【第467回】 『ご卒業、おめでとうございます』S. Y. (理科)
本校は基本的に日曜日ではない限り、3月1日が卒業式となる。明日はその卒業式の日である。私が遊学館に赴任してから変わらず、その日が卒業式であり、式典の厳粛な雰囲気も本校の体育館で行われるということも何一つとして変わりはなかった。しかし、今回は式場が異なる。これは今に始まったことではないが、体育館の建て替えのため、本年度の入学式からというもの、金沢歌劇座での行事が多く行われた。
遊学館はその恵まれた立地条件によって金沢市内の多くの施設を利用して学校行事に参加できる学校である。その行事に参加するには、決められた時間にその場所に集合するという当たり前の行動が伴ってくる。一見、簡単そうに感じるが約1400人もの生徒がいつもと違う道を慣れない交通手段で集合時間に間に合うようにすることは容易ではない。特に慣れていない1年生は事前に場所や移動手段の確認をしないと遅刻してしまう。誰が言ったわけでもないが、私はこれが遊学生としての最低限身に付けるべき能力だと思う。そして、卒業して社会に出るときに必要な能力の一つでもあると思う。それは目標を設定し、そこにたどり着くまでの道筋と手段、所要時間を見積もって、歩を進めていく人生に、本質的には似ているからだ。
明日の卒業式も金沢歌劇座で行われる。何か、いつもより特別な卒業式になるような気がしてならない。卒業生の皆さんには遊学生の集大成として、式を全うされることを期待したい。素敵な卒業式になること、そして卒業生にとってかけがえのない思い出になることを祈って、一足早いが、『ご卒業、おめでとうございます』