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2013年3月14日 (木)

【第271回】 生命の躍動T. N. (理科)

 ヒトの体は約60兆個もの細胞でできている。
 細胞のもつ全DNA(遺伝子配列)をゲノムというが、ヒトのゲノムはアメリカ、イギリス、日本などのプロジェクトにより、2003年完全に解明された。
 驚くべきことに、ヒトの遺伝子はその21%が細菌などの原核生物と共通であり、78%が脊椎動物など他の生物と同じである。残りわずか1%が他の動物とは違うヒト独自の遺伝子でできている。
 この1%の違いの遺伝子が細胞を作り、ヒトを作っている。ヒトは高度な社会をつくり、今では完全に地球の主人公となっている。

 毎朝、駐車場に車を止め、ドアを開けて外へ出ると、まず聞こえてくるのが、吹奏楽部の朝練の音階である。そして中庭にいるバトントワリング部員から放たれたバトンに朝日が反射して眩しい。自分の健康のため、ぐるりと校舎を一回りして歩くと、講堂からバレー部の、体育館からはバスケット部や卓球部の朝連の音が聞こえ、校内に入るとサッカー部や野球部員の明るいあいさつが待っている。
 まさに他の動物とわずか1%の違いから生じた60兆個の細胞が統一された生命の躍動を感じる一瞬である。