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2020年1月 9日 (木)

【第610回】 「ひとりひとりが主人公」園下 真史 (数学)

 私は小学生低学年の頃、「この世界は自分の人生のために用意されたもので、自分はその世界の主人公である。」と考えていた節がある。父にこの話をしたら父も幼い頃は同じようなことを考えていたようなので、おそらく世の中皆子供の頃は自分を「主人公」とみなしているのだろう。
 私は中学生までは勉強も学年で上位だったし、背も高いからスポーツもそこそこできたし、運動会で団長も務めたので間違いなく主人公をしていたと思う。しかし、高校生になると勉強はついていけないし、体育祭の幹部に立候補しても「いや、お前はいらん」と言われるしで、私は「ああ、自分は所詮モブキャラに過ぎないのだな…。」と思ってしまった。要するに挫折を味わったわけである。
 そして現在、世の中を見渡してみると自分と同年代の人が富や名声を得てキラキラしている姿を見ると、「この人達は紛れもなく主人公をしているなあ、モブキャラの自分とは違うなあ。」と嫉妬してしまう自分がいる。しかし、彼らだってどこかで挫折を味わっているし、私と同じような感情を抱いたことはあるのだと思う。反対にツイッターやyoutubeなどで馬鹿なことをやっている人達は「主人公になりたいけど方法を間違えている人」なのだと思う。しかし現実では「ドラゴンクエスト」の主人公が民家のツボを割ったりタンスを勝手に開けるように何でもして良いわけではないのだ。
 私も他の主人公達を見習って自らをモブキャラと卑下することなく胸を張って自分の人生の主人公として人に恥じぬ物語を作っていきたい。

2018年8月 9日 (木)

【第540回】 疑問をもつこと園下 真史 (数学)

 最近とても暑いですね。暑すぎて蚊も活動できないみたいです。聞くところによればこのままいくと2100年には夏の平均気温が40度近くになるらしいし、冬の大雪のような異常気象も含めて二酸化炭素による地球温暖化の影響であることはだれからも明白であるように思えます。
 しかし、世の中にはこのことに関して疑問を持っている人も存在しています。地球はこれまで氷河期と温暖期を繰り返しているのだから、この気候はその移り変わりの途中に過ぎない、というものなど、様々あるようです。
 それらが正しいかどうかは置いといて、私が言いたいのは世の中のあらゆることについて鵜呑みにするのではなく、本当にそうなのか?なぜそうなるのか?という疑問をもつことが大事である、ということです。
 歴史などはたまに事実がくつがえることがあります。しかし数学ではそのようなことは起こらないでしょう。1+1=2は不変のはずです。なのにこんな当たり前のことにさえ疑問を持つ人がいます。数学者なんてそんな変人ばかりなのです。
 この学校の生徒達は公式を紹介したときに、「テストにでるから覚えなさい」といえば納得します。素直なのは良いことなのですが、数学教師としては物足りなさを感じます。
 でも中には「なんでこうなるの?」と疑問を投げかける生徒もいます。それに対して多少面倒な顔をしつつもどこかうれしそうな顔をしている自分がいることに気がつき、やはり自分も変人なんだなと感じました。
 皆さんも色んなことに対して疑問をもってみてください。そしたらきっと、世界がひろがって見えるはずです!

2017年3月16日 (木)

【第469回】 出会いと別れ園下 真史 (数学)

 私が本校に来てから2年が経ちました。毎年1,2年生だけを担当していたので去年の卒業式では知っている生徒はほとんどいませんでしたが、今年は2年生のときに担当していた80名ほどは知っている顔ぶれになりました。担任ではないにしろ私にとっての初めて出会った生徒であったということで、一人一人の顔を見ると当時のことを思い出し、「この生徒はこういう話が好きだったな。」「あの生徒にはもっとこうしてあげればよかったな。」等と感慨深い気持ちになったと同時に私の小学校の卒業式のことを思い出しました。
 私の小学5年生の担任は当時が初任であり、その先生にとって私達が最初の生徒でした。経験も浅いということで生徒とぶつかることも少なくなかったですが、6年生になったあとでも昼休みに私達をサッカーに連れ出したりと交流があり、運動が苦手でなかなかうまく動けない私にも声をかけてくれたりと思いやりのある先生でした。そして卒業式では壇上で歌っているときにその先生を見ると号泣しており、やはり最初の生徒というのはそれだけ特別なのだなと子供心ながらに感じました。
 時が経って私の立場は変わり生徒を送り出す方になりました。まだまだ未熟で色んな人たちに助けてもらっている私ですが、卒業生の人生にとって何かひとつでもプラスになるような教えができていれれば幸いに思います。これから苦難の連続でしょうが、周りに流されることなく、自分の道を歩んでいってください。ご卒業おめでとうございます。

2015年11月12日 (木)

【第400回】 「目標」園下 真史 (数学)

 早いもので、成人式を迎えてから3年、社会人となってから色んな先生にお世話になりながらも半年の歳月が経った。季節の節目に行われた高校のクラスの同窓会では、久しぶりに会う顔ぶれに思わず当時の気分になってはしゃいだが、仕事の話になると活き活きとした顔で話す者からあまり自信なさげに話す者もいた。
 高校生活を思い返してみると、平素から自信を持って「俺は○○大学に行く!」と公言していた友人は今の進路に納得して進めているような気がする。
 それに対して当時から進路もなかなか定まらず、なんとなくで学生生活を送っていた友人は今の仕事に不満を持っているように感じた。
 私は3年生の授業は持っていないのであまり生徒達と進路の話をしたことはないが、成績が良い生徒の話を聞いてみると「私は○○の専門学校を目指しています。」と話したり、目標を持って高校生活を送っているようだった。
 逆になかなか授業に身に入らない生徒に将来のことを聞いてみても、あまり自分の将来のビジョンが見えていないようだった。
 では私の高校生活はどうだったかというと、私自身は高1のときから数学の教師を志していたので(少なくとも数学については)真剣に授業に取り組んでいたと思う。
 人生一度きりの学校生活、悔いを残さないように生徒達にはだらだらと過ごすのではなく、「目標」を持って精進していってほしいし、私自身も教師という職業は生徒の将来に良くも悪くも影響を与えるのだという意識をもって、「園下先生に習って良かったです」と言ってもらえることを「目標」として、授業を真剣に行うことはもちろん、授業以外でも生徒達に積極的に接していきたいと思う。