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2023年4月27日 (木)

【第780回】「食の安全」H. Y. (英語)

台湾で日本のいちごが残留基準超過となり、輸入差し止めが相次いでいます。果たして私たちが毎日口にしている農産物やその他の食べ物は安全なのでしょうか。今回は「残留農薬」「食品添加物」の2つに絞って考えてみます。台湾で日本のいちごが残留基準超過となり、輸入差し止めが相次いでいます。果たして私たちが毎日口にしている農産物やその他の食べ物は安全なのでしょうか。今回は「残留農薬」「食品添加物」の2つに絞って考えてみます。

1. 残留農薬について
日本は食料自給率がカロリーベースで38% です。特に小麦や、大豆、菜種、とうもろこしなどは、アメリカ、オーストラリア、カナダ、中国などで大規模に生産されたものが輸入されており、自給率はそれぞれ小麦16%、大豆6%、油脂類13%と低い状況です。ですから私たちが摂取する残留農薬については国産作物と輸入作物の両方を見る必要があります。
   日本産の農作物の残留農薬基準の諸外国との比較は農林水産省のWebサイト
  (https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/zannou_kisei.html)に掲載されています。

表によると確かに日本の農産物の残留農薬基準は他国よりも緩いと言われても仕方ないものが多くみられます。では多くを輸入に頼っている小麦、大豆についてはどうでしょう。特に輸入小麦の残留農薬については『食の安全を守る人々』(元農林水産大臣 山田正彦監督)というドキュメンタリー映画でその危険性が指摘されています。特に問題とされているのはグリホサートという除草剤で、「アメリカの穀物農家は、発がん性に加え、腸内細菌を殺してしまうことで、さまざまな疾患を誘発する懸念が指摘されているグリホサートを、雑草ではなく麦に直接散布している」(*1)のです。また、輸入作物の多くは防カビ剤や遺伝子組み換えの問題もあります。

2. 食品添加物について
食品添加物使用量については各国での区分の基準が違っているため各国発表の登録品目数での単純比較は難しいですが、日本はイギリス、フランス、ドイツの数倍の数の食品添加物が登録・認可されており「食品添加物大国」と呼ばれています。代表例としてマーガリンやショートニングなどのトランス脂肪酸はその摂取により冠動脈疾患のリスクが高まるというWHOの提言を受けて既に世界では規制が進められていますが日本では規制が進んでいません。

現実的には農薬や食品添加物の完全排除は無理ですが、自分や家族の健康のためにできるところから対応しませんか? 以下は私が始めたことです:

  • 信頼できる生産者から購入(「土の味」,「なんとのね」、「club大地」などの共同体も利用)
  • 無農薬でないものを食べるときは重曹・アルカリ水などで丁寧に洗う、皮をむく
  • 輸入小麦を使ったパン・小麦の麺の摂取回数を減らす
  • 購入時に裏面表示の食品添加物一覧を確認し、添加物が少ない食品を選ぶ


(*1)東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/451051 東京大学大学院の鈴木 宣弘教授

2021年10月14日 (木)

【第701回】 「「歳月人を待たず」”Time waits for no one”」H. Y. (英語)

 この時期、学校では3年生が就職や進学のためのエントリーシートの作成や面接の練習を行っている風景が見られます。私も遊学館に来てから何人かのお手伝いをしました。努力している生徒を見ると、かつての自分を思い出し応援したくなります。

 一か月ほど前にイギリスのロックバンドのThe Rolling Stonesのドラマーの方が亡くなったニュースを聞き、よく聴いていた頃(中学生~高校生)のことを思い出しました。このブログのタイトルの”Time waits for no one”は中でも大好きな曲の1つです。昔の動画をYouTubeで再生すると、当時の記憶が甦ると共に、時の流れの速さに唖然とさせられます。

 当時、田舎育ちの私は飛行機にすら乗ったことが無く、雲の中や雲の上がどうなっているのか、外国はどんなところなのか、と空を見上げて想像を膨らませていました。そして「いつか、海外を飛び回る仕事をしたい」という漠然とした夢を持っていました。

 その後、幼い頃の夢のことはすっかり忘れ、大学入学後は次の目標を失いながらも数学を学び、教員免許の取得の準備を進めていました。そんなある日、転機が訪れました。大学の先輩のリクルーターがやってきて当時人気企業だった外資系IT企業の入社試験を受けることを勧めてくれたのです。無事合格することができ、幼い頃の夢に1歩近づきました。

 入社後は英語が壁として前に立ちはだかります。最新の技術は海外から来たので英語で書かれた技術書をいち早く読んで技術を習得する必要がありました。そして憧れの海外出張に行くためにはTOEICの一定スコアが必要条件です。なんとかクリアすると、海外との合同プロジェクトに参加する機会に恵まれ、気が付くと幼いころの夢をほぼ果たしていました。IT技術力だけでなく、英語力も同時に磨くことでより多くのチャンスを得ることができたのです。そして、英語力向上はその後の別の外資系企業への転職や今の英語教師として遊学館で働く道につながりました。

 以下は私のLessons learned(教訓)です。あくまで自分用ですが皆さんと共有します:
  1. 2つ以上の武器を持つべし。時代の要求の変化への対応と精神衛生の為。
  2. 人生は選択・決断の連続。チャンスの神様には後ろ髪がないのでタイミングを逃さずに。
  3. いくつになっても勉強は必要。

”Time waits for no one”. 二度とない今という時間を大切にして日々頑張りましょう。
最後に RIP, Charlieさん。

2020年5月14日 (木)

【第628回】 「友だち」と「自立」H. Y. (英語)

 4月から休校が続き、自宅で過ごす時間が多くなりました。今は携帯電話やインターネットがありますので、離れていても電話だけでなく、顔を見ながらお友達とチャットするなど情報交換の手段に困ることはなくなりました。私も先日、大阪や東京に住むかつての学友とビデオ通話で語りあい、かつて務めていた会社の元上司や元同僚とメールやLINEで連絡を取り合い、そしてWhatsAppで海を超えた元同僚と無事を確認しあいました。何をもって友人と定義するかですが、私にとって彼らは「友人」というよりは人生の「師」であり「戦友」でした。今は年に1~数回、「これは」と思う出来事があったときに連絡を取りあう程度の付き合いです。人数も多くはありません。

 「君に友だちはいらない」(瀧本 哲史(著) 講談社)の(故)瀧本氏や、タモリさんを始めとして「友達なんかいなくていい」という著名人の言葉を目にすることがよくあります。私はこの言葉を『他人に依存するな』と自立を促している言葉と捉えています。瀧本氏の上記著書には『夢を語りあうだけの「友だち」はあなたにはいらない。あなたに今必要なのは、ともに試練を乗り越え、ひとつの目的に向かって突き進んでいく「仲間」だ。』と書かれています。必要なのは「自立」した人間が集まり、それぞれが互いに補完できるスキルを持ち合い、共通の目的とその達成に責任を持って、問題解決のためのアプローチを取り、メンバー相互が責任を取り合う、という仲間です。

 冒頭で挙げた私の「戦友」はそんな「仲間」でした。学生時代に厳しい先生(中でも東京理科大からの客員講師の先生がとても厳しかった!)の試験を猛勉強して共に潜り抜けて一緒に卒業した仲間、仕事で夜中のシステム切り替えをタイムリミットと闘い胃をキリキリさせながら一緒にやり遂げた仲間、お客様からの承認や次の契約を得るためにアイデアを絞りあってプレゼンテーション資料を作った仲間、など共通のゴールに向けて一緒に闘ってきた仲間なのです。互いに刺激し合い、良い意味でのwin-win関係でした。

 そんな私は子供の頃、特に高校生の始めの頃はお昼休みのお弁当を一緒に食べたり、いつも一緒に行動したりする距離感の近い付き合いが少し苦手でした。かといってのけ者になるのもいやで、自分をあまり出さずに相手に合わせようとしていました。よく同級生はこんな魅力のない私に付き合ってくれたものです(感謝)。当時の私の問題は自立していない自分にあり、自分で解決するしかないものだったのです。
 皆さんのクラブ活動においても自分がチームに貢献できないと気づいた時は、嘆くよりまず人に頼ることを止めて、自分を磨かねばなりませんね。

 休校が続いている今、これからの「仲間」を見つけるためにも、まずは自分を高める目標に向けてどう時間を使うかを考え、「計画」しましょう。他方、「愚者は暇(時間)をどう潰すかと考える」のだそうです。あなたはどちらの道を選びますか。もし、過去に生きた賢人から人生の指針を得たいと思われたなら、私からは以下の3冊を勧めます。

「学問のすすめ 現代語訳」 (ちくま新書) 福澤 諭吉 (著), 斎藤 孝 (翻訳)
「武器としての決断思考」 (星海社新書) 瀧本 哲史 (著)
「君に友だちはいらない」 (講談社)   瀧本 哲史 (著)

今を充実して過ごすことがあなたを未来の「仲間」に導いてくれると思います。

2018年12月27日 (木)

【第560回】 What makes you special?H. Y. (英語)

 2007年頃、TVのコマーシャルに某IT会社のCMのフレーズ ”What makes you special?” が流れていました。この言葉の意味について考えてみたいと思います。
 生徒の皆さんの多くは既に希望進路を決めているかもしれません。しかしながら希望する学校や職場に進むには需要と供給の条件がマッチしていることが必要で、皆が皆、希望する道に進めるわけではありません。3年生でAO入試などで面接を経験した生徒は認識していると思いますが、入学許可を受け取るには、履歴書を書き、面接で自己アピールして、相手にとって自分が魅力的であることを訴えなければなりません。「私は他の誰とも違う。特別(special)だ。」と。つまり、それは競争であり、戦いです。「戦いに勝ち抜くためには他の人と同じではいけない。ではどうすれば特別な存在になれるのか?」が、冒頭のCMのメッセージです。
 学校や家族というこれまで自分を守ってくれていた場所から巣立って先の見えない人生を一人で戦っていくには「武器」が必要です。それも複数必要でしょう。
 私事で恐縮ですが、私は大学卒業後、この学校で働くまでの間、外資系IT企業の何社かで働いてきました。転職活動の度にCV(Curriculum Vitae)と呼ばれる英文履歴書・職務経歴書を携えて面接に臨み、相手が望む人材であることをアピールしてきました。また、会社の中にいても、やりたい仕事につくために能力を磨いている必要がありました。高パフォーマンス、高稼働率を求める外資系IT企業では悪い評価が2年続いたり、1つのプロジェクトが終わったあとの空き状態(ベンチ、または”idle”(”idol”ではありません)と呼ばれていました)が3カ月続いたりすると肩たたき、つまり退職勧告がやってきます。 それを逃れるには、自分は何を武器(強味)とすべきかを意識し、そして、時々それらを棚卸して見直していかなければなりませんでした。
 貴方は何を武器としますか? まだ何も思い浮かばない時は、まずは勉強による基礎学力や基礎知識力、部活等による人間力を培っておくことをお勧めします。基礎となる土台があることによって、やがて進みたい道が見つかったとき、すぐにスタートラインに立つことができます。しかし、何も準備していない場合は、門前払いに遭うなどして、皆と同じスタートラインに立つことすらかないません。今、何も考えず、何もしないということは未来の自分の可能性を摘み取っているということに気づいてください。好むと好まざるに関わらず、急速にグローバル化やAI化が進み、日本国内にいても、「国」という境界を越えて、限られた仕事の争奪戦が始まっています。逆にチャンスと捉えて、必要十分な武器を携えて国際的な人材市場に乗り込んでいくくらいの気概でいて欲しいと願います。
 最後に、自分の将来を気にかけているであろう高校生の皆さんに「10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」(藤原和博)をお勧めします。