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2014年7月10日 (木)

【第335回】 父を想うTa. Y. (英語)

 いつもならこの時期は、夏休みの一泊旅行のためにチラシやネットで情報を集めているのだが、今年はその必要がなくなった。
 父は8年前に大手術をしてからあまり人と会いたがらなくなった。もともと外出も好きではない父を少しでも外に連れ出そう、段々慣れて旅行もいいもんだと感じて欲しい、毎年この旅行を楽しみにしてくれたら嬉しい、そう思って三世代プチ旅行をしてきた。
「即拒否される!!」という事もありえるので、旅行案を切り出すタイミングや誘い方を母と相談し合ったものだった。
 でも父は今年桜を見ることなくあっという間に逝ってしまった。
新年に撮った写真のあちこちに父が写っているのを見ると「どうしてこんな急に…」と涙が溢れる。父にとっても急なことだったのか、そうではなかったのか、覚悟はしていたのか、そんな時間すらなかったのか、考え胸が詰まる。
 世代交代、順番だから、と納得するようにして普段は自分の気持ちと折り合いをつけているが、父の部屋に入るともうダメだ。後から後から悲しみがこみあげる。
この部屋から階下の音は良く聞こえる。自分が参加していない時の家族の笑い声を父はどんな思いで横になって聞いていたのか。降りてこられないのならこちらがもっと行くべきだった。おえつをこらえきれない。

 じいちゃんなのにじいちゃんぽくなくて、やんちゃで理不尽で自分勝手ですぐ怒鳴る。
いつか、ほっこり穏かになった父とのんびり話しながらギョーザを包んだり、山菜の処理をしたり…と期待していた私。そんな時間もなく若いまま行ってしまった私の自慢の父。
 かっこいいよほんとに。
まだ涙している私を父は 照れくさそうにニヤニヤ?
            困ったもんだと心配顔?
            しっかりせんかと怒ってる?

 私が教える仕事をしていることを父は誇りに思っていたようで、実際、人に嬉しそうに話すこともあったと聞いた。その思いに答えられるように精一杯仕事に励んでいく。
  見ていてね。お父さん。