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2013年1月31日 (木)

【第265回】 < 成幸者 >S. J. (地歴・公民)

 3年生もそろそろ卒業をむかえる時期になってきました。
 私は2年生の担任を何年間か続けていますが、前の年に担任だった生徒たちの進路が当然気になります。
 自分の希望通りの進路に決定したと報告をしてくれる生徒を見ると、こちらもとてもうれしくなります。しかし、残念ながら全員がそのような報告ではありません。

 ある年の3年生に「受験に失敗しました。浪人するかどうか迷っています。先生は浪人して良かったですか?」と相談されたことがありました。

 自分も高校3年の時には第一志望大学には合格せず、その時には周りの合格した生徒をうらやましく思い、「自分はもうダメだ」などとやる気をなくしたこともありました。

 しかし、変な話ですが、ちょうど予備校を舞台にしたドラマが始まり、それを見て、自分もどうせ浪人するんだったら、前向きに楽しく(?)予備校ライフを過ごそうと開きなおり、勉強にはげみました。そのおかげかは謎ですが、次の受験では第一志望に合格しました。

 大学に入学し、いくつかのサークルに入り、充実した大学生活を過ごせたと思います。それは多くの友人たちに恵まれ、視野を広げ、様々な経験をしたからです。

 そんな時に、自分が思ったのは「こいつらに出会うために、オレは浪人したんだなぁ」との思いでした。だから、「受験に“失敗”したんじゃなくて、ちょっと人生のまわり道をしただけなんだ」と考えれるようになりました。浪人して親には心配をかけたけれど、合格した時の母の涙も忘れられない思い出です。

 発明王のエジソンは、実験がうまくいかなくても「これは失敗ではなく、この方法ではうまくいかないということがわかったから成功である」と考え、あきらめることなく実験をつづけ、多くの発明品を生んだそうです。

 プロゴルファーの青木功さんは、野球でピッチャーをやっていたが、県大会への決勝戦で痛恨のサヨナラ負けをし、野球をやめたそうです。しかし、野球をやめて時間がありあまってしまったので、ゴルフ場でバイトを始め、のちに「世界の青木」と呼ばれるほどのゴルファーになったとか。

 だから、その時は救いようのない失敗に思えることでも、前向きにあきらめずに進んでいけば、後々の人生にとっては幸せにつながることもあるんだと思います。

 今年の3年生たちにも、素晴らしい出会いをし、充実した人生を過ごしてほしいと願っています。

 以前読んだ本に、こう書いてありました。

本当の成功者は、人生を豊かにする “ 成幸者 ” である。

2013年1月24日 (木)

【第264回】 球運を拾う

 私たち野球部は「感謝・挑戦」のスローガンのもと日々の部活動、学校生活、私生活に厳しく取り組んでいます。その成果が12年間で6回の甲子園大会出場、そして大学野球、社会人野球、プロ野球でのOBの活躍に繋がっていると思います。

 今年の3年生に関しても秋季県大会3回戦敗退、春季県大会準決勝敗退というなかなか結果が伴わない苦しい状況が続きましたが3年生を中心にチームが心をひとつにし夏の選手権大会では接戦を苦にせず2年ぶり5回目の甲子園大会出場を果たしました。

 その3年生も今年の春からは東京六大学リーグに2名が進学しその他にも関東、関西、地元北陸の強豪大学に進学する生徒もいます。

 このように野球の世界で活躍する生徒もいますが卒業後就職先で頑張っている生徒もいます。

 今回テーマになっている“球運を拾う”というのは野球の運を拾うということです。

 本校の野球部ではゴミを拾うことを球運を拾う、勝ちを拾うと指導しています。

 この“球運を拾う”という言葉は野球部の初代野球部長森川先生が残された言葉で今でも大会のさいには先生が書かれた“球運”という色紙を控え室に持ち込むくらい野球部にとっては大切な言葉です。

 去年の野球部の保護者会である生徒の保護者がこのゴミを拾うという行動についてある話をしてきました。その話を紹介します。

 「寮生の息子が実家に帰省したさいに久しぶりに一緒にデパートに買い物に行きました。そのときデパートの通路にレシートのゴミが落ちていました。息子は何気なくその落ちているゴミを拾いゴミ箱に捨てたんです。その姿を見て私は息子がこんなことまでできるようになったんだと親ながら感心しました。遠く石川に進学させてよかったです。」と話をされました。

 この話を聞いたときに私たち指導者の目の届かない所でも実践している姿に私も本当にうれしく思いました。

 ゴミを捨てるという誰かが犯してしまったミスをカバーするゴミを拾うという行為は言い換えればチームプレーです。
野球もどんな一流選手でもミスが起きてしまうスポーツです。ましてや技術的にも未熟な高校生です。そのミスをカバーする習慣が普段からできた成果が夏に繋がったんだと思います。

 これからも野球だけでなくすべての面で石川県をリードできる野球部をめざして精進していきたいと思います。

2013年1月17日 (木)

【第263回】 「26年振りの同窓会」嶋田 司 (数学)

 今年の正月に高校の同窓会に出席した。高校卒業して以来、参加したのは初めてである。同期400人程いる中、80数名の参加があった。26年振りともなると、誰なのか判断つくまで暫く時間がかかる。お互いの顔を見ながら、少しの間をおいて「お~久しぶり!!」となる。参加者全員が、卒業アルバムの個人写真を載せたネームプレートを首から下げ、その写真を見ながら昔話で盛り上がっていた。

 この同窓会には先生方も出席され、私の部活動の顧問であり3年次担任でもあったM先生も出席されていた。テニスコートに姿を現すだけで、部活動の雰囲気を一変させる厳しい先生だった。そのM先生も70歳になられたそうだ。近所の方とグランドゴルフに行っている、という話には年齢を感じたが、話し方や立っている姿は当時と驚くほど変わっていなかった。10年、20年後の自分は想像もできないが、せめて雰囲気は変わってないと思われるようにしたいものである。

2013年1月10日 (木)

【第262回】 Earned, Not GivenS. T. (数学)

新年あけましておめでとうございます。

早速ですが、私の好きなNBAの話をさせて頂きます。

昨シーズン、マイアミ・ヒートというチームが優勝した。
そのチームにはエースのレブロン・ジェイムスがいるわけだが、多くの人がレブロン・ジェイムスは優勝できないだろうと批判した。試合を決める能力がない、鍵となる局面でチームを牽引できないなど、その批判は止むことがなかったわけだが、彼は自身の能力でそれら全てを覆した。
絶対に負けられないボストン・セルティックスとのイースタン・カンファレンスファイナル第6戦では45得点を記録し、オクラホマシティ・サンダーとのファイナル第4戦では、片足をひきずりながらも3Pを決めてみせ、チームの勝利に大きく貢献した。
彼は自分の力を再度証明し、自らの力でキャリア初優勝を飾った。レギュラーシーズンMVP、ファイナルMVPを獲得し、シーズン後にはチームUSAとしてロンドン五輪にも参加。金メダル獲得という目的を果たした。
そんな彼のモットーは「Earned, Not Given」であり、意味は「与えられたのではなく、勝ち取った」である。

これを読んでいる生徒らもきっと夢や目標をもっているはずだが、それに向けて弛まぬ努力を続けているだろうか。
遊学館に来て2年目になる。多くの生徒が将来こういった職業に就きたい、こうなりたいといった夢や目標を語ってくれるが、大半がそれに対して具体的な方法や手段を用意していないように感じられる。中には相当ストイックに努力している者もいるが。

夢や目標は決して人が与えてくれるものではなく、自ら動かなければ決して成し得ない。
目標があるのであればそれに対して努力を惜しむな。
目標がなければ周りにいる、自分の尊敬できる人や憧れる人を探し、そうなれる様努力するといい。
目標があれば人は変われるし、どこまでも強くなれると私は信じている。

高校が人生で一番将来の目標に向けて努力のできる場所であり、だからこそ私はそれを手伝える高校の教師になった。
しかし、私は手伝うことはできるが、決してそれぞれの望む将来を与えることはできない。なぜなら、戦うのは私ではなく君ら自身であるから。

今後、多くの生徒が努力を惜しまず戦い続け、自ら望む将来を勝ち取ってくれることを期待している。