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2018年4月12日 (木)

【第524回】 新年度です!K. M. (国語)


 新年度が始まりました。四月の幕開けにしては桜の期間が短くて少しさみしかったですが、遊学館高校は生徒の明るい笑顔とにぎやかな声でいっぱいです。どんな一年になるのか、皆どきどきわくわくしているのではないでしょうか。私にも遠い昔にそんな気持ちで過ごした時代があります。
 大学で学んでいた時のことです。日本文学を勉強していたので、研究では多くの書物とよく格闘していました。そんな中ある作品の一節を調べるために、図書館を利用しました。なかなか答えが見つからなかったので、開館と同時に飛び込み閉館まで入り浸り、関連する書物を片っ端から調べ上げました。さらに閉館時には、厚さ約7~8cmの、借り得る最大冊数の10冊の本を抱えて家に持ち帰り、徹夜で目を通しました。しかし、私は結局答えが出ないまま授業で発表することになったのです。長々と時間を費やし徹夜までして結果が出なかったので、「無駄なことをしたなあ、損した。」と後悔をしましたが、仕方がないのでそのまま報告しました。資料を提示・説明して、最後に「答えが得られずすみまません。無駄な時間を過ごしました。」と付け加えて。そしてこのあと教官から厳しい意見を言われるだろうと思い、待ちました。教官は次のように言いました。「無駄だと分かったのだからいいじゃないか。やったことは無駄ではなかったということだ。」
 確かに、問題の答えは出なかったけれど、調べた中になかったということです。そのことがわかったというのも一つの結果です。見当違いだったのかもしれませんが、さらに見方を変えれば、それをしたことで私にはそのときに見た様々な文献の知識などが身につきました。実際その後の研究は楽になりましたし、内容は人生の教養として身についています。人生で無駄なことは何もないということに気づいた経験でした。
 人の寿命は80年、いや人生100年時代という言葉まで耳にする世の中において、高校生は生まれてまだ10数年です。わからないことがあって当たり前です。学校は人として様々なことが学べる場所です。もちろん上の話も私の学校生活の一部です。これからやることを無駄だと決めつけず、とりあえず一度受け入れてやってみましょう。それが新たな気づきにつながったり、もしかすると自分を大化けさせてくれるものになったりするかもしれませんよ。