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2020年3月26日 (木)

【第621回】 「敬礼」中川 光雄 (保健体育)

 私が顧問をしている野球部から今年度32名の部員が巣立っていった。この中に、私が将来なりたかった職業のひとつである[警察官]を目指した部員が3人もいた。彼らは甲子園で活躍することを目標に、野球の練習に打ち込んでいたが、残念ながら3人ともレギュラーには一度もなれず、公式戦でプレーすることはできなかった。しかし、チームの勝利の為にレギュラー陣と競争する傍ら、これからの野球部を背負っていく新入生の練習を手伝ってくれる心優しい誠実な部員であった。
 彼らが進路実現のための本格的な勉強を始めたのは、3年の夏、星稜に敗れて高校野球が終わってからだろう。この時の学力では、「警察官採用試験」の合格は正直厳しいと思っていた。3人にも不合格だった時のことも考えておきなさいと何度も話をしていた。ところがこの3人は、私の予想を大きく覆す素晴らしい結果を残すまでに力をつけていった。夏休みは起きている時間のほとんどを勉強に費やした。2学期に入ると学校では勉強、放課後は体力試験のためにトレーニングを続けた。野球部の朝礼で毎日顔を合わせていたが、日に日に顔つきが凛々しく変わっていくのがわかった。採用試験合格という目標に向かって勉強に打ち込む姿の中に、野球の練習の中で培った粘り強さと不屈の精神が表れていた。しかし、合格のために勉強しているのは彼らだけでなく、警察官になりたい全国の人たちも同じことである。合格発表前日までは3人のうち1人だけでも受かってくれたらと願っていた。合格発表の日、私は期待より不安が多く、不合格だった時のフォローの言葉ばかり考えていた。

 結果はなんと3人全員合格だった。

 私は卒業式の日、これからそれぞれの場所での活躍を祈念し、部員全員にかたい握手をさせてもらった。この3人にも力をこめて握手した。

 〔敬礼〕とは「相手に敬意を表明するために礼をすること」という意味で、下位の者が上位の者に対して行うのが一般的だそうだ。これから3人は警察学校へ入学し、約1年間の研修期間に入る。3人がこれまでと同様に真摯に取り組む姿が想像できる。1年後、社会に出て警察官になる彼らに出会った時は握手でなく、〔敬礼〕させていただく。

 世のため、人のために働く卒業生へ〔敬礼〕。

2020年3月19日 (木)

【第620回】 「見守り隊。見守られ隊?」~お父ちゃん!生存確認~寺山 いずみ (養護)

 令和2年3月6日(金)、通勤する私の視野から、中学生・小学生が消えた。少し前に高校生も消えた。コロナウイルス感染対策のため、学校が臨時休校となったためです。お父ちゃんの生存確認が、出来ない・・・・。
 実家の父は、私の母校の犀桜小学校(旧 新竪町小学校)の小学生の登・下校時に「見守り隊」をしています。毎朝、鱗町交差点の地下道の傍に立っているので、私は通勤時に、車の窓を開けて手を振り、父の姿を確認するのが日課になっています。
 父は、20年以上「見守り隊」を続けています。父の活動を何気なく見てきましたが、最近、同級生に「お父さんには、子どもたちがお世話になったの」とか、実家の近所で「お父さん、お元気?息子は中学生になりました」とか、犀桜小学校出身の本校の生徒に「えっ!娘さん?お父さんによろしく!」とか言われて、父が毎日続けてきたことを、周囲の人から聞くことがあり、うれしく思っています。
 そんな父も89歳です。見守り隊?どっちが?いいや!見守られ隊?とも思います。が、今年度になって、父が「朝、遊学館の生徒が、お父さんに挨拶するんだよ!」と、嬉しそうに話をします。本校の男子卓球部の生徒が朝の見守り隊に加わりました。生徒たちも始めの頃はぎこちない様子でしたが、今は、見守り隊の方と話をしたり、小学生とタッチをしたり朝の和やかな様子が見られます。犀桜小学校から、「見守りをありがとう。」「元気なあいさつをありがとう。」と、素敵なお礼の言葉の寄せ書きが遊学館に届いていました。
 見守り隊のお年寄りと小学生の朝に、高校生が加わり、見守られ隊?の家族としては心強いかぎりです。ありがとうございます。朝、卓球部の生徒と共に、小学生と父を温かく見守って下さる、本校の先生方にも感謝です。
 4月!新学期には、コロナウイルスも終息し、元気に地域の日常が戻ってくることを心から祈ります。そして、朝、お父ちゃんの生存確認をし、男子卓球部の生徒たちの爽やかな姿を見ながら元気に登校したいと思います。

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2020年3月12日 (木)

【第619回】 「休校中の校内にて」土谷 悠成 (地歴・公民)

 コロナウィルスによる感染拡大に伴い、遊学館高等学校においても、在校生は3月2日より休校となっております。本来ならば3日から2年生は東京隊・九州隊に別れての修学旅行、16日は遊学生の主張コンクール・後期生徒総会、17日・18日には1・2年生の球技大会、19日は終業式・離任式・表彰伝達が予定されておりました。これらの行事がすべて中止となり、当然ながら授業・部活動も実施することが出来なくなりました。
 休校期間中、教職員は生徒の自宅学習のための課題準備、年度末における成績処理、来年度に向けての教科会、校内の清掃、教材研究などを行っております。
 コロナウィルスの感染拡大が連日報道されており、事態の収束が不透明ななか、教職員一同、生徒たちの元気な姿が一日も早く戻ってくることを心より願っております。

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静けさが漂うバスケットボールコート
先生方が各教室の清掃を行っている様子
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第二学館2階 第二学館3階
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第二学館4階  

2020年3月 5日 (木)

【第618回】 「確かな情報と確かな判断」T. T. (理科)

 2月に日本を含むたくさんの国で問題となり、現在も混乱が続いている新型コロナウイルスについて皆さんはどう考えていますか?騒ぎすぎだと思いますか、それともそれほど深刻なことだから妥当だと思いますか?私は少し不安をあおりすぎではないかと考えています。
 日本国内だけで見ても、マスクが売り切れ、トイレットペーパーなどの日用品も売り切れ、医療機関等などでもマスクが手に入らない現状があります。その状況を利用し、高額でマスクを売りつけたり、スポーツジムなどでは置いてある除菌用アルコールを盗んで持って帰るなどの犯罪も発生してしまっています。本当に必要な時に必要な場所に物が提供できない現状や犯罪が起きてしまうくらいの混乱は、報道機関の情報やネットの書き込みによる情報が影響してると思います。
 現在は携帯やパソコンでいつでもどこでも調べたいことが調べられる世の中になりました。インスタグラムなどのSNS関連での情報もあり、数えきれないほどの情報が溢れています。この情報をそのまま鵜呑みにしていませんか?新型コロナウイルスの情報に限ったことではないですが、不用意にひとの不安をあおってくる人や嘘でひとを利用しようとしてくる人など、間違った情報や心無い人が残念ですが存在しています。そのような情報や人に引っかからないように、自分自身でしっかりと考え、いくつもの情報を寄せ集め、本当に信憑性のある内容なのかを見定めて行動することが必要だと思います。自分の間違った情報や言動で他人を傷つけたり振り回したりしているかもしれません。
 確かな情報をもとに冷静にものごとを考え確かな判断をしてください。