【第529回】 「恰好いい大人」窪 泉 (保健体育)
「俺たちは奇跡を起こすんだ」
これは伊坂幸太郎さんの「チルドレン」という作品に出てくる,家庭調査官の陣内のセリフです。物語には,さまざまな事情を抱えた少年少女が登場します。そんな少年少女たちを更生させるのは奇跡だ。しかし,その奇跡を起こすと陣内は奮闘します。
陣内はその少年少女のことをこう言います。
「誰だって自分だけはオリジナルな人間だと思っているんだよ。誰かに似ているなんて言われるのはまっぴらなんだ。」
「調査官は,担当する少年が『他の誰にも似ていない,世界で一人きりの奴』だと思って向かい合わないと駄目なんだよ。」
家庭調査官と教員,職業は違いますが,私が目の前にしている生徒たちは,唯一無二の存在であり,家庭環境も考えていることも全く違います。同じ授業や同じ対応の仕方はないのだと,陣内の言葉にとても共感しました。
物語の中で,他の家庭調査官は断言します。
「地球の自転が止まることがあっても,スティーブン・セガールが悪役に負けることはあっても,非行少年が更生することはない。」と。でもそれに対して陣内はこう言います。
「大人が恰好良ければ、子供はぐれねえんだよ。」
奇跡を起こすのはなかなか難しいかもしれませんが,恰好いい大人になることは,私にも少し可能性がありそうです。思えば,私が出会った人たちの中には,「恰好いい,こんな人になりたい」と思える人がたくさんいました。
恰好いい大人になるために,日々勉強です。
まずは,小さなことで怒らないように・・・
もうすぐ県総体・総文ですね。
出場される生徒の皆さん,先生方,ご健闘をお祈り申し上げます。