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2010年12月 8日 (水)

【第162回】最終月に寄せてK. M. (国語)

今年もあっという間に12月となりました。 2010年もさまざまなニュースや話題が駆け巡りましたが、その中で皆さんの印象に残っているものは何でしょうか?

私はやはり、遊学館高校野球部が甲子園に出場したことです。
念願の出場に喜んだ生徒たちの姿、そして真夏の甲子園での元気なプレーや全校あげての応援は、今でも鮮明に思い出されます。

そしてさらにもう一つ、サッカーW杯南アフリカ大会での日本代表の活躍です。
もちろん、サッカーのワールドカップといえば世界中を巻き込む一大イベントで、ベスト16に残った日本代表の活躍といえば、誰もが思い出すことでしょう。

ただ、私がこの二つの出来事に関心を引かれたのは、勝ったからうれしいとか目的を果たしたからよかったとかいうことではありません。この二つのチームから受けたある印象があったからです。今まで以上に、チームが一つにまとまっているという感じを受けたのです。

日本代表が試合に勝てば、活躍した選手に目が向くのは当たり前ですが、それと同時に、今回は控えの選手の素晴らしいサポートを称賛する話も伝わってきました。控えに回れば悔しいはずです。それなのに、チームの勝利のために率先してピッチの外で動き回る控え選手の姿がありました。彼らの支えが試合に出る選手たちのモチベーションになり、チームの結束へとつながって、このよき結果の一つとなったとのことです。

そして、野球部もです。
それぞれの部活動の事情は、私自身関わりがないのでよくわかりませんが、どの部活動においても、試合に挑む前には必ずレギュラーメンバーの発表があります。それに「選ばれなかった…」と、勉強が手につかなくなるほど落ち込む生徒もいました。悔しさと不満で、チームから心が離れていく人もいることでしょう。しかしはたから見ていて、今年の野球部員たちからはそんな感じは受けませんでした。
ここでもやはり、試合に出ていない部員たちがレギュラーをサポートする姿が伝わってきます。(そこのところは、9月の山本雅弘先生ご自身のコラムが詳しいのですが…)
あの夏の甲子園出場は、試合に出ているレギュラーだけでとったものではありません。出ていない部員たちの貢献があったからこそ、それに対する感謝の気持ちが生まれ、みんなの思いが一つになってレギュラーの力となり、勝ち取った甲子園なのだと。

もちろん、どちらの出来事もさまざまなことが要因となっての結果です。
視野を広げれば、とかく人間関係においては、価値観が似ているとか目的意識が同じ人間同士で固まってしまうことが多いですが、
この学校の生徒を見る限り、そのようなことからは遠いように思います。誰も彼もが分け隔てなく応援し支え合う、そういう学校の雰囲気が、良き結果へと導かれた土台にあったのかもしれません。

さて、皆さんの2010年はいかがだったでしょうか?