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2015年11月 5日 (木)

【第399回】 まさか、教え子が甲子園にS. K. (数学)

 今年の遊学館高校の野球は、盛り上がりました。私は七尾高校との試合を県立球場に観戦に行きました。これでも昔から勝負の世界をよく経験してきているので、「大事な試合に、おれが行ったから負けたのだ」と勝手に考えたりしてしまうので、多分勝ってくれるだろうとの思いもあって、七尾高校戦を見に行きました。しかし、相手の投手は軟投で、意外に点が入らなかったのです。日差しが強くなったので、相手側のスタンドで観戦しましたら、なんと数学を教えていたG君が代打で打席に入りました。あの子のパワーならスタンドもありえると思っていましたが、三振に倒れたのです。何やら肩に力が入っているように見えました。やはり高校野球は難しいもんだなあと痛感しました。しかし、その後、勝ち進んで見事に甲子園にコマを進めたのには感動しました。
 体育館の壮行会では、選手のユニホーム姿は、美しかった。それだけでも一人一人の人生に輝く一ページになるのです。
 この私も、前の学校で野球の応援(団長)に行ったことがあるのです。創部間もないころで、応援団もないので、バトン部とブラスバンドで行ってこいと指示されて行ってきました。穴水高校との試合の応援に行ったのです。試合の方は。20点以上の大差でコールド負け。相手は2番手、3番手の投手を出してきましたが、ほとんどヒットは打てなかったのです。試合終了の後、バスに乗ろうとしたら、恥ずかしながら急に涙が止まらなくなったのです。周りの者たちは、余りの大敗に、先生は悔しすぎて、泣き出したのだと思っていたようですが、実のところ、あの女学校がこうして高校野球に出られた、試合ができた、そのことの感動で、胸が爆発したのであったのです。スコアボードに自分の高校の名前が出たのを思い出してしまうと、さらに嗚咽が倍加しました。わたしは、小学生のころから野球にはそれなりの、思い入れがあったのだと、自分を見つめています。
 そのあと、縁あって、この学校に勤めさせていただき、なんと現実に数学を教えていた生徒が甲子園に行ってくれるとは、自分の人生に驚いています。神様のいたずらかもしれませんが、余りにも出来すぎている自分の人生に、これまた感動しました。しかも全国の強豪相手に1勝してくれるとは。
 私は、勝敗にはあまりこだわっていません。勝負というものは、何しろ、一つしかないものをお互いに死力を尽くして奪い合うのですから大変です。数学の問題のように、ただ解いてくださいと、黙っているわけでなないのですから。人間と人間の勝負は、それは大変です。
 高校生の部活動などいつも、勝負はついて回ります。相手も勝とうとしています。そのとき、相手に勝とうとするのではなく、今の自分にとって一番ふさわしい結果が与えられるんだという、信念を持つということです。もし敗退という結果が与えられたとすれば、それは今の自分にとって一番ベストな結果だと信じることです。その後の努力がさらなる君の成長を促すのです。いつも考えてほしいことは、みなさんの人生の一つ一つの結果には、何らかの意味があります。その意味を問いかけて、さらなる前進を続けてほしいことです。