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2010年10月13日 (水)

【第154回】アフリカ旅行I. K. (理科)

 「涼しい!」7月29日正午、たった一人で、ケニアのナイロビ空港に降り立った時に最初に感じたことです。
アフリカってとっても暑く、みんな裸…と思っていたのに。
目の前のアフリカは、今まで行った国の飛行場と比べてみて、同じ景色、同じ空気、同じタクシーの列…。
でも、私の心臓の鼓動はバクバク。
やっとこさ入国手続きを終え、ここで、娘に会えなかったら、どうしよう…
このアフリカの地で野垂れ死にか…と。

周りは真っ黒な巨人ばかり。
わけの分からない言葉(英語とスワヒリ語?)、
好奇心いっぱいの目でこの変てこなおばさん外人(私のことです)を
意味ありげな目でじろじろ見ながら通っていくケニア人たちに、身の縮む思いでした。
だから、到着ロビーで娘の姿を発見したときのうれしさといったら…
娘が超美人に見え、「地獄に仏」を実感しました。

 娘は結婚して、名前は伊藤紀子、東大経済学部博士課程で、開発経済なるものを研究しています。
「アフリカ経済の貧困と対策」をテーマとして、ケニア農村を調査し、今回も6月からケニア入りし、ビクトリア湖畔のオバマ大統領の出身地近くの村で2ヶ月あまり調査していました。
現地調査も終え、後は資料を集めるためにナイロビにきて、私と合流した、という次第です。

 タクシーで、むき出しの赤い大地を土埃を立てながら中心部のダウンタウンへ。
超近代的なビル、崩れ落ちそうなビル、ただただ混沌、雑然とした町並み、ひしめき合ってる車、たくさんのケニア人が目をぎらぎらさせながら、エネルギッシュに歩いている姿に、鳥肌が立つ思いでした。大渋滞、信号は守らない。回りを見渡すと、車の半数は日本のトヨタでした。都心の一角に「EAST AFRICA OF TOYOTA」と書かれた会社がありました。

 ナイロビはイギリスが植民地化してから発展した街で郊外には欧風建築の高級住宅地がひろがり、気候は1年を通じて夏の軽井沢といった感じで年平均気温は約20度。

 でも、都会は疲れました。
都会を離れ一週間、サファリツアーに行ってきました。
アンボセリ国立自然公園、ナクル湖、マサイマラ自然公園などへ。
ゾウ、ライオン、キリン、シマウマ、などたくさんの動物達が、生き生きと暮らしていました。
ここでは、主役は動物達で、空間、時間はすべて動物中心。
われわれ人間は小さい車の中から遠慮がちに見ているだけ。

ナクル湖は湖面がピンク色に染まるくらいのフラミンゴ。
バリバリと大木を食べているゾウ、草原のど真ん中でライオンが交尾し、ラブラブで首を絡ませあっているキリンのカップル、なんかの肉を食べている太めのチーター(妊娠か食べすぎか)、その上でハゲタカがおこぼれ頂戴と待っている。まさに動物天国です。動物達ののびのびした姿に、日本の動物園の動物達の姿が重なり、複雑な思いでした。

 今回の旅行で、異文化に接することで、今までの物事に対する価値観も少し変わりました。
 動物社会は「性の公開・食の隠匿」、その中で人間はどのような過程を経て「性の隠匿・食の公開」となったのか?
現世人類はアフリカで誕生し長い年月をかけて全世界へと拡散していったといわれているのに、なぜアフリカがこのように文明に取り残され、貧困が多いのか?…などなど。

 生物の授業では、人間も動物たちの一員であるということ。
謙虚な気持ちで、自然に接しなければならない事、などを生徒達と考えながら、すすめていこうと思っています。

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