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2013年12月26日 (木)

【第312回】 「白山」のことU. K. (理科)

今年になって、月に1回のペースで山登りをしているが、本校で講師をしながらにしてはよく行ったほうである。お前はなぜ山に登るのかと問われ、明確な答えは持っていない、登山をしている人にはそれぞれの理由があると思う。

 石川県大聖寺に生まれ、「日本百名山」の著者である深田久弥氏はその本の中の「白山」のページで、「日本人はたいていふるさとの山を持っている。そしてわたしにとってそれは白山である。」と書いている。私が白山に登ったのは大学1年の夏山合宿で、重いキスリングにテントや3泊分の食料背負って登ったのが最初であった。その時に、登山道に咲く高山植物や展望台からの北アルプスの景色は、今でも心に残っている。以来、白山と北アルプスではあるが、白山はやはり特別な山である。何度登っても発見があるのが面白い。

 人々がいかに山に向き合ったかは、深田久弥や新田次郎などいわゆる山岳文学を読むことで知ることができる。ただし、実際に登山をするには十分な知識と強靭な体に裏打ちされた準備が必要であり、それは本を読んで得られるものではない。人事を尽くし、まっさらな感覚で山に向かうのがいいと思う。

 私の登山のおもな目的は、若い頃はとにかく頂上に立つことであったが、今は歩きながら自然を身近に感じることに移っている。登山道を歩いてよく思うことは、その道を過去に多くの人が通り、今もその整備に携わる人がいて、そんなヒトと自然に親しむことができる喜びである。これからも新たな出会いがあるだろうが、どんな出会いが待っているかと期待して山に向かおう。