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2012年10月25日 (木)

【第252回】 「青い犬のことは考えないでください。」川北 将人 (主事)

 みなさん、唐突ですがタイトルにあるように「青い犬」のことを考えないでみてください。いいですか?「青い犬」のことだけは考えないでくださいね。そのままです、もうしばらく「青い犬」のことを考えないようにしていてください・・・。
 さぁ、みなさん、今何を考えていましたか?「青い犬」のことを考えてしまったのではないでしょうか?
 人は回避したい考えや行動を目標にした時、回避したいことがどんなことであるか自動的にイメージしてしまいます。それは、回避したい対象が何であるか理解しないと回避できないからです。

 ではみなさん、次に「梅干し」を食べたことをイメージしてみてください。梅しその汁にたっぷりと漬かった真っ赤な梅干しです。梅干しを口の中に入れるとやわらかな果肉が口いっぱいに広がる様子をイメージしてください。
 どうでしょうか?唾液があふれてきたのではありませんか?人の脳は過去に体験した梅干しの情報を思い出すことで、梅干しに関わる全体験を今実感しているかのように再現し、それに関わる心身の反応をも引き起こします。

 これで2つの事実を確認できましたね。
1.回避したい行動や価値観を目標にすると、そのことをイメージしてしまう。
2.イメージしたことは実体験したことと同じように心身に影響を及ぼす。

 これら2点から言えることは、
 目標設定は肯定文で行うと適切な行動を取りやすいということですね。
 例えば、「怒らないようにしよう」という目標設定について考えてみましょう。この場合脳が最初にイメージしてしまうのは「怒る」ということです。「誰に、なぜ怒るのか」をイメージした上で、それをしないようにするわけですが、「怒ること」をイメージした時点で実際に怒った時の心や体の状態が再現されるので、怒りからなかなか離れられなくなります。ですから、本当に怒りたくないのでしたら「リラックスしよう」などの肯定文での目標設定が効果的です。

 みなさんも色んな場面で目標設定をする機会があると思います。受験、試合、日々の勉強、良い習慣の習得、対人関係、日々の心持ちなどですね。それぞれの場面で適切な目標設定をすれば目標達成がしやすくなるはずです。
 みなさんが目標達成をされて、充実した日々を過ごされることを願っています。