【第961回】「次世代をはぐくむ」神原 結衣 (家庭)
現在、家庭基礎では「次世代をはぐくむ」単元の授業をしています。命のはじまり、つながり、乳幼児期の体と心の発達、どのようにして生まれ、育ててもらったのか、子どもの頃の記憶を思い出しながら授業を進めています。
幼児期の心の発達について、家庭科の教科書には「1歳頃に自己意識が芽生え、2歳頃になると親に対して『いや』、『自分でする』等が多くなる、第一次反抗期が訪れる。この時に周囲の大人は温かく見守ることが必要である。」と記載されています。
2人の母である私は日頃、教科書の一文のように「怒らずに優しく話を聞こう」、「公園で帰りたいというまで存分に遊んであげよう」、「少しばかり『いやいや』と言われても受け入れてあげよう」、「時間がない時に『一緒に料理をしたい!』と言われたらキュウリだけでも切らせてあげよう」、「手が離せない時に『ママ!』と呼ばれたら、手を止めて応えてあげよう」と、仕事を終えて保育所へ向かう車の中でこんなことを考えています。
しかし、現実の私は余裕がなくイライラしてしまい子どもを抱きしめるどころか追い立ててしまう日ばかりです。
教科書の一文と私の子育てを照らし合わせて、『こんな私に、生徒へ何を伝えられるだろう』と悩み葛藤しながら授業を進めていました。そんなある日の授業の振り返りシートに多くの生徒が、産んでくれた感謝、育ててくれた大変さの実感と嬉しさ、自分が親になった時に返したい等の、まっすぐな思いが書いてありました。
この言葉を目にしたときに、理想通りにいかなくてイライラしてしまう日も、余裕がなくて受け止めてあげられない日も含めて、完璧な親になんてなれなくても、悩みながら葛藤しながら育ててきた時間そのものが、「愛されていた」という温かい確信となって届いているのかもしれないと思いました。生徒のまっすぐな言葉に、母としての私自身が救われた瞬間でした。
教科書に書かれたたった一文の言葉の裏側にある、親の膨大な愛と苦労、「次世代をはぐくむ」という授業を通して、命を育むことの本当の愛おしさと深さを学んでいるのは、生徒たちだけでなく、教壇に立つ私自身なのかもしれません。





