« 【第402回】 人生の残り時間 | メイン | 【第404回】 言志四録の思い出 »

2015年12月 3日 (木)

【第403回】 生徒と先生Ta. Y. (英語)

  志望校合格を目指し、昼休みや放課後3年生と時間を過ごしている。始めたばかりの頃と比べると、取り組み方や学力にも良い変化が見られ手応えを感じる一方、生徒のマイペースっぷりにがっくりすることもたびたびある。毎回きちんと出席する者、言い訳付きで一部分のみやってくる者、プリント自体なくす者・・・。「本番まで後○○日!!」とこちらはやらせたいこと満載で焦っているのに、本人たちが呑気に構えているのを見ると、”自己責任なんだから放っておけばいいんじゃないか。わざわざ時間を割いているのに私だけ頑張っているんじゃばかばかしい。今日はもう止めようか。”という思いがぐるぐる回る。
       そういう時に思い出す1人の生徒がいる。
  1年の時に授業を受け持ったその生徒は特に目立ったわけでもなかったが、席替えをしても毎回なぜか最前列の同じ席にいるので(担任に要望して認められていたからだと後で知る)自然と話す機会が増えた。2年になり授業で直接顔を合わせることがなくなっても、定期テスト前、放課後よく質問しに来た。ついには「△△大学に行きたいから受験勉強をみてほしい」と言って来た。正直その時は“難しいな、頑張っても届くだろうか”と思ったが、放課後私のところに来る毎日が始まった。出した問題を全てこなし、暗記すべき単語や構文も同時進行で覚えてくる。模試の結果の悪さに泣くこともあったが、蓄積されていった学力はその子の武器となり、そして自信につながっていった。“この努力を何とか実らせてあげたい。結果を出せるようにしなくては。”と私にもプレッシャーの日々だった。
   そして2月、志望校に見事合格。
  この夏休みの帰省時に連絡があり、他数人の生徒と一緒に会う機会があった。「向いてないかもしれないけど、先生になりたいから教職を取っているのだ」と聞いて嬉しくなった。「中学の時は学校が嫌いで休んでばかりだった。1年の時たまたま英語のテストが良くて先生に褒められて、もっと褒められたいからますます頑張って、ってしているうちに英語が好きになり、得意教科になり、今の大学に入れた。夢もできた。先生に会えたから遊学に来てよかった。」みたいな事を言われてじんときた。
私自身覚えてもいないそんなことがきっかけになるんだ、と驚きもした。
あの時間は私にとってもかけがえのない時間であり、大切な思い出となった。
   人を「教え育てる」事はこの生徒のように決して成功ばかりではない。私も含め先生たちは失敗したり、立ち止まったりしながら日々模索している。
    “さあ、やっぱり今日の放課後も頑張ろう!”