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2018年6月21日 (木)

【第534回】 数学って役に立つの?

この間、テレビを見ていたら、
「科学や文明の発展に貢献した人に贈られる「京都賞」に、京都大学数理解析研究所の柏原正樹さんら3人が選ばれた」
というニュースを聞いた。柏原先生について、私はまったく存じ上げないのだが、
「数学のひとつの分野である代数解析学の要となる理論を確立したことが評価された」
という。その、代数解析とかD加群とかいう言葉に微かに記憶があった。調べてみたら、1988年に出版された本(堀田良之:加群十話、朝倉書店)の編集者短評に、
「さて、最後のほうが、最近に佐藤スクールを中心に発展しているD加群の話題になっていくのは、これはまさに現代的といえる。彼らはそれを「代数解析」と呼ぶのだが・・・」
とある。
そう。30年前は「最近・・・発展している」「現代的」な話題だったのだ。この分野がどう発展したのか、不勉強で知らないのだが、数学という学問が、30年経って、やっと評価される学問であることを実感した。

数学の授業をしていると「それ、役に立つの?」と生徒に聞かれる。「一生、使わんし」とも言われる。いや、役に立つから、科目にあるのだし、使う(かもしれない)から、勉強するのだ。

例えば、2000年以上前に確立された「三平方の定理」は、スマートフォンなどのナビ機能の実現に用いられている。中学校で習う「素因数分解」も、現代のセキュリティを守る要の理論だ。素因数分解に時間がかかること、がセキュリティの要になっている。
何年か前、テレビゲームを作りたくて、そういう専門学校に進学した生徒がいた。入学を決めたあと、彼は「ベクトルと三角関数は勉強しておけと(専門学校の先生に)言われた」と言っていた。
数学を使う場面は、結構あるのだ。
ただ、「役に立つから勉強する」のは、数学に関しては、ちょっと違うような気がしている。
一度確立されると、2000年以上も使われることがあったり、ちゃんと評価が確立されるまで、30年もかかったりするものを、「役に立つ」かどうかで測っていいのだろうか。

最後に、どこで読んだのか忘れてしまったが、深く共感した言葉があるので、ここにあげておく:
(数学が)役に立つか、と聞かれると自信はないが、
必要か、と聞かれると、自信をもって「はい」といえる

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