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2023年3月30日 (木)

【第776回】「25期生へ」中村 ゆかり (国語)

拝啓  
 桜の花も見頃となり、日本中が淡い色に包まれる季節を迎えました。花開くのを待ちわびていたかのように金沢の街中も多くの人で賑わっています。
 卒業から一ヶ月、25期生のみなさんはもうしばらくで新しいスタートを迎えることになりますが、毎日を充実させていますか、心と身体の準備は整っていますか。
 これまでを振り返ってみると、「あっという間だったな」という思いが強いのではないでしょうか。皆さんの高校生活はまさしくコロナ禍とともにあった3年間でした。卒業式の答辞にもありましたが、入学直後の休校に始まり、分散登校、行事の中止、と予期せぬことが相次ぎました。加えて部活動でも、ほとんどの大会において中止という状況でした。授業も同様で、さまざまな活動をよりよく実践するために必要なコミュニケーションに、制限が掛けられたものとなりました。
 「自分たちの高校生活はこんなはずじゃなかった」と3年間を振り返った作文の中に書かれた言葉に、誰が悪いわけでもないのですが、人として、教師としての無力さを感じずにはいられませんでした。国内外の感染に関する情報や実情に左右され、前向きになった気持ちを何度も打ち砕かれる本当に落胆の多い学校生活だったと思います。それでも皆さんのエネルギーは有り余るものがありました。できる限りの工夫をして臨んだ授業や進路決定に向けての取り組み。経験値が少ないながらも、仲間と助け合い、後輩たちの協力や先生方のアドバイスを受けて取り組んだ体育祭や学園祭。仲間と盛り上げよう、後輩たちをリードしようと行事の成功に向けて懸命でした。ときにその思いが先走り、友達と衝突したり、先生方から注意を受けたりすることもありましたが、それも皆さんには必要な経験であったと思います。
 この3年間、本当にいろいろなことがあり、もどかしい思いを味わったことだと思います。未だ充分な手立てがなく、これからも何が起こるか予測のつかないのが現状です。それでも数多くの試練を乗り越えた皆さんのこれからが、希望ある前途であることを願っています。

夢見てた未来は それほど離れちゃいない
また一歩 次の一歩 足音を踏み鳴らせ!
時には灯りのない 寂しい夜が来たって
この足音を聞いてる 誰かがきっといる

敬具

2023年3月23日 (木)

【第775回】「なぞなぞ」中村 裕行 (地歴・公民)

 昨年から、日本へ逃れているミャンマーの少数民族ロヒンギャの子どもたちの学習支援ボランティアに参加しています。曜日ごと学年別にオンライン上で教室が開かれ、ブレイクアウトルームに分かれて個別指導を行うのですが、ある時、私が担当する教室の全体ミーティングで「なぞなぞ大会?」が始まりました。その時、小学3年生の女の子が流ちょうな日本語で「1本2,000万円もする高級ワインが突然2,000円になってしまいました。なぜでしょう?」というなぞなぞを出しました。子どもたちだけでなく、私のような年配者から若い大学生までのボランティアの誰も答えられません。文字にするとわかりやすいかもしれませんが、正解は「栓(千)が抜けたから」だそうです。どこかで習ったにしても、私は「なるほど!」と感心してしまいました。

 早速、私も授業でこのなぞなぞを生徒たちに出してみたところ、ノーヒントで正解を答える生徒はいませんでした。その後、あるクラスでは倫理の授業のたびに生徒たちが私へ、なぞなぞを出してくるようになりました。最初のうちは、「トラックが野菜や果物を積んで走っていたところ、カーブを曲がる時に落ちてしまったものがあります。何が落ちたのでしょうか?」…「スピードだろ!」というように軽くいなしていたのですが、ある時、「毎月22日はショートケーキの日ですが、なぜでしょう?」と聞かれて、答えに詰まってしまいました。生徒が課題に取り組んでいる間も考えましたが、答えられませんでした。正解は、「イチゴ(カレンダーの15日)が上にのっているから」だそうです。私は大人気(おとなげ)なく、「ショートケーキの上はイチゴと決まっているのか!」、「ケーキ屋さんでショートケーキをくださいと言ったら、必ずイチゴのショートケーキが出てくるのか!」「そもそも思考とは、物事の定義付けをしっかりさせてからするものだ!」などと反論しましたが、取り合ってもらえませんでした。(笑)

20230323_5 (やっぱりイチゴか…) 

 何が言いたいかといえば、柔軟な発想としなやかな思考を身に付けたいということです。私が教える倫理の授業では、思考力や独創性を大切にしています。まさに、なぞなぞは頭脳のウォーミングアップとして最適でした。

 「押してもダメなら引いてみな」という言葉があります。倫理の授業でいえば、天動説と真逆の地動説をコペルニクス(ポーランドの天文学者 1473-1543)が唱え、「認識が対象に従う」のではなく「対象が認識に従う」のだとカント(ドイツの哲学者 1724-1804)はまさに思考のコペルニクス的転回を行いました。まさしくパラダイム(思考の枠組み)の転換です。

 押してもダメなら力ずくでこじ開けようとしている、そこのあなた! すっかり行き詰まってしまった感のある、そこのあなた! 解決策や打開策は真逆と言わないまでも、別の角度(視点)にあるのかもしれませんよ…。

2023年3月16日 (木)

【第774回】「卒業式」N. H. (保健体育)

 先日、【令和4年度 卒業証書授与式】が粛々と執り行われました。今年度の卒業生は、入学時から卒業まで、『新型コロナウィルス感染症』に翻弄された3年間の高校生活だったのではないでしょうか。数々の学校行事やイベントが中止・縮小され、今までの卒業生と比較すると生徒によっては、「この時代だからこそ中身の濃い」と感じた生徒がいると思いますが、多くの生徒があまりにも消化不良と感じた生徒がいると思わざるを得ません。
 ただ、ここ数ヶ月は、感染状況が落ち着きを見せ、日本政府は感染症の分類として「季節性インフルエンザ」と同等の『5類』へ2023年5月8日より移行し、法的な扱いが大きく変わることになると発表されました。確かにここ1・2年前よりも感染拡大が落ち着いてきているように感じられます。卒業式前後には、2年生の沖縄修学旅行や1年生の北海道修学旅行が実施されました。以前より学校行事やイベントでは制限などあり、何とか実施してきましたが、このような大きな学校行事が実施されたことは、今後大きな意味を持つことになると思います。

 『新型コロナウィルス感染症』がこれで、終息するとは簡単に考えられませんが、徐々にこれまでの「季節性インフルエンザ」と同じような扱いや捉え方になっていくのかなと思います。少しでも以前の日常を取り戻し、特に卒業生には、高校生活で経験したことをこれからの生き方に活かしてもらえたらなと思います。それと同時に今後の活躍に大きな期待を抱かずにはいられません。『夢』を持ち続け、諦めることなく、掴みとってほしいと願っております。いつかこの体験や経験が役に立つことになることを祈っております。

2023年3月 9日 (木)

【第773回】「行ってきます」中川 都 (国語)

 今年度、修学旅行が実施された。3年生が4月に大阪のユニバーサルスタジオジャパンへ、2年生が2月に沖縄へ行った。1年生は3月に北海道に行く。このコラムを書いているのは3月7日。1年生は2隊に分かれ、前半隊が今日出発する。私は後半隊なので、明日出発する。
 北海道では3泊し、「国立アイヌ民族博物館」「サケのふるさと 千歳水族館」「北広島市 FVILLAGE」「旭山動物園」に行き、小樽・札幌での自主研修がある。
 この修学旅行で、友人との仲を深め、見聞を広めてほしい。そして何より、大いに楽しんでほしい。
 行ってきます。

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2023年3月 2日 (木)

【第772回】「胴上げ」中川 光雄 (保健体育)

 胴上げとは、祭事において特定の者に対して、あるいは偉業を達成した者や祝福すべきことがあった者を祝うために、複数の人間がその者を数度空中に放り投げる所作をいう。

 本校硬式野球部でも、これまで夏の県大会で優勝した際に、監督や主将が胴上げされていた。
令和4年度の夏の県大会は、私にとって監督としてはじめて臨んだ夏の大会だった。結果はベスト8。優勝した星稜高校に惜敗した。
 惜敗した当日本校グラウンドにて、優勝したわけでもないのに、私は3年生達に胴上げしてもらった。
 小さい頃からの目標だった甲子園に出場できず、悔しくてたまらない子達が、負けたその日にこれまでの感謝の気持ちですといって行動を起こしてくれた。
遊学館野球を通じて、立派に成長してくれたと実感させてもらった出来事だった。

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3年生諸君、卒業おめでとう!!
新たなステージでさらなる活躍を祈っている。