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2010年10月 6日 (水)

【第153回】昭和19年の卒業証書中村 裕行 (地歴・公民)

 1学期も終わり近くの暑い日、校外から1本の電話が私につながれてきました。
ご年配の方からのお電話で、聞けば「家に使わなくなった琴があるので、
有効利用できないか」との内容でした。

本校では、土曜日に自主講座という選択授業が行われており、60ほどある講座の中に「お箏(こと)」という講座もあります。

そこで、学校から程近いお宅を訪ねてみました。

 勧められるまま家にあがらせていただき、いろいろなお話を伺いました。
琴は昔、奥様が使われてきたもので、奥様は金城(遊学館の前身)を卒業されたそうです。
話が進むと、奥様の卒業証書など金城にまつわる思い出の品々を見せてくださいました。

かなり古びた卒業証書でしたが、はっきりと
「昭和19年3月14日 金城高等女学校長 加藤せむ」の文字が見てとれました。

昭和19年といえば、終戦の前年です。

本土襲撃も間近い敗色濃厚な中、この卒業証書は卒業生へ手渡されたのでしょうか。

思えば、金城遊学館の創設も明治37年(1904年)という日露戦争の年ですから、
国あげての戦時体制中、金沢の地に1つの学校が生まれたこととなります。
そんなことに思いを巡らせながら、感慨深くお話を聞かせていただきました。

 11月4日は本校の創立記念日で、11月6日(土)には同窓会総会も開かれます。
このコラムを記すにあたり、快く卒業証書や当時の卒業アルバム(もちろん英語ではなく、
「卒業記念写真帖」といったのですね)を拝借させていただきました。

機会をとらえて、お預かりした思い出の品々にまつわる貴重なお話を、生徒達や若い先生方へも伝えていきたいと思います。

入院中の奥様も快方に向かわれているとのことで、改めて直接、お礼やお話ができる日を楽しみにしております。

 

【追記】

今回のコラムで、4巡目を終了しました(全153回)。
次回からは、講師の先生方にも登場していただき、 さらに広い視点から語っていただこうと思いますので、お楽しみに……。

2010100601

<卒業証書>

2010100602

<卒業アルバム>