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2016年1月14日 (木)

【第408回】 ずっと山を歩いて来た鳥畠 正明 (理科)

 もう40年以上、山に登り続けている。たどり着いた頂きは、多分百座を超えるだろう。取り分け、北アルプスの主稜線は、全て歩いた。
 山行での数多くのシーンを覚えている。
 別山から見た剱岳の偉容。北アルプスど真ん中、水晶岳山頂からの360度の大パノラマ。ジャンダルムでは見上げる逆層スラブに震えた。完全にクライミングハイになった大キレット通過。黒部五郎カールを流れるせせらぎ、岸辺の花。蓮華岳でのブロッケン現象。オオシラビソの林をゆく時の甘やかな香り。南岳のコマクサのピンクの絨毯。燕山荘から抜け出して見た夜空に宝石を散らまいたような星々。船窪小屋の心のこもった素晴らしい食事。5時間の下りで霧の中、誰一人出会わなかった仙丈ヶ岳。
 まだまだ、沢山の思い出を記憶の中から取り出すことが出来る。こんな思い出を沢山持てた人生、そして山々に感謝している。

 さて、年若い遊学生諸君よ。ヴァーチャルな世界での遊びも面白かろう。自然と隔絶された快適な空間で過ごすことも、それなりには素敵なことだろう。
 それでも、一生のうちに一回でも、山に(それも、そこそこ高い山に)に登ってみることをおすすめする。そこで受け取る体験は、何ものにも代えがたい。
 どんなに苦しくても歩いている限り、必ず頂上に着く。そんなことも山は教えてくれる。実感出来る。ベルグ ハイル!

Img_38701※燕山荘から臨む燕岳