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2011年2月23日 (水)

【第172回】贈られた言葉M. N. (国語)

 遊学館高校の教壇に立たせていただいて一年。

 この春卒業する卒業生とはこの一年だけのお付き合いでしたが、初めて送り出す卒業生であり、この三年生たちとの一年は、きっとこの先ずっと、忘れることのできない一年です。

 授業中だけでなく、休み時間や放課後、またそれぞれの部活の試合などを見させてもらったりと、いろんな顔を見させてもらいました。

 それぞれに話してみると意外な才能や考え方を持っていたりと、勉強を通してだけでは見られない一面をたくさん発見させてくれ、だんだんと会話をすることが楽しく、教えられることもたくさんありました。

 みんな、あいさつはきちんとしてくれ、月日が経つにつれ、自分たちのことを積極的に話してくれるようになり、時には私を励ましてくれる、そんな優しい子ばかりだったと思います。

 たくさんの優しい言葉、嬉しい言葉をかけてくれた中で、ある三年生の言葉がすごく印象に残っています。

「これまでのこと全部が繋がって、僕らと先生は今年出会って。運命的ですよね。」

 今までのことが何一つとして無駄ではなく、また今まで出会った人もすべて、今の自分を作ってくれているということを、改めて教えられました。
素敵な言葉を普通の会話の中でも自然と言ってくれる生徒たちは、きっとただ通りすがるだけではわからない魅力を、まだまだたくさん内に秘めていることだろうと思います。

 私も、彼らのように、誰かを勇気付けたり励ましたり出来るような、そんな素敵な言葉を贈れる人でありたいと思わされました。

 これからそれぞれの道を歩んでいく卒業生へ。
これから進路を決めていく在校生へ。
そしてこの春出会う新入生へ。

 それぞれの未来に向かって、がんばってほしいという願いを込めて、この言葉を贈ります。

「人生はかけ算だ。どんなにチャンスがあっても、君が「0」なら意味がない。」

 それぞれの良さを大切に磨いていきましょう!

2011年2月16日 (水)

【第171回】最後までY. H. (数学)

数学の教師になって、

「数学なんて勉強しても意味がない。」

と生徒からよく言われます。

高校を卒業するためには数学を勉強する必要があり、「勉強したくないな~」と考えていても、苦手意識が高くなるだけです。

そこで、数学に対しての考え方を少し変えてみるのはどうでしょうか。

「数学なんて勉強しても意味がない」という考えから、今、苦手なことを頑張らないといけないのは、将来、興味のある勉強や好きな仕事ができても、壁にぶつかったり、自分では想像できなかったような内容だったり、苦しいときに、立ち向かえるように、練習していると考えてみるのです。

大げさに聞こえるかもしれませんが、私も、「高校生のとき、あんなに頑張れたから、今も絶対頑張れる」と大学での教育実習を乗り越え、教員となった今は、「大学生のとき、あんなに頑張れたから、今も絶対頑張れる」と自分を奮い立たせています。

「一生懸命、最後までやり遂げる」

いつかは必ず、頑張った経験は活かされます。
今のことだけ考えるのではなく、将来の自分のことを少し考えて、目の前にある壁を乗り越えてください。

2011年2月 9日 (水)

【第170回】私のなかの遊学館高校西村 美恵子 (英語)

 第一印象
 遊学館高校に初めて野球部ができた同じ年に私もこの学校で講師として勤務を始めた。
もう10年も前のことになる。その時にこの学校の印象はと尋ねられ、私は、生徒たちがとても生き生きしていると答えたように記憶している。
けれども実はそれが私のこの学校に対する第一印象というわけではない。
その頃の私は懐かしさでいっぱいであった。

 私には5歳年上の姉がいる。
その姉が金城高校に入学した時、私はまだ小学生であった。
つまり生まれて初めて身近に感じた高校が金城高校だった。
姉はよく学校の話を家族にしてくれた。
ニロウ先生と校長先生を呼んでいたので、名前で呼んでもいいのかと子供心にもびっくりした。
そのニロウ先生が突然お亡くなりになり、それでアキラ先生が次の校長になられた。
やっぱり名前で呼ぶのだと妙に納得していた。

またクラスメイトの話もよくしてくれた。
石川県中から生徒が集まってきているのでそれぞれ方言やちょっとした習慣文化が違っていたりする。
それを楽しんでいた。話をしながら笑いこけている姉を見て私も楽しかった。
休みになると大勢の友達が家に押し掛けてきたりしていた。
姉はたくさんの友達に囲まれていた。みんなとても仲が良かった。
またある年の文化祭には、母に連れられ食堂みたいなところでうどんを食べた。
もちろんウエートレスとしてうどんを運んできたのは姉であった。
姉だけではなくどの生徒も生き生きしていて立派な大人に見えた。

 第二印象
 それから30年以上の月日が流れ、私は、男女共学の遊学館高校になったこの学校と縁があって再会をした。
姉と同じ制服姿を見るだけで懐かしかった。
そしてあの頃姉を通してぼんやりと感じていたのと同じものが今なおこの学校にあることを実感した。
それはこの学校が一つの大きな家であり、生徒も職員もみんなが家族の一員だという雰囲気である。
この学校に勤め始めてから一番驚かされたのは、訪ねてくる卒業生の多さであった。
まるで故郷の実家である。赤ちゃんを連れてくる卒業生もたくさんいる。

 毎日の大切さ
 高校受験を控えた子供を持つ人に、遊学館高校の良いところはと尋ねられたことがある。
私は迷うことなく“生活指導が徹底して行われているところです”と答えた。
教育現場の荒廃などと言われ始めて久しいけれども、この学校にはそれを感じさせるものは全くと言えるほどない。
何十年たっても変わらない雰囲気がその証である。
そしてそのために諸先生方が親身になって生徒たちと向き合って下さっているのである。
指導は地道に続けなければ効果は出ないものである。
一日一日を大切にするという姿勢が徹底しているのである。
その結果として、みんなが快適に、安全に、学び、生活する学校という環境が築かれている。
そんな場所だからこそ、いろいろな分野で活躍する生徒たちが出てくるのである。

 たくさんのスーパー高校生たち
 私の今年の初感動は、お正月の箱根駅伝に初めて遊学館出身の選手が出場したことである。
年末に京都の高校駅伝大会を観戦し、選手たちの活躍を観たすぐ後だったので、本当にうれしかった。
駅伝ばかりでなく、いろいろな分野で卒業生も活躍しているのを知るとうれしいものである。
遊学館には日頃の厳しい練習に頑張るたくさんのスーパー高校生がいる、いろいろな試合、大会、発表会等々でいつも私に感動を与えてくれる。
そして毎日私に元気を与えてくれる、明るく溌剌としたスーパーな高校生たちがいる。
“うちの生徒はみんないい子で”と、私は親ばかぶりを発揮しているこの頃である。

2011年2月 2日 (水)

【第169回】児童書(Fantasy)のすすめT. K. (英語)

  ハリー・ポッターシリーズの最終章の映画が公開され、後編が待ち遠しいこの頃です。
私は、生徒から「先生のおすすめの本は?」と聞かれると、このハリー・ポッターにも影響を与えているとされる、ル・グヴィン作の「ゲド戦記」をすすめています。

  ハリー・ポッターは、確かに読んで本当に面白いのですが、ずっと手元に置いて何度も読み返すというよりも、どちらかと言うと、お楽しみの要素が強いです。
一方、同じ児童書(Fantasy)でも、「ゲド戦記」や、J・J・トールキンの「指輪物語」、ミハエル・エンデの「果てしない物語」、C・S・ルイスの「ナルニア国物語」などは、
一度出会って惹かれたら、とても長いおつきあいになる可能性が大きいです。
それは、どの本も独自の世界を持ち、読み手の人生観や世界観に応じた展開をしていくので、読み返すたびに異なる面が輝きを見せてくれるからです。

  「ゲド戦記」は、5年ほど前に、魔法使いゲドの弟子である、
アレンを中心とした映画が上映されたので、本の名前は聞いたことがあると思います。
全6巻あり、そのうち最初の3巻までで、ゲドの魔法使いとしての生涯が完結しています。
もし興味がわいたら、手に取ってもらえると嬉しく思います。

  この作品の中で、ゲドは、少年期に自分の能力に目覚め、魔法を学び、その力を大いに発揮していくのですが、絶えずつきまとう影におびやかされ、追いつめられて、最後にその正体を知った時、自分とは何者なのかを認識する、というのが第1巻です。
ここで作者は、自らが創り出したアースシーという世界で、海と山の豊かさ、人間の賢さと愚かさ、太古からの生き物である竜とのつきあい方、さらに「言葉」そのもののもつ計り知れない力、などを飽きさせず語っています。
ゲドが「大賢人」に到達するまで駆け抜ける様子は、「児童」でなくとも、年齢を問わず引き込まれると思います。
いつでも手にして、その世界に入り込んだ時が、ゲドと行動を共にする適齢期なのだと思います。

  もう一冊紹介したいのは、やさしく読めて、深い味わいのある、佐野洋子の「百万回生きた猫」で、これは絵本なのですが、大人になっても読んでもらいたい作品です。
みなさんは、魅力的な猫の姿を、きっとどこかで目にしたことがあると思います。
この猫を通して作者は、人が「本当に生きること」の意味を示唆しています。

  「児童書(Fantasy)」には、不思議な万華鏡のような世界が潜んでおり、是非一度「不思議の国のアリス」のように、rabbit hole ( ウサギの穴 ) に入り込んでみて下さい。