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2015年8月 6日 (木)

【第389回】 あがくK. R. (地歴・公民)

「あがく」とは、活路を見出そうと必死になって努力すること。
一般的には、かっこ悪い、みっともない、情けない・・・きっとマイナスなイメージを持つ人が多いかと思います。

「NHKのプロフェッショナル」この番組を視聴することが私の楽しみの一つです。料理人、ホテルのコンシェルジュ、羽田空港の清掃員…職種は多岐にわたり自分の知らない世界、変わった職業も知ることができます。
 その中でも、一番私が印象に残っているのは「俳優 渡辺 謙」です。55歳にしてブロードウェーへの挑戦です。数々の映画やドラマに出演してハリウッドデビューしているにも関わらず「俳優」を突きつめて、いまだあがいているのです。
 渡辺 謙さんが挑む「王様」の役は、かつてユリ・ブリンナーさんという俳優が演じ、伝説として語り継がれています。既に役の印象が定着してしまっている中の挑戦です。 稽古では同じシーンを何度もやり直し、そのたび新しくアレンジを施して役の心情を表す方法を模索し、「試しては捨てる」を繰り返す日々です。そんな苦しい中にいても俳優として毎日を迎えれる日々を渡辺 謙さんは大切にしています。
 部屋の壁には、受験生のように英語の和訳を書いた紙が貼られており、寝ても稽古の音楽やセリフが頭の中をまわっていたそうです。
 そんな中、本番初日を迎え見事、スタンディングオベーションで幕を閉じ、メディアでは「ユリ・ブリンナーさんの影を脱し愉快で威厳ある王様を自分のものにしている」と好評価を得ました。更には、アメリカ演劇界最高の栄誉とされるトミー賞の主演男優賞にノミネートされました。
 それでも、まだ自分は未完成と話す渡辺 謙さんはさらにあがき続けるのです。
 「あがく」という言葉への印象は変わりましたか?冒頭のマイナスなイメージから前向きで自分自身を成長させるプラスなイメージに変わりませんでしたか?
 皆さんは、何か突きつめて毎日考え、あがいているものはありますか?
 部活で勝利に向けてあがいたり、今出されている夏休みの課題にあがいているのかもしれません。もしくは、将来への夢を見つけるためにあがくということも。
 あがくということは、それだけ頑張っている証拠だと思います。
 遊学生のみんなも学校を卒業して、いつかは社会人となります。就職した最初は与えられてた課題・任務をただこなすだけになるかもしれません。でも、ただこなすだけではなくて与えられた以上の結果を出せるように考えて努めることも必要です。
 どんな仕事に対しても、プライドを持ってできる人こそがプロフェッショナルだと思います。私自身もまだまだ「未完成の人間」として常にあがいていきたいと思います。