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2010年4月21日 (水)

【第130回】親の意見と濃霧は次第に身に染みるT. Y. (国語)

 今年度から「日本漢字能力検定」(通称:漢検)の受付や申し込みの担当になりました。

 昨年度から自主講座で漢検を指導はしてきましたが、スムーズに受付から合格の通知までできるか今からドキドキしています。

 世の中には、たくさんの資格があります。
そして、数年前から「資格ブーム」と呼ばれる現象が起こり、今では資格を取るためのゲームまで存在しているようです。そのため、テレビCMでも「資格を取ろう!!」という台詞をよく目にするようになりました。

 私は「資格」と見聞きすると、数年前に亡くなった祖母を思い出します。
私の祖母は産婆さんをしていました。私も祖母に取り上げてもらった一人です。病院へ泊まり込みで仕事をするなど忙しい毎日を送り、収入も一般家庭くらいを維持できて平凡な家庭生活を送っていたようですが、祖父が役場を早期退職してからさまざまな事業を始めては人に騙されたり、権利を取られたりと失敗続きでずいぶん貧しい生活を送らざるを得なくなってしまったようです。

 そんな貧しい生活を送っていた祖母には母親を含め4人の子供がいました。お金も無く食べる物も着る物も粗末な家でしたが、祖母は資格を取る為や勉強の為にかかるお金だけは惜しまず何とか工面していたそうです。

 高校時代は部活と学校の勉強だけを頑張れば良いと思って、資格の為の勉強なんて面倒くさい思いながら過ごしていた私は、母親になぜ「資格、資格」とうるさく言うのかと尋ねました。
すると母親は、「おばあちゃんがよく言ってたのよ。『資格は誰にも取られない、誰にも代わることのできない、自分だけの唯一の財産なのよ。お金が無くなっても、家が無くなっても、資格という財産は無くならないの。』って。だから、私もあなたに財産を増やして欲しいのよ」と答えました。

 祖母の話を聞いてから私は「資格」というものの大切さに気づきました。
そして、大学で教員免許を取得し、現在自分の財産を大いに活用し、日々苦戦しながらもやりがいを感じ充実した人生を送っております。きっと天国の祖母は喜んで毎日見守ってくれていることでしょう。

 遊学館の生徒にも漢検をはじめ様々な財産を増やしてもらいたいと思います。