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2013年5月 2日 (木)

【第277回】 巴里の日本人寺山 いずみ (養護)

 少し前の話になりますが、年末から新年にかけて、パリに行って来ました。今回の旅行の目的は二つ。

 一つは、オランジェリー美術館に、きものを着てモネの図柄の西陣の帯を締めて行き、モネの睡蓮の前で写真を撮ること。なのに・・・残念ことにオランジェリー美術館は写真撮影禁止(4年前は写真が撮れたのに・・・)になっていて、達成することは出来ませんでした。でも、美術館で一緒になった外人のカップルが、帯をとても褒めてくれました。睡蓮の絵画と西陣織の睡蓮を堪能してくれたようでした。

 二つ目の目的は、きものを着てオペラ座に行くことです。パリにはオペラ座が二つあります。言わずと知られたガルニエと新オペラ座とも言われるオペラ バスティーユです。それぞれ2回、計4回通いました。バレエ・オペラは素晴らしく、とても楽しみました。

 さて、きものの効果は??? 絶大でした。バスティーユではクリスマスツリーの前で、写真を取られたり、家族写真の中に入ったり。また、「ジャパン・レディー」と、囁かれたりしました。
 ガルニエでは、売店で「ありがとう」と日本語で挨拶され、休憩のときには、素敵なマダムが近づいて来て「あなたは美しいです」と2回繰り返し去っていきました。一番の出来事は、『シンデレラ』のオペラの時です。舞台横の小部屋のような9席を仕切った3列の一番後ろの席で、舞台が半分しか見えません。残念に思っていたら、一つ前の席のムッシュが、「マダム、この席にどうぞ。私はいつでも来られますから」(フランス語も英語も分からないので、推測ですが)と、席を代わってくれました。まぁ~うれしい。舞台が見えます。確かに・・・チケット代もほぼ3倍ですから。「メルシィー」を連発する私でした。一張羅を着て挑んだ甲斐がありました。
 オペラ座の建物はすばらしく、舞台も最高で、敬意を示した和装で行って良かったです。パリの人々も敬意を持って受け入れてくれるのだと、実感しました。

 オペラ座以外でも、きもの効果は絶大です。ガルニエ近くのブランドショップでは、「何か、お手伝いしましょうか?」「着物で来店した方は初めてで、うれしいです。」と、悠長な日本語でフランスの店員さんが声をかけてくれます。高級食品店でお買い物も、○○さん~と日本人の店員さんを呼んでくれます。地下鉄の駅では、ナイスガイが「いいねぇ~」とジェスチャーしてくれます。街や地下鉄で注目されながら、おもしろかったことは、みんな、目線が頭から順に下を見ていくのですが、足元のお草履で、ピタッと止まることです。「この人、なんでこんなビーチサンダルなの?」と。思っているに違いありません。着物は知っているけど・・・草履は?

 日本の民族衣装で日本人を主張しながらの旅行もいいものです。なぜなら、洋服で歩いていると、「アニョンハセヨ」とか「ニ―ハオ」って声をかけられます。東洋人は、みんな一緒のようです。

 最終日、モンマルトルを散策する私の前方から日本のカップルが・・・・女性は着物です。「なんで?モンマルトルで、き・も・の???」と思う私・・・「そうか~元旦です・・・。やられた!」と思った私でした。日本のお正月!きものですよね。