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2020年5月14日 (木)

【第628回】 「友だち」と「自立」H. Y. (英語)

 4月から休校が続き、自宅で過ごす時間が多くなりました。今は携帯電話やインターネットがありますので、離れていても電話だけでなく、顔を見ながらお友達とチャットするなど情報交換の手段に困ることはなくなりました。私も先日、大阪や東京に住むかつての学友とビデオ通話で語りあい、かつて務めていた会社の元上司や元同僚とメールやLINEで連絡を取り合い、そしてWhatsAppで海を超えた元同僚と無事を確認しあいました。何をもって友人と定義するかですが、私にとって彼らは「友人」というよりは人生の「師」であり「戦友」でした。今は年に1~数回、「これは」と思う出来事があったときに連絡を取りあう程度の付き合いです。人数も多くはありません。

 「君に友だちはいらない」(瀧本 哲史(著) 講談社)の(故)瀧本氏や、タモリさんを始めとして「友達なんかいなくていい」という著名人の言葉を目にすることがよくあります。私はこの言葉を『他人に依存するな』と自立を促している言葉と捉えています。瀧本氏の上記著書には『夢を語りあうだけの「友だち」はあなたにはいらない。あなたに今必要なのは、ともに試練を乗り越え、ひとつの目的に向かって突き進んでいく「仲間」だ。』と書かれています。必要なのは「自立」した人間が集まり、それぞれが互いに補完できるスキルを持ち合い、共通の目的とその達成に責任を持って、問題解決のためのアプローチを取り、メンバー相互が責任を取り合う、という仲間です。

 冒頭で挙げた私の「戦友」はそんな「仲間」でした。学生時代に厳しい先生(中でも東京理科大からの客員講師の先生がとても厳しかった!)の試験を猛勉強して共に潜り抜けて一緒に卒業した仲間、仕事で夜中のシステム切り替えをタイムリミットと闘い胃をキリキリさせながら一緒にやり遂げた仲間、お客様からの承認や次の契約を得るためにアイデアを絞りあってプレゼンテーション資料を作った仲間、など共通のゴールに向けて一緒に闘ってきた仲間なのです。互いに刺激し合い、良い意味でのwin-win関係でした。

 そんな私は子供の頃、特に高校生の始めの頃はお昼休みのお弁当を一緒に食べたり、いつも一緒に行動したりする距離感の近い付き合いが少し苦手でした。かといってのけ者になるのもいやで、自分をあまり出さずに相手に合わせようとしていました。よく同級生はこんな魅力のない私に付き合ってくれたものです(感謝)。当時の私の問題は自立していない自分にあり、自分で解決するしかないものだったのです。
 皆さんのクラブ活動においても自分がチームに貢献できないと気づいた時は、嘆くよりまず人に頼ることを止めて、自分を磨かねばなりませんね。

 休校が続いている今、これからの「仲間」を見つけるためにも、まずは自分を高める目標に向けてどう時間を使うかを考え、「計画」しましょう。他方、「愚者は暇(時間)をどう潰すかと考える」のだそうです。あなたはどちらの道を選びますか。もし、過去に生きた賢人から人生の指針を得たいと思われたなら、私からは以下の3冊を勧めます。

「学問のすすめ 現代語訳」 (ちくま新書) 福澤 諭吉 (著), 斎藤 孝 (翻訳)
「武器としての決断思考」 (星海社新書) 瀧本 哲史 (著)
「君に友だちはいらない」 (講談社)   瀧本 哲史 (著)

今を充実して過ごすことがあなたを未来の「仲間」に導いてくれると思います。