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2015年9月 5日 (土)

【第392回】 就職戦線真っ只中!牛腸 尋史 (英語)

 就職指導を担当して今年で2年目になる。進学指導で30年やってきたため、同じ進路指導であっても勝手が違い、戸惑うことも多くある。その反面、学校関係者以外の方と接する機会が少なかったため、様々な職業に就かれた専門家の方たちとお話をさせて頂くことは、私にとって新鮮で勉強になることも多い。就職は、進学よりもスタートが早く、9月5日に応募書類の提出が始まる。9月4日にこのブログを書いているので、今はまさに就職戦線真っ只中である。生徒が就職を希望する理由は、「早く独り立ちがしたい」や「就職しなければならない」、「勉強したくない」、「やりたい仕事がある」など、様々である。理由や動機は違っても、1年後には私たちを同じ社会人になることには変わりない。
 私も、高校2年生までは就職を希望していて、その理由は「勉強したくない」か「早く独り立ちがした」というようなものだったと思う。「就職」=「大人」、「進学」=「子ども」程度の変に背伸びした考えもあったのだろう。そんな私が大学に進学することになったのは、いざ真剣に職業を考えた時に何を選んだらいいのかを決断できなかったからである。実はその頃、料理が好きだったので「コックさんか板前さんにでもなろう」と考えていた。しかし、料理を自分の職業に決断する段になって、「本当にいいの?」と考え始めてしまったのである。「自分が好きな料理は、好きなものを好きな時に食べてほしい人につくるものであり、それを職業にすることは本当に幸せなのだろうか・・」などと考えてしまうと、頭の中は完全にフリーズしてしまったのである。就職もあまり明確な意思や目標を持てていなかった上に、進学する時も「もう少し自分の将来を考える時間が欲しい」というお粗末な理由だった。これは単なる問題の先送りでしかなく、結局は就職について考えなければならないわけであるが、やはり大学生になると無計画な私でも考え方は多少柔軟になるようで、たどり着いた職業観は、「仕事そのものを目標にするのではなく、自分の性格や特長を活かした職業を選びさえすれば、どんな仕事でもやりがいや面白さはきっと見つかる」ということである。私の場合は、「たくさんの人と接して、人の助けになれたらきっとやりがいを感じるだろうなぁ・・」が出発点であった。その先に見えたのが教師だった。私の場合は、運よく最初に思いついた職業に就いて今に至っているわけである。自分の30年間を振り返ってみても、自分のやりたいことをさせてもらっているなぁと思うことができる(勝手気まま過ぎてたくさんの方に迷惑をかけてしまってもいるだろうが)。
 だから、もし「教師になりたい」と思っている人がいたら、「なぜ教師なのか」を考えてみることも大切なのではないかと思う。私と同じように「たくさんの人と接して、人の助けになりたい」と思ったのなら、それを感じることができる職業は他にもないか考えれば、選択肢はかなり増えるのではないだろうか。幅広い選択肢を持つことができれば、幸せややりがいを感じる職業に就くチャンスもきっと増えると思う。
 いずれにしても今年、就職を希望する3年生が社会人なる時の最初の一歩で少しでも力になって、大学生の時に思っていた「やりかい」を感じることができるように頑張りたい。