようである。口では「新校舎いいなぁ」とは言うが、羨ましくてしかたがないという感じではない。高校生活は、校舎が新しいか古いかでなく、多くの友人と時間・場所を共有し、3年間ともに過ごしてきたこと自体が何よりも大切だということだろう。そう思うと、シンボル的な存在であった円筒校舎が取り壊されたことは、多くの卒業生の方が寂しい思いをされていると思うと同時に、第1学館にも多くの卒業生の思い出が詰まっていることを忘れず、大切にしていきたいと思う。

 さて、新校舎で高校生活を送る生徒諸君、新校舎を思い出深いものにするのは、君たち自身である。勉強・部活動に励み、様々な活動を通して、かけがえのない時間を多くの友人と過ごしてほしい。

2008年8月20日 (水)

【第51回】7年振りの再会嶋田 司 (数学)

 今年の正月、7年前の卒業生の同窓会に出席した。30名ほどが集まったから、クラスのほとんどが参加したことになる。正直に言うと、このクラスの同窓会は想像していなかった。

 このクラスは理系クラスで、私は彼らの2,3年次を受けもった。クラス経営には、色々苦労が絶えず、まとめることが難しかった。私が未熟で、彼らに迷惑をかけたことも事実である。しかし、一人ひとりは個性的で、魅力的であったことは間違いなく、忘れられないクラスの一つだ。彼らが卒業式するとき、「このクラスで集まることは、ないだろうな」というのが正直な感想だった。

 7年振りに会った生徒は、誰もがたくましく見えた。仕事の話、結婚する話、それぞれの近況報告に話を弾ませ、そして、高校時代の思い出話になっていく。本当に、楽しい時間だった。何より、みんなが酒を飲み交わしながら、賑やかに話をしている姿が嬉しかった。高校は、新たな出会い、新たな環境での勉強・部活動、そして進路決定…と凝縮された3年間だ。この3年間を同じ空間で過ごした者同士は、お互いにかけがえのない存在なのだと感じた。

 今は夏休み。しばらくすると2学期が始まり、3年生はいよいよ受験である。3年生は、同じ不安や悩みを抱えながら学校生活を送る。これを乗り越えたとき、さらなる絆で結ばれるのだと思う。

2007年10月17日 (水)

【第10回】「鈍感力」?嶋田 司 (数学)

私が小学5年生だった頃(28年前?!)の算数の問題です。

【問題】
 校庭の砂場の半分を6年生が使い、残りの1/3を5年生が使います。
 5年生が使う砂場は全体の何分のいくつでしょう。
 (答え)1/2 × 1/3 = 1/6

 私は最後まで分らず、放課後も残されましたが、やっぱり分らず。
先生の説明を聞いても、なぜ掛けるのか、まったく理解できませんでした。
結局、この疑問が解決できたのは、高校生になってからです。
分数の掛け算の意味が分らなくても、なんとかなるものです。

 理解できないことでも、時間がたって分かるようになることはよくあることです。1つのつまずきで、嫌いになってしまうのはもったいない! 
 遊学館の中には、分らないということに過敏になり過ぎて、数学を避けてしまっている生徒がいます。中学校時代、数学が分らなくても、そのことはとりあえず横に置いて、勉強を続けよう。そうすれば、中学校の数学も含めて分かる日がきっと来るはず。