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2022年4月21日 (木)

【第726回】「18歳新成人が失敗しないために」和田 康一郎 (国語) 

 4月から成年年齢が18歳となりました。成人すれば、保護者の同意を得ずに、さまざまなことが可能になります。しかし、そこにつけこんで新成人をだまそうと牙をむいてくる人も、世の中にはいます。知識を得て、注意してください。今回は借金契約について。
 まずは、計算してみてください。中学生の知識があれば、できます。

問: ある人が毎月25万円ずつ、25年かかって7500万円を返済しました。年利を40%とすると、元の借金額はいくらでしょう。
 元の借金額をxとして、解いてみましょう。
 年利40%は、0.4と数値化できます。0.4x×25年が元の借金額に加わっています。
 ですから、x+0.4x×25=7500(万、以下省略)となります。
 すると、x+10x(=11x)=7500 となるので、
  x < 700となります。 元の借金額は、700万円に満たないのです。

 「700万円も借りてないのに、7500万円返さなければならないなんて、そんな馬鹿な! 誰のしわざだ」と叫んでも、事前に計算もしないで契約を結んだ「責任ある」成人のしわざでしょう。借金総額は借りた金額と同額ではなく、契約金利と返済能力(今回は25万円×12ケ月=年300万)で決まるのです。女優の杉田かおるが、24歳の時に借金が1億円あったと以前語っていましたが、20代の女性に1億円貸す人はいないでしょう。契約金利と彼女の返済能力では、借金が1億までふくらんだということで、実際に借りた金額はおそらく、けたが一つか二つ少ないだろうと思われます。
 年300万円も返すのだから、3年ぐらいで返せるだろうと勘違いしやすい例です。実際には25年も借金に苦しむことになります。
 「借金は取り戻せる」という宣伝を聞いて、借金が無効にできると勘違いしている人も世の中にはいます。実際は「払い過ぎ」の金額のうち、弁護士事務所の報酬分を差し引いた額が戻るだけです。現在、金利の法定上限は100万円以上で15%ですから、年利40%の契約では、25%分は過払い分です。法律事務所がもうかるので、盛んに宣伝されているわけです。最初から、巨額の借金をこしらえないように注意しましょう。
 お金の契約は、借金に限らず、事前によく計算して慎重に。心すべきことにこそ。