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2012年7月26日 (木)

【第240回】 新教育課程に向けて渡辺 祐徳 (英語)

 来年度から新教育課程が始まる。高校1年生の英語のうち,従来の「英語Ⅰ」が「コミュニケーション英語Ⅰ」,「ライティング」が「英語表現Ⅰ」という科目に変わり,教科書も新しいものに変わる。

 わが校でも英語科の教員がチームを組み,新課程における授業方法を研究し,教科書の選定にあたった。数ある教科書の中からわが校に最適の一冊を選ぶことは,来年度からの授業の内容を左右する重要な作業であるため,一つの方針を立てた。それは,「中学校の復習をしっかりすることができ,必要な文法をきちんと学べるものを選ぼう」というものだった。

 科目名にわざわざ「コミュニケーション」という言葉をつけ,新学習指導要領の最後のページに「授業は英語で行うことを基本とする」と書き加えた文科省の意向(注)に反すると思われるかもしれないが,これには理由がある。

 入学してくる1年生の,英語に対する苦手意識が年々強くなっている。特に文法の知識が不足しているために,教科書の文を読み理解することが困難な生徒が増えている。私が担当する特進コースの生徒でさえ,最初の授業で「英語は好きか?得意か?」といった問いかけには,ほぼ全員が首を横に振る。「英語Ⅰ」の教科書の最初の数レッスンは,中学校で習ったことの復習が中心となっているが,丁寧に確実に進める必要性を感じる。

 金沢市は英語教育特区に認定され,平成16年より小学校から英語教育を行なっている。その小学校英語を受けた最初の生徒たちが高校に入学する平成20年,私たちは期待に胸が躍っていた。英語が得意,もしくは好きな生徒がたくさん来るだろう。興味のわく楽しい授業をして,ますます英語を好きにしてやろう。ところが実情は,前述の通りである。

 近年の英語教育の考え方に「文法排除」「和訳排除」というものがある。文法的な説明は行わない,もしくは最低限に抑えて,英語の表現をパターン練習をたくさんしようというものだ。また英文の意味は日本語に訳すのではなくて,英語のまま理解させようとする。英語教育の理想のように聞こえるかもしれないが,これを成功させるためには,多くの時間をかけて何度も繰り返し練習しなくてはならない。おそらく今の中学校の英語の授業は,多かれ少なかれ,この日本語排除の考え方に則っているのではないだろうか。

 日本の英語教育が,和訳・文法・作文ばかりを重視し,音声を伴ったコミュニケーションを疎かにしてきたのは事実だが,学校の授業の時間だけでは会話ができるようにならないのもまた事実である。高校の数学や国語の授業には,基本的な計算や読み書きを中心として,高校生としての教養と,大学受験や就職試験においても進路を開く学力を身につけさせるという役割がある。もちろん,英語も同じである。生徒たちの進路希望を叶えるためには,会話の練習をしている余裕はあまりないというのが素直なところである。

 「中学校の復習をしっかりすることができ,必要な文法をきちんと学べるものを選ぼう」という方針のもと,私たちが選んだ教科書が,たまたま他校での採用も多く,シェア1位になる勢いだそうだ。やはり同じ問題を他校の先生方も感じておられるということだろうか。

 新課程になっても,全力で授業に臨むつもりである。

(注) 文部科学省は2009年,当初の意向をトーンダウンさせた。「(前略)言語活動を行うことが授業の中心となっていれば,文法の説明などは日本語を交えて行うことも考えられる。(中略)授業のすべてを必ず英語で行わなければならないということを意味するものではない。英語による言語活動を行うことが授業の中心となっていれば , 必要に応じて , 日本語を交えて授業を行うことも考えられるものである」

2012年7月19日 (木)

【第239回】 本番を控える人たちへ吉田 昌史 (理科)

僕の愛読書から二つの言葉を贈ります。

「本番では頑張らない。」

 本番前に「とにかくがんばれ!」と声をかけられるのは、辛かったりします。
 練習で散々がんばってきたのに、まだがんばらなければいけないのかと思うとストレスが溜まります。
 とことん練習した人は、本番では力が抜けてリラックスできます。
 本番にがんばらないといけない人は、練習不足が原因です。
 準備不足だと、本番では練習以上の成果を上げなければならないから緊張します。緊張すると余計に結果が出なくなります。
 緊張しないためには練習でがんばることです。
「これだけ準備してダメなら清々しい」と思えるくらいの準備をしましょう。

「権力は滅びるが、学問は永続する」

 世の中には、拡大志向の人や権力志向の成功者がたくさんいます。
 これらの人たちの成功は長く続かないことがあります。
 典型的な例は、エジプト文明やローマ帝国です。
 どんなに隆盛を極めても必ず滅びる時がやってくるのは、歴史が繰り返し教えてくれています。
 ところが、深化志向の学問はどうでしょう。
 拡大志向や権力志向が栄枯盛衰を繰り返しているのに対して、深化志向の学問だけは永続しています。
 権力はいずれ滅びるが、学問は滅びません。
「もっと強く」「もっと大きく」から、「もっとふかく」へ。

(*「君の背中を押す言葉」より抜粋)

物事を深くとらえ、今できる万全な準備を!!
いつか来る本番のために!!!

2012年7月13日 (金)

【第238回】 「洋食屋Y」Y. M. (地歴・公民)

 私はこの会社に勤めて16年の月日が流れた。そのあいだは「洋食屋Y」のカツカレーに支えてもらった。大柄な身体の私にとってこのカツカレーの量は少し物足りない。たまに大盛りにして午後の仕事の活力にする時があった。このカレーはだいたい週2回ペースで食べていた。だから、いつも同じものを食べているとたまには違ったものを食べたくなる。目玉焼き付きカレー、カレースパゲティ、メンチカツカレー、カツ丼(和風のカツ丼ではありません)、そして年に数回頼む1、000円を超えるランチなど何だかんだで、定休日の木曜日以外は「洋食屋Y」に電話をして出前で持ってきてもらう。結婚するまで寮で生活していた時は寮の部屋まで出前をしてもらったこともある。そう考えると私の胃袋を支えてくれる大切なお店である。いや、お店であった。実は2年前にこの店のご主人が体調を崩され閉店することとなったのである。

 カレーがおいしかったことは確かなこと。しかし、もう「洋食屋Y」に出前を頼むことができなくなった今、気付いたことはご主人の人柄である。看板娘ならぬ“看板おやじ”とでも表現すればいいのでしょうか?出前一つを何回も受けてお店と私の職場を行ったり来たりしても嫌な態度1つ見せない笑顔、真冬の雪が降る時期で靴下も履かず素足と草履(ぞうり)で出前をすること、雨の日は決まって紫色のレインコートを着ること、大量のお釣りが準備されているパンパンに膨れ上がった小銭入れ、愛車のスーパーカブ(バイク)で出前の途中で私に気付けば笑顔で手を振ってくれるなどすべてが“おやじの味(特徴)”である。大変失礼な言い方をしてしまうが、どこにでもいそうな昼食を頼む洋食屋の店主である。しかし、その立ち振る舞いに飾らない自然体の人間性と、簡単そうでわかっていても実践できない仕事をするプロとしての姿勢を感じました。自分のペースを崩さず自分らしく生きていくということ、大きな成果を常に期待しすぎず、わずかなことも大切にして地道に積み上げていく習慣は店主そのものです。

 どうしたら利益を上げるかということと、おいしいものをつくりお客さんに喜んでもらうことはお店を繁盛させるための方向性は変わらないと思います。しかし、心の持ちようで行動も変わるのではないかと思います。人に喜んでもらえる、人に感動を与える仕事が私の目指すところです。教師となって初年度で掲げた学校に影響力の人間になることという方向性を見失わず“看板先生”を目指していきます。

 最後に私を成長させてくれた「洋食屋Y」の方々へ

  おいしいカレーをありがとう

  お疲れさまでした

2012年7月 5日 (木)

【第237回】 引退試合山本 雅弘 (保健体育)

6月27日、石川県立野球場。遊学館対金沢学院東の試合をナイターで行いました。
この試合は3年生最後の大会(第94回全国高等学校野球選手権大会石川大会)で、メンバーから外れた3年生の試合でした。この試合は今回で6回目になります。

遊学館高校野球部の3年生は24名、1・2年生を加えると76名、この中から石川大会のメンバー20名が選ばれるわけなので、当然引退に追い込まれる3年生が出てくるわけです。その3年生の最後の晴れ舞台を決勝戦が行われる石川県立球場で、高校野球最後の試合を戦い、次の日からメンバーのサポートに切り替えるという引退試合です。
そして、最後の大会を戦うメンバー達がスタンドから必死に応援をします。

今回も両校の保護者、学校の友人、学校関係者、そして一般の応援していただいている方々がたくさん足を運んでいただき、スタンドに約1500人の観衆を集めて盛大に行われました。
そして、金沢東高校のチアリーダーによるアトラクションも盛り込まれました。

結果は、              得点 安打
遊学館 5 4 0 0 0 0 0 3 0  12  16
金沢東 0 0 0 0 1 0 0 0 0   1  10

得点は開きましたが、両チーム合わせて26安打の打ち合いでハラハラ・ドキドキの好試合でした。両チームとも気持ちのいいくらいフルスイングで外野のフェンスまでとどく長打や空振り、投手の決め球の厳しい球をうまくさばいての見事な安打。守備でもダイビングキャッチの超ファインプレーなど、このレベルの選手がなぜメンバーになれないの・・?と思うくらいレベルの高い試合でした。また、選手は集中し真剣な戦いの中にも笑顔を忘れず、高校野球最後の試合を楽しんでいるように感じました。
そして、打席に立つ選手の名前と選手の思いがバックスクリーンに紹介されましたが、その思いが強く胸に響きました。

「お父さん・お母さんの子供で良かった、今まで野球を続けさせてくれてありがとう」

「こんな僕を遠い石川県で野球をさせてくれてありがとう」

「お父さん一人でここまで育ててくれてありがとう」

それぞれの思いを込めた引退試合が終わりました。

これからが本番。
引退試合で戦った選手は気持ちを切り替えてサポートに全力を尽くし、遊学館野球部全員の目標である「てっぺん」に向かってスタートを切ります。

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