2026年10月 1日 (木)

【第959回】「知る楽しさ」K. Y. (英語)

 今年の東京大学の英語入試問題で、ハッとさせられる言葉に出会いました。精神分析で有名なフロイトについての文章です。その中に、こんな一節がありました。

It is our desire for knowledge that animates us; and it is our passion for ignorance about ourselves that is so time-consuming, so life-consuming.

「私たちが生気を得るのは『知識への欲求』によってであり、そして、非常に時間がかかり、生命を消費させるのは『自分自身について知ろうとしないことへの熱情』なのである」

 少し難しく聞こえますが、要するにフロイトは「知りたいという好奇心こそが、人間の心をワクワクさせ、人生を生き生きとさせる」と言っているのです。
 この言葉を読んだとき、以前、長野の上高地に行ったときのことを思い出しました。
 上高地で山登りをした際、「なぜ白樺が多いのか」「なぜ水がこんなに澄んでいるのか」と疑問を持ち、調べてみたことがあります。知識がない状態なら「きれいだな〜」と眺めて終わりにしてしまう景色でした。しかし、その理由を知ったとき、ただの綺麗な風景が自然を生き抜く力強いストーリーとして迫ってきました。「知る」ことで世界の解像度が上がり、心が活気づいた瞬間でした。
 何かを知ることで世界の解像度が上がり、心が活気づく。これこそが、人間が本来持っている「知る楽しさ」なのだと思います。
 でも、フロイトは人間の少し厄介な本性についても触れています。
 私たちは、自分の弱さなど不都合な現実には「知りたくない」とブレーキをかけ、言い訳に莫大なエネルギーを使いがちということです。でも、そのエネルギーを少しだけ自分の内面への好奇心に向けられたら、世界はもっと広がります。
 学びとは、テストで点を取るためだけのものではありません。知ることで世界が広がり、日常が豊かになる。そう考えると、やっぱり死ぬまで勉強だなと思いました。

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2026年9月24日 (木)

【第958回】「準備の大切さ」尾谷 力 (地歴・公民)

 先日の大雨の日のことです。
 朝5時過ぎに自宅に隣接する駐車場、この駐車場は近所の不動産屋さんが月極めで貸し出しているところですが、この駐車場前の側溝の草抜き・泥取りを行いました。
 言うまでもありませんが、大雨特別警報が出されたためです。

 そもそも、天気の良い日に草抜きなど行っていれば慌てる必要はなかったのです。しかし、「うちの側溝じゃない」と放置していました。それでも道路が水に浸かると困るため、慌てて整える必要が生じたのです。


 さて、みなさん。
みなさんは「先を見越して行動する」ことはできますか。

 学校は2学期をむかえ、入学・就職試験の時期となり3年生を中心に慌ただしくなってきました。
 生徒の様子を見ていると、夏休みからしっかりと準備を行ってきた生徒、残念ながら、担任の先生や保護者の力を借りつつ、現在進行形で取り組む生徒、様々です。

 私も私の母校を受験する生徒の志望動機の作成を少し手伝わせてもらいました。志望動機を書くには、オープンキャンパスに参加しパンフレットを読み、自分の学びたいことと関連付けてまとめなければならず、簡単ではありません。その上で、レポートなど事前に提出すべき課題があればその準備はたいへん時間がかかります。

 私は雨に打たれながら草を抜いたのを思い出しつつ、「準備する」って大切だなと感じました。

 これをみなさんに当てはめると・・・

定期考査の日程と範囲を押さえて、苦手なところは早めに勉強する。
得意な種目は伸ばし、苦手なところを改善できるように練習する。
自分の将来をイメージし、やりたいことを考え、2年生の内からオープンキャンパスに参加する。

 となるかもしれませんね。


 最後に「準備が大切」と言いつつも、締め切り日にこの原稿を書いている私からの生徒の皆さんへのアドバイスです。
 事前準備が十分だと、目標達成の可能性は大きく上がります。過ごしやすい季節になりました。そこで、何か一つでいいので余裕をもって準備してみよう。

20260924オープンキャンパスに参加できなかった生徒は、Webサイトを見ながら書いてみて。

2026年9月17日 (木)

【第957回】「音楽は生き物!」大嶋 直樹 (芸術)

先日、ラジオ番組の収録で、音楽との出会いや、生徒たちとの日々についてお話しする機会がありました。

その中で、改めて感じたことを少し。

今の高校生たちは、スマートフォンを開けば、世界中の素晴らしい演奏を見ることができます。

そんなデジタルな時代だからこそ、私は吹奏楽やマーチングは「究極のアナログ活動」だと思っています。

自分で息を吸い、自分の身体で音を出す。
仲間の音を聴いて呼吸を合わせ、マーチングでは全身を使って表現する。

そこで生まれた音やエネルギーが、そのまま目の前のお客さんに届いていく。

私は、この「ライブ!」な感じが大好きです。

きっとほとんどの生徒は、最初は「自分のため」に音楽を始めます。

上手になりたい。
先輩みたいに演奏したい。

でも、一生懸命続けていると、

「自分の音で誰かが笑顔になった」
「自分たちの演奏で誰かが感動してくれた」

そんな瞬間に出会います。

自分のために始めた音楽が、いつの間にか誰かのための音楽になる。

そこから、音楽の楽しさがもう一段大きくなるような気がしています。

遊学館で指導するようになって約15年。

今では、卒業生が保育士として子どもたちにマーチングを教えていたり、教員になって一緒に働いていたり、卒業生同士で演奏会を企画したりしています。

自分たちが受け取ったものを、今度は次の世代へ。

そんな姿を見ることが、指導者として何より嬉しいことです。

卒業後は、演奏することから離れてしまう人もいるけど、

ただ、

「自分が一生懸命やったことで、誰かが喜んでくれた」

という感覚は、ずっと忘れないでほしいと思っています。

音楽は生き物!

同じ曲でも、メンバーが違えば、場所が違えば、その日の気持ちが違えば、音楽も変わります。

だからこそ、

今日しかできない音楽を、今日しか出会えない人たちと。

今日も、遊学館で出会った仲間との一瞬一瞬を、みんなで楽しんでいきたいと思います。

2026年9月10日 (木)

【第956回】「猫と暮らすこと【4】」O. M. (国語)

 暑いというか、もうそれを通り越して「熱い」夏もようやく終わりの様子を見せていますが、今度は異常気象の雨・雨・雨・・・。我が家の前は、古い道なので排水溝が狭く浅いため、こんな豪雨の時はいつも冠水の危機に瀕しています。もちろん夜中も寝てる場合ではありません。
 さて、そんな中でおなじみ、我が家の猫「小太郎」手足の長いマンチカン、雄。体重は6.5㌔は、今年の8月4日で11歳になり、人間でいえばお見事「還暦(60歳)」を迎えることができました(赤いちゃんちゃんこは着ませんでしたけどね)。生後8ヶ月の時から我が家に来ているので、もう10年の付き合いになりました。この「猫と暮らすこと」というお話は、猫と暮らすことによって、今の高校生とのつながりを考えるという、大それたテーマでもう4回目になりますが、ガマンしてお付き合いください。
 さて、以前授業中に男子諸君に、「彼女にしたい女性にはどんなことを求めますか」みたいな話をしたことがあります(この時代、その筋の人から言わせればセクハラ!!って怒られるかもしれませんが)。多分、「かわいい」とか「やさしい」とかが出てくるだろうと思っていたのですが、意外にも『気の利く人』・『気が遣える人』『頭の回転の速い人』・『気の合う人』・『人として尊敬できる人』・『おもしろい人』なんていう答えが出てきました。この多様性の時代、求められる人間というのはそういうことを言うのか・・・と、ちょっと感心してしまいました。だからこそ、テレビやユーチューブでアイドルと言われる人たちが平気で体張って笑いを取り、ライブで何万人かを熱狂させ、俳優業をこなし、本を書いたり、気象予報士になったりバラエティーで活躍したり・・・
とにかく何でもできて、使える人が求められるんだろうなあという答えにたどり着きました。
 この話をご覧の皆さん。ネコは気が遣えると思いますか?。「ネコなんてマイペースで、自分の気の向くまま生きてるのとちがうの」って思ってた皆さん。実はネコは大変『気遣いのできる』生き物なのです。こちらが忙しそうにしているときは、ご飯を茶碗に入れてくれるのを我慢して待っています。こちらがしんどそうにしているときは、そっと寝ている足下に寄ってきて、しっぽだけを絡ませてくれます。こちらが落ち込んでいるときは、自分の大好きなおもちゃで頑張れメッセージを書いてくれて、そのおもちゃをそっと枕元においてくれます。親ばかで申し訳ありませんが、我が家の小太郎さんは『気の利くネコ』・『気が遣えるネコ』『頭の回転の速いネコ』・『気の合うネコ』・『人(ネコ)として尊敬できるネコ』・『おもしろいネコ』なのです。実は・・・

  皆さんは「気遣いができて、相手の立場に立って考えることのできる」人ですか?

 『ネコの振り見て我が振り直せ』という、ことわざがあってもいいのに。と思えた夏でした。



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2026年9月 3日 (木)

【第955回】「初めてと最後」江向 陸 (数学)

 今年度、初めて3年生の担任を持つことになりました。これまで1・2年生の担任を経験してきましたが、進路や卒業後を見据えながら生徒たちと過ごす毎日は、これまでとはまた違った緊張感があります。そして、この夏、もう一つ大きな初めてを経験しました。甲子園での応援です。テレビでは何度も見てきた甲子園ですが、実際にアルプススタンドに立ってみると、その雰囲気はまったく違いました。グラウンドで懸命にプレーする選手たち、それを必死に応援する生徒たち、多くの生徒や保護者の方々が一緒になって声援を送っている光景を見たときは、本当に鳥肌が立ちました。
 私自身、高校時代は勉強中心の生活で、部活動に打ち込んだ経験はありません。そのため、学校全体が一つになって誰かを応援するという経験はとても新鮮でした。生徒たちとその場にいられたことも、私にとって忘れられない思い出になりました。
 そんな中、今年は私にとって初めてが多い一年である一方、生徒たちにとっては最後が増えていく一年なのだとふと気付きました。最後の部活動、最後の体育祭、最後の学園祭、そして、この先には最後の授業や卒業式もあります。3年生の担任をしていると、どうしても目の前の仕事に追われます。正直、一日一日をゆっくり振り返る余裕がないこともあります。
 これから卒業まで、まだいくつもの最後があります。私自身、初めてに戸惑いながらも、一日一日を大切にし、最後まで過ごしていきたいと思います。