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2020年12月31日 (木)

【第661回】 「2021年へ」植木 大 (保健体育)

 2020年、皆さんにとってどのような年でしたか?思い返すと、新型コロナウイルス感染症による臨時休校に始まり、東京オリンピックの延期、各大会やイベントの中止など、誰もが予想もしなかった事態への対応に追われた1年でした。その中でもインターハイの中止は、3年生の気持ちを考えると涙が止まらないくらい悲しい出来事でした。多くの人たちが、同じように悲痛な思いをしたことだと思います。
 普段から選手には「人間力が試されるのは、色々な困難や苦境に立たされた時にどのような振る舞いや言動をするかだ!」と伝えています。きっと正しい行動・言動をし、人間力向上のためにも頑張ってくれることでしょう。
 12月には嬉しい出来事が二つありました。一つは、北信越高等学校選抜卓球大会が開催され、男子卓球部は19年連続20回目の優勝をし、全国高等学校選抜卓球大会への出場権を獲得しました。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、大会を開催していただいたことに感謝します。

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 二つ目は2019年5月から実施している小学生の見守りボランティアで、クリスマスにサンタさんに仮装し、小学生に喜んでいただいたことです。
 これは3年生からの提案で、コロナで世の中に元気がないので、少しでも笑顔になってほしいと実施しました。小学生どころか大人の方々にも喜んでいただき大好評でした。彼らの行動力と成長に感動しました。

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 2021年、皆さんにとって素晴らしい年であることを祈念しながら、私自身も選手とともに人間力アップしていきたいです。

2020年12月24日 (木)

【第660回】 「人を理解するということ」I. I. (国語)

 大阪大学総長などを歴任した、鷲田清一先生は、僕の尊敬する哲学者です。
 鷲田先生の言を借りれば、「理解」という語には、「意味、内容をのみこむこと」という意味のほかに「相手の気持ちや立場に立って思いやること」という意味があると述べておられます。

 つまり、人を「理解」するというのは、感情や意見の一致を見るということではなく、あの人はこんなふうに感じているのかと、人と自分との違いを思い知るということです。
 だから、人の理解においては、その人と同じ想いになることではなくて、自分には理解できなくても、その人の想いを、否定するのではなく理解しようと想うこと、わかろうとする姿勢が大事だということです。
 相手には、その姿勢こそが伝わり、言葉を受け取ってくれたという感触のほうが、主張を受け入れてくれることよりも意味が大きいと、先生はおっしゃっています。

 ストレスフルな現代社会において、子供たちは、多くの悩みを抱えています。
 われわれ教師は、授業を通して、学問を教授するだけではなく、子供たちの悩みに対して、「理解」を示し、対応しなければなりません。
 子供たちの悩みに答えを与えることは、至難の業です。
 ただ、その悩みに寄り添って、一緒になって考える。苦しみ、悲しみを分かち合うことしかできません。
 でも、その姿勢がとても大切なんだと思います。

 先日、授業で「論語(ろんご)」を教えました。

 「論語」は約2500年前の中国で、主に孔子の言葉を集めた本で、日本でも長く親しまれてきました。
 漢文の嫌いな生徒が少なからずいますが、私は、訓読読解の授業の後に、時を超えて今でも残っている、孔子の理念を生徒に伝えています。

 例えば、孔子の大切にしている言葉に「(じょ)」があります。

 子貢(しこう)問いて曰く「一言にして以て終身これを行うべきものありや」
 子曰く「それ恕か。己の欲せざる所は人に施すなかれ」

 孔子の弟子である子貢は先生(孔子)に聞きました「生涯守るべき事とは一言で言うと何なのでしょうか?」
 孔子は答えました「それは恕だ。自分が好まないものは他人にも押しつけてはならない」

 これを受けて、福沢諭吉も著書『福翁百話』で「己れの欲せざる所を人に施す勿れとは之を恕の道と云ふ」と書き残しています。

 「(じょ)」とは、思いやること、思いやり、同情、寛大さ、優しさ。
 そして、私は、「恕」とは、「理解すること」「寄り添うこと」だと信じています。

 人間にとって最も大切なこと。
 それは「人を理解するということ」ではないでしょうか。私は、そう思います。

 人生を通して、学び、体験し、仕事をし、生活をし、強くたくましくなって、そうして「人を理解するということ」を実践できるといいですね。

2020年12月17日 (木)

【第659回】 「大切な「1曲」 人を繋げる歌」I. Y. (英語)

 私は音楽が好きです。何でも、というと嘘になるかもしれませんが、基本的には様々なジャンルの音楽に興味があります。その中でもよく聞くジャンルは、洋楽や邦ロック系が多いです。
 音楽は聴くだけでもいろいろなパワーがもらえると思うのですが、自分自身の人生や生き方、性格にもたくさん影響を与えてくれているなと、私は思っています。
 私がよく聞くバンドの音楽には、いつも「頑張ろう」と思わされる楽曲が多いのです。そのバンドは、今年6月に結成20周年、メジャーデビュー15周年を迎え、年齢的にも若くはない彼らですが、その歌や音楽はいつ聴いても衝撃を与えてくれます。
 彼らの楽曲の中でも、私の大好きなフレーズの1つが、

   「欲しかった物は その気持ちを失ったときに
    僕が僕じゃなくなってしまう そう思える そんな生き方を
                   「7日目の決意(UVERworld)

 というフレーズです。この歌の歌詞にはいつも勇気付けられています。自分の思いを正直に出して生きていくのは大変だけども、自分の意思や信念は大切にして生きていきたいと思わされます。

 他にも、好きな音楽や歌を通して、たくさんの人と知り合えました。家族の影響ではありますが、70年代や80年代の歌を知っていたからこそ、その話題から話をする人や知り合いも増えました。また、ライブ会場で知り合った県外の友達もたくさん出来ました。今でも連絡を取っている人もいます。人と人を繋いでくれるのも、音楽の力です。

 音楽や歌はその人それぞれに様々な感情を与えてくれます。勇気をくれる、励ましてくれる、慰めてくれる、感動を与えてくれる… このコロナ禍でも多くの芸能人が歌で元気を与えてくれました。
 みなさんにとっての大切な「1曲」は何ですか。
 自分自身、素敵な人生を送れるようなみなさんの「1曲」を大切にしてください。

2020年12月10日 (木)

【第658回】 「ストリートダンス同好会から部活動へ(今年度の活動)」磯部 早紀 (数学)

 ストリートダンス部は今年度、同好会から部活動への昇格を果たしました。しかし、新型コロナウィルスによる休校や、出演イベントの中止などにより、実質的な活動が制限されてしまい、思うように活動できない日々が続きました。
 そんなときニュースを見ていると、自粛中にSNSを通じて多くの方がつながりを実感しているという内容の特集がありました。新型コロナウィルスの影響で多くの人と人とが疎遠になっている中、SNSを通じて多くの人が人と人とのつながりを実感していることが本当にうれしく感じました。それから私は、このような現状になってしまったのは誰が悪いからなのかという議論をやめました。今の環境や置かれている現状に対して悲観的になるのではなく、今だからこそできることはないかとポジティブに考え、以下2つのことに取り組みました。

①‟金沢を元気に!~私たちが今できること~“のダンス動画作成
→金沢の観光地をめぐり、ダンス動画をつないで金沢を元気に、そして多くの人を笑顔にという思いで踊り、学校公式のインスタグラムに動画を載せました。また、夕方の石川県情報番組レオスタの特集を組んでいただき、遊学館高校ストリートダンス部の認知度があがりました。(以下写真)

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②朝の情報番組「スッキリ」の #ダンスONEプロジェクトへの参加
→9月中旬に練習を始めたのであまり時間がなかったのですが、バトン部部員のみなさんをはじめバトン部顧問の高橋先生、コーチ陣のみなさま、さらには吹奏楽部大嶋先生(ドローン操作)の多くのご協力をいただきながら、無事動画を撮影し、編集することができました。ご協力いただきましたみなさま、そして企画してくださったスッキリ運営スタッフのみなさま、本当にありがとうございました。特にバトン部とコラボできたことは本当にうれしく、良い刺激となりました。コロナ禍だからこそ実現したコラボであり、生徒の良い思い出になればと願います。(以下写真)

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2月にある遊学講座閉講式ではミュージカル講座(講師:泉つかさ先生)のみなさんとコラボさせていただきます。例年のように金沢歌劇座での開催はできませんが、動画でみなさまに届けられればと思います。(学校公式インスタグラムに動画を載せる予定です)
URL:www.yugakkan.jp(遊学館高校HPから公式インスタグラムへアクセスできます)
是非学校公式インスタグラムのフォローをよろしくお願いします!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

2020年12月 3日 (木)

【第657回】 「支える」飯田 小次郎 (地歴・公民)

 私は遊学館高校から巣立った卒業生の一人です。あれから4年の月日が流れ、今、教員という立場で母校に帰ってくることができました。

 私が此処、遊学館高校で過ごした3年間という時間は人生の中で最も濃密な時間でした。また、私自身の人生において何にも代えることのできないかけがえのない財産となっており、遊学館高校で過ごした日々に誇りを持っています。

 今、教員という立場に立ち、生徒を見ていると私自身の学生生活が思い出されます。クラスメイトと先生の話に耳を傾けた授業、休み時間に笑顔が溢れた教室、学校全体で盛り上がった体育祭などの学校行事、そして、毎日必死になって打ち込んだ部活動。4年が経った今でも鮮明に思い出されます。それと同時にあれだけの濃密な時間を過ごすことができたのは多くの方々の「支え」があったからなのだと、つくづく実感しています。

 私は現在、硬式野球部のコーチをしており、生徒とともに日本一を目標に、日々練習に打ち込んでいます。「1年目で結果を出す」それが今年の私の目標でした。しかし、現実は甘くなく、私の未熟さ、脆さが多く出た1年となり、とても悔しい気持ちでいっぱいです。そこで自分自身を見つめ直し、自分に足りないところは何なのかを考えました。そして私が出した答えは「支える」力でした。生徒が悩んでいるとき、苦しいときに支えることができたか。嬉しいとき、楽しいとき一緒になって喜べたか。成長の手助けをできたか。まだまだです。

 遊学館高校で過ごした学生時代をよく振り返ってみると、冒頭でも書きましたが学校生活において部活動の先生、クラスを持っていただいた担任の先生、私自身に携わってくださったすべての先生方の「支え」のおかげで充実した学生時代を過ごすことができました。

 現代社会は、新型コロナウイルスの影響により新しい生活様式を強いられ、学生の部活動では甲子園大会の中止やインターハイの中止など、未だに混乱が続いています。また、高度情報化などにより生きやすくもあり、生きにくくもある時代に我々は直面しています。しかし、そんな現代社会に私たちは対応し、変わり続け、現実を受け入れて生きていかなくてはいけません。そんな現代社会を生きる高校生は、不安や焦り、恐怖など様々な感情が入り乱れていると思います。このような現代社会で今度は私が、満開の桜に囲まれた体育館から多くの生徒が「遊学館高校に来てよかった」と言い、巣立っていけるよう、生徒と向き合い「支える」ことのできる教員になりたいと思います。