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2019年11月28日 (木)

【第605回】 「ホーム」S. R. (国語)

 初めてのブログということで何を書こうかと考えた時に、自分の専攻である中古文学について、授業で笑った出来事、ラッパーが教えてくれる漢詩の話、大好きな女子バレーボール部の話と、いろいろお伝えしたいことがあったのですが、今回は「ホーム」について書きます。

 私の「ホーム」は、ここです。

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 といっても、どこ?という感じだと思うのですが、ここは「カハク」(国立科学博物館)です。その辺に転がっているものと見分けがつかないような石がたくさん展示してある部屋、大小さまざまなアンモナイトが展示してある部屋など、派手ではないですが何時間でも見ていられるような展示がある博物館です。大学時代はいわゆる「年パス」を買って、何時間もぼーっとしていたこともあるくらい、大好きな場所です。将来のことや人間関係に悩んだ時にここにきて、展示や展示を楽しむ人たちを眺めるのが私のルーティンでした。

 遊学館にきて、卒業生がよく遊びにきていることに驚きました。私自身、卒業してから母校に行こうと思ったことが一度もなく、自分が高校生の時にも卒業生が学校に来ているのも見たことがなかったからです。遊学館に遊びにきてくれる卒業生にとって遊学館は「ホーム」の一つなのだと思います。嬉しいことがあった時や悩んだ時、誰かに話したい時に、あの頃と変わらない場所に、変わらない笑顔で、自分の話を聞いてくれる人がいるというのは、みなさんにとって大きな財産だと思います。

 私も、みなさんにとって、人生の節目節目に、報告したい、会いたいと思ってもらえるような先生になれるよう、日々がんばります。

2019年11月21日 (木)

【第604回】 明るく楽しい校風S. T. (3年13組担任 数学)

 遊学館の体験入学改め、オープンスクールに参加したことのある生徒は終わり際のアンケートで、「遊学館にどのような印象をもっていますか?」という質問に回答したはずです。
 毎年、その中で最も多い回答が「明るく楽しい校風」です。

 では、「楽しい」とは一体どういう状態なのでしょうか。他人から与えられるものなのでしょうか。
 中にはそういうものもあるでしょうが、やはり本当に楽しいという状態は自分から求めていかない限りやって来ない気がします。
 私がここ遊学館に赴任した際、新任式で当時の全校生徒に「“楽”をしていては“楽しい”ことはできない」と言った覚えがあります。その考えは今も変わっていません。
 「できない」を「できた」に、「できた」を「できる」に一つ一つ改善して求めていくことで本当に「楽しい」状態は生まれてくると私は思います。
 それを成し遂げるには、これから自分のやろうとすることに向き合って努力するしかない。
 だから楽をしていては楽しくならない。

 私は常にこのブログで「失敗から学ぶ」ということを言い続けています。
 私自身、沢山の失敗をしてきています。多分これからも失敗は起きるでしょう。
 しかし、その失敗に嫌でも向き合ってみると上手くいくことが多いです。
 上手くいけば当然ながら楽しくなる。
 「失敗」や「できない」は克服することで「楽しい」に繋がるスタート地点になるのではないでしょうか。

 余談ですが、私はこの夏にけん玉を始めました。
  Instagramで#kendamaで検索すると85万件以上の投稿があり、そのほとんどが海外からの投稿で、現在世界的に楽しまれています。
 日本の伝統的な木のおもちゃが海外に普及し、新たな可能性を携えて日本に戻ってきたと言えるでしょう。
 投げる、紐を用いて回す、玉を上から突き刺すなどダイナミックなトリックの数々に私は惹かれ、時間のある際に練習しています。
 始めて4ヶ月程経ち、ある程度上達してきましたが、まだまだ多くのトリックは決めることができません。
 しかし、「できない」と向き合って「できた」にするための努力は非常に楽しい。
 そして、「できた」ときの達成感、更に「できる」高揚感と優越感。
 すべて向き合って努力したから得られる自分だけのものです。
 これは勉強でもスポーツでも全てに当てはまることだと思います。
 やれば、やった分だけ楽しくなる。楽して傍観しているだけでは決して楽しいものはうまれない。

 皆さんには「できない」や「失敗」と真正面から向かい合って「明るく楽しい校風」をイメージだけでなく、自ら求め、動いて、心底そう思える高校にして欲しいなと思います。
 私もそれをできる限りサポートしていきたいと思います。

 最後に、けん玉やりたくなった人は声かけてください。貸し出し用もあるので一緒にやりましょう。

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2019年11月14日 (木)

【第603回】 「闘争と逃走」K. C. (理科)

 大勢の前で発表をするとき、緊張して、たくさんの手汗をかいたり心臓がドキドキしたりします。これは動物がもつ本能で、闘争・逃走反応(Fight or Flight response)が起こるからです。
 この反応には自律神経の交感神経が関わっています。自律神経は自分の意思とは無関係に働く神経系で、消化管運動や心臓の拍動の調節などを行なってくれています。交感神経は激しい活動や興奮しているとき、副交感神経は眠たいときやリラックスしているときに働きます。
 動物は危機的状況において、闘うか逃げるかという方法で生き延びてきたと言われています。
 たとえば一頭のライオンが敵意を持った100頭のライオンに囲まれているとします。この状況で一頭のライオンは100頭のライオンと闘うか逃げるかの選択を本能的に行います。これは最初に書いた「大勢の前で発表する」という状況と同じ状況で、逃げられず、誰にも頼らずに一人で対処しなければならないです。このとき、殺されるような生命的危機ではないですが、同じように闘争・逃走反応が起きるのです。
 交感神経が働くと、血管が収縮し血圧が上がり身体の中の血の巡りをよくし、エネルギーを作るために多くの酸素が必要となるため気管支を広げて呼吸数をあげて酸素を取り込みます。そのため心臓がドキドキします。また、生きるか死ぬかを迫られている状況では消化活動にエネルギーを使っている場合ではないため、そのエネルギーは筋肉を使うことに回すします。顔がこわばったり手足が震えたりするのはそのせいです。手汗が出るのは何かを掴んだときに滑らないようにするためなど、緊張したときの反応はさまざまありますがそれら全てには理由があるといわれています。
 この反応は緊張したとき、非常事態のときになるといわれていますが、みなさんは何度も経験したことがあると思います。もし、ずっと緊張状態が続いて消化できない眠れないなど生活や健康に影響が出たときは、静かな音楽を聴いたりお風呂に浸かってみたりなど、リラックスする時間を作ってみてください。ずっと闘っていると疲れちゃいますからね。

2019年11月 7日 (木)

【第602回】「体で覚える数学」K. N. (数学)

 「体で覚える」という言葉がある。「体験して身につける」という感じの意味である。

 数学という学問は「体で覚える」のが難しいと思う。どちらかといえば、頭の中の学問で、実験したり、体を動かしたりして学ぶものではないからだ。でも、数学にも「体で覚える」部分がある。

 授業中、どうしてそんな話になったのかは忘れたが、
「紙を半分、半分と折っていくとき、7回折ることはできないよ」
と言ったことがある。言われた生徒は半信半疑で「7回なら簡単に折れるよ」と言っていたが、実際にやろうとはしなかった。

 実は、小学生のころ、友達と紙を7回折ろうと実際にやってみたことがある。
 長いほうが折りやすいだろうと、紙を切ってつなげ、1メートルくらいの長さにし、半分に折っていった。そして、5回か6回あたりで、もう折れなくなった。思ったよりすぐに、短く厚くなり、折り曲げるのに力も必要とした。
 この事実を、計算で確かめることもできる。
 7回折ると、もとの紙の厚さの100倍を超える厚さになる。仮にもとの紙が0.1ミリであったとしても、1cmを超える厚さになる。これを「折る」のはたぶん無理だ。

 これは、私の「体で覚えた」数理現象の一つだろう。実際にやってみた結果なので、かなり自信をもって主張できるし、数学の計算で確かめて「なるほど」とも思える。何より、二度と忘れない。

 そういえば、高校生のとき、数学の授業で、大量の数式をグラフ用紙に書け、というプリントが課題に出たことがある。
 一時間をつぶして書き上げたとき、グラフ用紙に「ドラえもん」が現れていた。
 私が抱いている「計算したら、何か『いいこと』がある」という素朴な思い込みは、たぶん、そのときに刷り込まれた。

 数学ができるようになるのは難しいことだが、数学を好きになるのは、こんなふうに数学を「体で覚えた」ときなんじゃないだろうか。
 授業でそれを実現できるといいのだが、時間やカリキュラム、手間の問題で、なかなかできないでいる。いつか、そんな「体で覚える」授業ができたらいいなと思う。