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2012年8月17日 (金)

【第242回】 脳、そして男と女(性差)I. K. (理科)

 「ヒトは何のために生きるか」…古来から繰り返し出される問題である。

 生物学では、「すべての生物は自己の遺伝子を残すために生きている」と結論づけられている。
 主体は遺伝子であり、生体はただ単に次世代に遺伝子を残すための乗り物に過ぎないとまで言われている。
 本当にそれだけなのだろうか。

 生存の目的が遺伝子を残すことにあるのなら、生殖を終わった生物は生きている必要はないことになる。
 動物には一生に一回だけ生殖する一回生殖動物と、一生に複数回生殖する多数回生殖動物がいる。
 一回生殖動物は子供が誕生後、ほとんど自滅する。カイコガなどは一度きりの突発的な生殖を行い、その後すぐに死亡する。成虫のガは口すら持たず、2〜3日で餓死する。
 多数回生殖動物は哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類など多数がこれに属するが、ほとんどの種類はまだ生殖可能の状態のまま死亡し、野生動物で生殖能力を失った動物が長く生き続けることはまずはない。

 人間はどうだろう?生殖能力を失ってから、さらにそれまで生きてきたと殆ど同じ年月生存している動物は人間以外にはいない。平均寿命年齢が年々伸び、社会問題にもなっている。

 ヒトはヒトであるが故に種の保存のみのために性は存在しない。」(定塚 甫 著 「性科学」)

 「おめでとう!!、男の子?女の子?」…赤ちゃんが出来た人にまっ先に言う言葉。赤ちゃんがどんな子ということよりまずは男か女か・・・「男か女か」、性別が一番大事だから。
 男女平等と言われている現在(我々、終戦直後に生まれた団塊世代では、とても考えられないが)、異性とも同性とも自然に付き合い、スポーツも料理も同じように気軽に話題にし、職場では屈託なく競争する。男も女も同じようなものだというふりをする。
 しかし、子供が生まれると、男女の違いを無視するわけにはいかなくなる。生後間もないころ目立つ違いは、ほとんどないが、乳児から赤ちゃんに成長していく過程で興味を示すおもちゃも、男女でかなり違う。
 脳も男女で重さ、形も違うと言われている。脳の大きさの差異は、成人後の男女の体格差と一致する。女の子の脳が小さいことが、男の子より脳の成長のピークが早く訪れる。思春期も男の子より1〜2年早く成熟する。
 性の分化は胚の発生初期に始まり、脳の性差も生じる。ヒトでは男が女より攻撃性が強く、空間能力に優れている、と言われている。

  面白い記事を、見つけた。
 …生物学的にいえば、人間はまだ石器時代の狩猟民なのだ。ー現代の人間が森の中に放り出されたら1週間すら生き延びることが困難としても、人間には遺伝的要素以外に、柔軟な適応能力が備わっており、男性の脳は、ほんのわずかだとしても、女性の脳と構造が異なっていて、それが方向感覚とナビゲーション能力に現れている。つまり、男性が地図を讀めるのは、進化の観点から全く正当な行為である場合もある。…(アレン・ブラングドン)

 知性の脳にも男女の差異はあるのか?
 アメリカにおけるメンタルテストでは、読解力、感覚の速さ、連合記憶においては女性の方が優れ、数学や社会科学においては男性の方が優れていると言う統計が出ている。

 授業をしながら、この子はもっと伸びるのではないかな、と思う時がある。

…この子達のせっかくの芽を伸ばしてあげなくては…
そう思い、微力ながら毎日頑張っている、つもりであるが…

蛇足
「男と女、どっちが得か。」
 シロアリの女王アリや女王バチは特別な食べ物を与えられ、ただ生きて子供を産み続ける。産卵し続ける事が果たして幸せかどうか。働きアリや働きバチは同じメス(♀)ながら「この差別はなに?」なんて思わないのか?
 蜂のオス(♂)は用が終われば捨てられる。哀れなものである。

やっぱり人間に生まれてきて良かった。相変わらず変なことばっかり考えている私である。