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2011年12月15日 (木)

【第212回】 生徒諸君へT. H. (数学)

 本校3年目で初めて1年生の授業を受け持った。10年ぶり位である。久しぶりに受け持つとホーム担任をしていた頃を思い出す。遠方から通学してくる生徒や厳しい部活動に入部した生徒など、中学校の時と比べて生活が大変になる様々な生徒がいる。4月当初は早く高校生活に慣れて欲しいと祈ったものだ。

 そのほか1年の担任で大切に感じたのは10月~11月頃行われる類型登録、いわゆる文系・理系の登録である。自分の適性がよくわかっている生徒もいるが、わかっていない生徒も意外に多い。どの科目も十分学習した結果の適性なら信頼できるが、表面的な興味だけではわからない。ある程度深く学習してみないと見えてこないものがある。苦労してやってみて面白さがわかり、学力を大幅に伸ばす生徒もいる。「得意不得意に関係なく全科目を頑張りなさい。」と何度も繰り返し言ったことを思い出す。

 成長期の3年間は人間を大きく変える。部活動に打ち込めば心身ともに成長する。勉強に打ち込めば豊富な知識や柔軟な思考力が身につく。文武両道で努力した者は時間の使い方が上手くなる。毎年3年間で自分を大きく成長させて卒業する数多くの生徒がいる。こういう体験をして卒業する生徒は一生の宝物を得たようなものだ。卒業後も様々なことに自信を持ってチャレンジできると思う。

 成長期は夢のような時間である。体力は勿論、思考力、集中力、記憶力、知恵など、鍛えれば鍛えるほど向上する。ものの見方が深くなり、日々感動することもできる。こんな時期は他にはない。成長期が終わり30歳を超えると同じことをするのにもっと時間がかかるようになる。大切なのは今だ。一人でも多くの生徒がこのすばらしい時間を有効に活用し、自信を持って卒業していくことを願う。