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2023年4月20日 (木)

【第779回】「美術の時間」H. H. (芸術)

2023年1月、児童文化II美術3年の最後の授業の日がやって来た。最後の課題として配布したプリントの最後の項目に、I年間の振り返りとして、授業で得たこと、出来たこと出来なかったこと、又は私に対しての手紙でもいいよ、と称して自由に書く欄を設けた。
思い返せば4月当初にアンケートを書いてもらった。希望している進路先や、幼児教育にどんな形で接した事があるかなどの簡単な項目のものだ。あえて大きく設けた回答欄には、わずか一行程度の回答が殆ど。初の授業で私とも初対面でもあるし、お互い緊張気味なので仕方ないかと思い無理強いはしない。
そんなこんなで10か月が過ぎ、保育検定対策の切り絵、立体作品、ペープサート、美術館鑑賞など、実際の保育の現場で実践出来そうな課題に取り組んできた。最後に皆の今の気持ちや考えを知りたくて、設けた課題に恐る恐る目を通してみた。なんと回答欄一杯に、(5、6行割程度の記述、それでも嬉しい)殆どの生徒から回答があった。それもとても前向きな回答が。
美術が苦手で絵を描くのが不安だった、自分で発想し創造するのが苦手だった、など4月当初の不安な気持ちを誰もが綴っていた。しかし、10か月の間に、絵が上手い下手とかではなく、子供達と一緒に楽しんで作る気持ち、子供を楽しませる気持ちを持つことで楽になれた、という考えに傾いてくれた事。そう思う事で美術の時間が楽しくなったと。そんな内容が綴られていた。この時ばかりは教師冥利に尽きるなと思った。更に私に気を遣ってか、感謝の気持ちも綴られていて、ポロリと泣けた。
今頃皆んなどうしているだろう。希望の進路に進み新しい場所で春をむかえているんだろうな。これから色んな試練に立ち向かって生き抜いて行かねばならない事が沢山あると思う。どうか自身を労わり、他人を思いやれる素敵な先生になって欲しい。たまには、高校の美術の時間を思い出してくれたら嬉しい。