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2015年12月10日 (木)

【第404回】 言志四録の思い出T. H. (数学)

 人は少壮の時に方(あた)りては、惜陰を知らず。知ると雖(いえど)も、太(はなは)だしくは惜しむに至らず。四十を過ぎて已後(いご)、始めて惜陰を知る。既に知るの時、精力漸(ようや)く耗せり。故に人の学を為(おさ)むるには、須(すべか)らく時に及びて志を立て勉励するを要すべし。不(しから)ざれば即ち百悔すとも亦(また)竟(つい)に益無からむ。
 佐藤一斎の「言志四緑」にある文である。この文と出会ったのは私が高校3年生の時だ。学校の図書館で、漢文の参考書を眺めている中で出会った。当時、結構時間を無駄にしていたので耳の痛い言葉でもあり、何故か心に残った。教師になってから受験生を担当したときなど、何度もこの言葉を用いている。長い教師生活の中で、ずっと付き合うことになった言葉である。
 受験勉強の中で、様々な出会いや発見がある。私は理系であったため、漢文の勉強などはあまりする方ではなかった。ただ、そのときは、目前の課題として仕方なく取り組んでいた。当時面白いと感じて取り組んでいたものでも、現在は殆ど覚えていないものも多い。何が数十年後の自分の心に残るか誰もわからない。
 受験生諸君、受験勉強は苦しい。しかし、その中で自分の一生の宝物になるようなものに出会えるかもしれない。今はそれを信じて好き嫌いを言わずに取り組むしかない。センター試験も近い。合格を目指して頑張れ。

2014年7月17日 (木)

【第336回】 生活習慣を変える戦いT. H. (数学)

 40年ぶりに、家事をすることになった。突然家内が実家に帰ってしまったのである。母親が入院をしたためだ。夜、電話でかなり長期間になるという連絡があった。仕方なく積極的に家事をする覚悟をした。

 それから一か月以上経った。慣れてはきたがまだまだ効率が悪い。家事が下手なのが原因だ。所要時間が読めない。遅い。二度手間になる。先延ばしをすれば溜まる。理想的な生活パターンには程遠い。今は、新しい生活習慣を模索しながら、忙しい生活をしている。家事を楽しむ余裕などない。

 学校では、生徒に「学習中心の生活のリズムをつくれ」と言ってきた。「分からないことはその日のうちに解決せよ」とか、「暗記物は溜めるな」とか、たくさんの指示をしてきた。学習習慣が身についていなかった生徒は、今の私のように苦労しているだろう。しかし、覚悟を決めて積極的に取り組み、学習習慣が身についてきたら、勉強を楽しむことができる新しい自分に出会えるだろう。

 高齢者の私の場合でも、新しい生活習慣を身につけた時点で、少しだけ新しい自分に出会えるような気がする。「勉強を頑張りたい」という目標を持った生徒諸君、ぜひ自分との戦いに勝って学習習慣を身につけ、勉強を楽しむことができる新しい自分を手に入れて欲しいと願う。

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2013年4月11日 (木)

【第274回】 新しい気持ちで頑張りましょう。T. H. (数学)

 新入生の皆様、入学おめでとうございます。中学校と違って学校から遠く、通学だけでも時間がかかる生徒も多いと思います。部活動をする生徒はもっと大変です。環境も変わります。充実した毎日を送るために、早く高校生活に慣れてください。「克己心身を錬れ」といったところでしょうか。

 2、3年生の生徒は高校生活自体には慣れていると思います。しかし毎日の生活は充実していますか。緊張感は欠けていませんか。目標を持って毎日を送っていますか。易きに流れマンネリ化すれば、得るものは少なくなります。この機会によく反省をしてみてください。

 私は今年、3年生の指導に本格的に参入します。1年生から継続して指導してきた生徒が入試を迎えます。生徒と同様に、私も不安と期待が交錯しています。でもここまできたら、生徒と自分を信じで「やるしかない!」 一人でも多くの生徒が目標を達成することができるように、生徒とともに頑張りたいと思います。
 毎日の努力の継続は人間を変革します。充実した生活が送れれば、困難なことに対応できる自信が湧いてきます。お互いに高い目標を持って、逞しい人間になることを目指しましょう。

2011年12月15日 (木)

【第212回】 生徒諸君へT. H. (数学)

 本校3年目で初めて1年生の授業を受け持った。10年ぶり位である。久しぶりに受け持つとホーム担任をしていた頃を思い出す。遠方から通学してくる生徒や厳しい部活動に入部した生徒など、中学校の時と比べて生活が大変になる様々な生徒がいる。4月当初は早く高校生活に慣れて欲しいと祈ったものだ。

 そのほか1年の担任で大切に感じたのは10月~11月頃行われる類型登録、いわゆる文系・理系の登録である。自分の適性がよくわかっている生徒もいるが、わかっていない生徒も意外に多い。どの科目も十分学習した結果の適性なら信頼できるが、表面的な興味だけではわからない。ある程度深く学習してみないと見えてこないものがある。苦労してやってみて面白さがわかり、学力を大幅に伸ばす生徒もいる。「得意不得意に関係なく全科目を頑張りなさい。」と何度も繰り返し言ったことを思い出す。

 成長期の3年間は人間を大きく変える。部活動に打ち込めば心身ともに成長する。勉強に打ち込めば豊富な知識や柔軟な思考力が身につく。文武両道で努力した者は時間の使い方が上手くなる。毎年3年間で自分を大きく成長させて卒業する数多くの生徒がいる。こういう体験をして卒業する生徒は一生の宝物を得たようなものだ。卒業後も様々なことに自信を持ってチャレンジできると思う。

 成長期は夢のような時間である。体力は勿論、思考力、集中力、記憶力、知恵など、鍛えれば鍛えるほど向上する。ものの見方が深くなり、日々感動することもできる。こんな時期は他にはない。成長期が終わり30歳を超えると同じことをするのにもっと時間がかかるようになる。大切なのは今だ。一人でも多くの生徒がこのすばらしい時間を有効に活用し、自信を持って卒業していくことを願う。

2011年1月19日 (水)

【第167回】今思うことT. H. (数学)

 1月16日(日)全国都道府県対抗女子駅伝が開催された。
本校の生徒も石川県代表として参加した。
残念ながら上位入賞というわけにはいかなかったが、生徒は一生懸命頑張って走っていた。
出場選手には良い経験になったと思う。その努力に拍手を贈りたい。
過去の大会でどんな選手が参加していたのか興味があったのでインターネットで調べてみた。
最近は家にいながら様々なことを調べることができる。便利な世の中になったものだ。

 日本女子マラソン最初の金メダリスト高橋尚子選手を調べてみた。
岐阜県代表として確かに走っていた。高校2年のときである。
その頃は中距離の選手であったらしく、女子800メートルで岐阜県1位になっていた。
しかし駅伝の区間順位は47都道府県代表の中で45位であった。意外な結果に驚いた。
調子が悪かったのか。それとも中距離の選手に駅伝は無理であったのか。

しかし大学入学後は、学生選手権などで学生陸上界のトップランナーになっていく。
社会人になってマラソン転向後は世界一のランナーになる。
天才とはこんなものなのか。高校生のときにはどんな気持ちで走っていたのだろうか。

 長い人生の中で、いつ、どんな時に転機が訪れるのか誰もわからない。
自分の努力の結果がどんな形で花開くかもわからない。
今自分の思い描いている人生とは関係ない世界でささやかな成功をする人も少なくないと思う。
常に向上心をもって努力することがとても大切なことだ。

 1月15日と16日には大学入試センター試験が行われた。
「数学」という教科について、私は生徒のコーチ、指導者である。当然結果は気になる。
昔先輩の先生から、「生徒ができないのを生徒のせいにするな」と言われた。
できるように指導するのが私の責任である。
今年は責任が果たせたかどうか。
気になる結果はこの文章が公開される頃には出ているだろう。大変恐ろしい。
私も向上心を忘れず、しっかりとした指導ができるように頑張りたいと思う。