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2010年3月31日 (水)

【第127回】遊学館という居場所中村 裕行 (地歴・公民)

 我々教員にとって、年度がわりの4月は正月を迎えるようなもので、

皆が春休み返上で慌ただしい毎日を送っている。

 この時期、私がしなければならない仕事の1つに、年度ごとの退学者と退学に至った理由を県に報告するための調査がある。

先日、この調査結果をまとめて、正直驚いた。

何と、今年度の退学率(全校生徒に対する退学者の割合)が0.6%になったのだ!

 高校における退学率の全国平均は2%余りであり、校則や処分に厳しい私学はそれを上回ってしまうのが一般的な傾向である。

私も生徒指導部長だった頃、退学率を2%以内に抑えることを1つの目標としていた。
ここ数年、確かに本校の退学者は減っていたし、学校全体も落ち着いてきたように感じる。
特に今年は、3年生全員が1人も減ることなく、立派に卒業していった。

現在の生徒指導部長に言わせれば、
「退学率を下げるために、指導を甘くしたつもりもない」ということだから、この数字は個人的にすばらしいと思っている。

もちろん退学率がゼロになれば理想だし、やむなく退学に至ったそれぞれの理由もあるだろう。

しかしながら、

縁あって遊学館という学校に集まったわけだから、
生徒諸君(遊学生)にはこの居場所を大切にして、充分に活用してもらいたい。

難関校に何人合格したかという数字だけでなく、この退学率という数字や、さらにはクラブ加入率といった数字など、多方面から良い結果が出るように、これからも先生方・生徒達とともに頑張っていきたい。

2009年7月22日 (水)

【第95回】収穫の喜び中村 裕行 (地歴・公民)

 「本校グラウンド(金沢市錦町)に隣接した土地を購入したので、実習園として利用しないか?」という話が、自主講座(土曜日に年間24回開かれる選択講座)担当の私に持ちかけられたのは今年初めだったと思います。

土いじりに無縁の私は戸惑うばかりでしたが、快く協力を引き受けてくださった近隣の農家に何度か足を運び、「菜園づくり」という新しい講座が誕生しました。

 「農業実習」ではきついイメージがあるため、「菜園づくり」と名付けたわけですが、果たして生徒が集まるのか不安でした。

ところが、フタを開けてみると、20名もの生徒が希望してきたのです
(1年生:男子2名・女子6名、2年生:女子7名、3年生:男子2名・女子3名)。

当初の流れから、私も引率として参加することになり、「菜園づくり」講座がスタートしました。

 文字通り、土おこし、畝づくりから始めたわけですが、私を含め生徒達は、シャベルや桑といった農具を持ったことすら、ほとんどありません。協力農家の指導のもと、まさに見よう見まねの実習となりました。

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実習の様子

菜園らしきものが出来上がると、ジャガイモ、サトイモ、枝豆、サツマイモの種まき・苗付けをしました。地表に芽が出て伸び始めると、これまでの労働が目に見える形で報われるようになったため、生徒達の間にも活気が出てきました。

ただ、それ以上に雑草達も伸び始め、日差しも強くなる中で、汗だくになっての除草作業などが続きました。

 そして、先日7月18日の土曜日午後、初めての収穫となりました。
この日は午前に終業式が行われ、午後から夏休みスタートとなったわけですが、
「菜園づくり」の受講生徒達は、畑に集まってくれました。

次々と掘り起こされるジャガイモに驚き・歓声をあげながら、ジャガイモの山はどんどん大きくなり、最終的には20kg入りの肥料袋10袋分ほどになりました。

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収穫の喜び

収穫されたジャガイモは、生徒達の各家庭へ持ち帰られた他、オレンジハウス(学生寮)や教職員にも分けられ、ここ数日は「ジャガバターにして食べたら美味しかった!」、

「うちはカレーライス!」、「うちはコロッケ!」、
とジャガイモ話に花が咲いています。(学生寮では味噌汁に入るそうです!)

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学生寮に届けられたジャガイモ

 この「菜園づくり」の講座を通して、生徒達は普段の教室では学べないことをたくさん得たと思います。不思議なもので、最近は私も通りすがりの畑や、「地産地消」という言葉に、目をとられるようになりました。

こつこつと作物を育てる経験が、各自の成長にもつながってくれればと願っています。

2009年2月11日 (水)

【第75回】バドミントンと私中村 裕行 (地歴・公民)

 この学校に勤めて、また、県外から石川県に来て良かったと思うことの1つに

バドミントンとの再会があります。

 私が金城高校(遊学館の前身)に赴任した時、バドミントン部は全国大会の常連でした。
(さらに昔の昭和33年には、全国大会の個人戦で単複二冠を果たしています)。

しかし、様々な事情が重なり、次々と顧問が変わっていくうちに、活動も低迷していったようです。

いよいよクラブ存続の危機が訪れ、当時の部員からラブコール(おそらく誰でも良かったのですが…)を受けて、私は中学時代の経験とバドミントン好きだけを頼りに、自ら手を挙げて(同時に3つ目となる)顧問を引き受けました。

石川県は「バドミントン王国」とよばれるほど、バドミントンが盛んです。

自分の勤務校からバドミントン部がなくなる、そんな寂しいことだけは避けたい、
というのが当時の気持ちだったと思います。

 あれから、10年以上の年月が流れました。

私が顧問になってからの卒部生も今年度で 100名を超え、クラブも少しは強くなりました
(先日、卒部生有志により、クラブに電光掲示の大型タイマーが寄贈されました。
ありがとうございます)。

今では、卒業後も大学や社会人のクラブでバドミントンを続け、時には現役の部員を指導してくれるようなOG・OBも増えてきました。

また、私も愚息と通って世話をしたジュニアクラブの子どもたちが、本校でバドミントンを続けてくれるようにもなりました。

地縁のない私にとって、職場以外の人間関係はほとんどバドミントンつながりですが、
部員共々お世話になってきたケースも多く、この場を借りてお礼申し上げます。

指導者としてはまだまだ未熟な私ですが、本校には手本としたい名監督や名選手が
たくさんいるので、年齢や立場を超えていろいろと勉強になります。

 高校で部活を続けなかった私が、今さら思い出したように、バドミントンにハマっている、

自分でも不思議です。

仕事の合間や休日しか面倒みることはできませんが、このような環境へ身を置けることに感謝しつつ、部員達とバドミントンの奥深さをもう少し追い求めていければ、と思っています。
(2/5記)

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 ところで、この「先生コラム」も私で2巡目を終え、75回を数えるに至りました。
世話役として、読者の皆様と執筆者である先生方に感謝ひとしおです。
次回からの3巡目にも、ご期待ください!

2007年8月21日 (火)

【第3回】 「遊学」とは−新しい人との出会い、つながり?中村 裕行 (地歴・公民)

 遊学館高校の生徒諸君、残り少なくなった夏休みを元気に過ごしていますか?

 この文章を読んでいる本校の生徒は、私が1学期の終業式で

「本校のホームページが8月10日にリニューアルされます。
全国の高校で最も多くアクセスされるように、いろいろな仕掛けがしてありますので、お楽しみに…」

と話したことを覚えていますね。

 私は8月10日、クラブの遠征で学校を離れていたため、ホームページがリニューアルオープンされた前後の反応を直接確かめることはできませんでした。
しかしながら、この作業に携わった一員として、内外の反応はたいへん気になるところです。情報が不特定多数の人々に発信されることの魅力と怖さを、今さらながらに感じています。

 ホームページの魅力という点から話をすれば、特に県外出身生徒のご家庭にとっては、遠く離れた場所から子どもが通っている学校の情報をほぼリアルタイムに把握できることは、有り難いことではないでしょうか。

昔、テレビカメラを向けられ
「故郷のお父さん、お母さん見てるー?私は元気に頑張っているから安心してー!」
などとピースしている姿などをよく見かけたものですが、このホームページがそんな役割を果たしてくれれば、こちらも有り難いと思っています。

 現在、本校には100名近くの県外出身生徒が在籍し、主に運動部で活躍しています。校名にある遊学とは、異郷の地で学ぶという意味ですから、まさにその通りの状況が生まれているわけです。

入学して間もない頃は、クラスに2、3名いる県外出身生徒との言葉の違い、文化の違いなどが新鮮な驚きとなりますが、時がたてば県外出身生徒も自然にクラスへとけ込んでいく、これは本校の魅力の1つだと感じています。

先生方にも県外出身者は多く、いろいろな縁で本校に赴任し、「チーム遊学館」を構成しているという感じです。

 私も県外出身者の1人で、東京都多摩市という所で育ったのですが、系列の金城大学職員に同じ出身地の方がいらっしゃるということを先日知りました。

さらに驚くべきことは、私が大学生の時にボランティアで通っていた学童クラブに彼が児童として通っていたらしいということです。まさに遠く離れた石川の地で、20数年ぶりの再会を果たしたことになります。

教え子とか師弟関係というには及びませんが、本当に何という縁だろうかと感動してしまいました。

 「私学は人」だと、よく言われます。

建学の精神の下に集い、学び、巣立っていく-受験の現実を考えれば理想に過ぎるのかもしれませんが、このような生徒が1人でも多く集まってくれればと思います。

全国には、1万名を超える卒業生の方々もいらっしゃいます。
このホームページを通じて、「チーム遊学館」の輪が外野にまで大きく広がることを願っています。

 最後に一言。

「東京の親父、おふくろ、元気ですか?私は、遊学館で頑張っています。
学校のホームページも見てください!」