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2024年9月19日 (木)

【第853回】「私立中学校の入試問題を解いてみた」深代 真一 (数学)

 今年の8月、特別進学コースの成績上位者と京都特別合宿を実施した。宿舎の近くに中学受験塾がたくさんあることに気づいた。そして、書店の入試対策コーナーに行くと、壁一面私立中学校の過去問題集が置いてあった。石川県では見られない光景だった。
 首都圏の小学校6年生のうち約5人に1人が中学受験をするというデータがあるように、小学生から塾に通い受験に備えることが珍しいことではない。昨今の大学入試改革、私立大学の定員厳格化によって難関大学への進学が年々難しくなっており、エスカレーター式に大学進学できそうな大学付属中学校の倍率が上がっているという話も納得できる。
 私は、私立中学校の本当の魅力は探究学習や高大接続にあると考えている。中高6年間の先取り学習により生まれた時間的余裕を活用して、大学レベルの探究活動を行っている学校がたくさんある。先日金沢大学を会場に実施された探究活動の発表会では、国際交流事業や化学実験など大学生がしているような活動がたくさんあり、とても衝撃を受けたことを今でも覚えている。特に、数学分野の発表は大学レベルといってもいいくらいレベルの高いものであり、大学の授業を聞いているような感覚になった。
 さて、石川県の状況はどうだろうか。なかなか中学受験が盛んとは言い難い。そして一部を除き、探究活動が進んでいないように感じる。しかし、石川県ほど探究活動に適した環境はなかなか無いと考えている。金沢には兼六園をはじめとした観光資源が豊富にあり、それをテーマに歴史を学ぶだけでなく、インバウンドを対象に国際交流なども研究することができる。また、海、川、山がコンパクトな距離にまとまっているため、自然環境についての探究活動もできる。そして、石川県には大学がたくさんあり、各分野の専門家がたくさんいるため、専門家へのアプローチが比較的しやすいはずです。つまり、探究活動の環境では都市部に負けていない。あとは、それをどう生かしていくかである。今後、石川県の探究活動をいかに発展させていくのかを考えていきたい。