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2018年8月 2日 (木)

【第539回】 『受験生』S. Y. (理科)

 現在3年生の担任をしているが、この時期の受験生の気持ちはたぶん、不安・焦り・よくわからない(現実を受け止めていない)のどれかではないかと思う。
 中学3年生では、進学する高校を決め、さらには理数科など文理選択を伴う決定をしてしまう生徒もいる。高校に入れば、1年次に文理選択やコース選択があり、3年では卒業後の自分の人生と向き合わなければならない。最終的には皆、就職する方向に向かって動いているわけだが、生徒一人一人によって、目指す進路も多様化し、就職や専門学校・短大・大学への進学等様々である。特に遊学館は、ダイバーシティが生徒の個性と同じくらい進路指導に関しても存在している、なかなか珍しい学校ではないだろうか。
 この社会では何歳までに就職しなければならないという決まりはない。それぞれがそれぞれのタイミングで社会の仲間入りを果たしていくだけである。ならば、それまでにどれだけこだわりを持って、自分自身と向き合うことが出来たかということが最も重要だと私は考える。結局、大学に進学しても就職が延期になっただけと考えるならば、その時間を何に使えばよいかということになる。ある人は留学して自分だけが体験したことを糧として、就職に向き合っていくであろうし、ある人は自分の興味関心のある分野をとことん探求することで、学び続ける面白さに気付き、就職に結び付けていくかもしれない。
 大学は専門学校と違って、職業訓練的な要素はかなり少ない。みんなが行くから自分もではなく、自分だけのこだわりを持って進学してほしい。専門学校のように、もう何者になるかを決めて進学する人のほうが、高卒で社会の一員として就職をする人のほうが、実は自分と一番向き合えた者なのかもしれない。
 しかし、実際はどんな選択をしようと自分自身としっかり向き合った上で結論を出せた者は少ないのではないだろうか。だからこそ、中学生だろうと高校生だろうと受験生には、自分が就職するまでに必要だと感じる時間を逆算して考えてほしいと思う。その時間が君たちに残された社会人になる為の時間である。だから、1分1秒も無駄にはできないし、受験がゴールとなることもない(社会人がゴールであるわけでも決してない)。
 今の漠然とした不安や焦りは自分自身と向き合う絶好のタイミングと捉えて最後まで諦めずに、自分だけのこだわりを貫いてほしい。