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2008年7月23日 (水)

【第47回】POWER TO MAKE DREAMS COME TRUE牛腸 尋史 (英語)

 今年の春にも3年生420人が卒業していきました。私自身もクラス担任を持っていましたので、とても思い出深い卒業式になりました。今回は、私が担任をした42人の子どもたちではなく、他のクラスのある生徒のことをお話ししたいと思います。

その生徒との出会いは1年生の学年末でした。卒業式も終わって2年生が研修旅行に出かけている間に、英語のピンチヒッターとして教室に行ったことがきっかけでした。授業の途中で初めて話しをした時、「中学校の時から英語が苦手で、全然わからない」と言ってきました。私は、「まだ1年生なんだから、今からでも十分挽回できるよ」と答えたように思います。するとその生徒は「本当に?」と、幾分疑いの眼差しで私に聞き返してきました。

 翌日、私はその生徒に中学の総復習をするための問題集をプレゼントしました。それからその生徒との問題集のやり取りが始まりました。それこそbe動詞の使い方から始まり、新しい文法を説明し、その後で問題を仕上げてくる。1週間に1回か2回はそれを繰り返していたと思います。

正直、「最後まで続くのかな」とも思うこともありましたが、その子は決してあきらめませんでした。「私はできる!」と、魔法の呪文のように、自分自身にそう言い聞かせながら頑張っていました。何があっても英語の勉強だけはやめませんでした。

 2年生の夏にはその問題集を完成し、中学の復習を終えました。その後は、英単語帳を使って語彙力の強化や大学入試用の問題集に挑戦するようになりました。

私以外にも、いろいろな先生に協力してもらいながら2年生では英語検定の3級に合格し、3年生になってからは準2級にも挑戦しました。6月の試験で筆記試験に見事合格!でも、面接試験は残念な結果に…。10月の面接試験に再チャレンジ!私もわが子の合格発表のようにドキドキしながら結果を待っていました。しかし、またしても残念な結果に・・。

それでも、その子はあきらめませんでした。

卒業式を間近に控えた2月のラストチャンスにかけて、3年生がみんな自宅待機している間でも、学校に来て面接練習に取り組んでいました。そして、卒業式を終えた3月のある日、学校に合格を知らせる通知が届きました。

担当の先生から見せていただいた通知は、カタカナで記されたその子の名前と「合格」という文字がタイプされた簡単なものでした。しかし、その子が積み重ねてきた多くの努力を感じるとこができ、どんな名文よりも私を感動させる力がありました。「もっと英語を勉強して、留学もしたい」と、新たな目標を持って、その子は遊学館高校を巣立っていきました。

 私が所属する進路指導部は、生徒それぞれが自分の希望進路に応じ、県内の大学や短大、専門学校などを訪問する「学校見学」や、上級学校の先生方から勉強内容につて話を伺う「進路ガイダンス」など、様々な行事を実施しています。「百聞は一見にしかず」つまり、「見て、知って、実感することが未来を切り開くエネルギーになる」と思います。

人は目標を持つことで、それまでの自分には思いもつかないようなパワーや才能を発揮することができると信じているからです。今春卒業したその生徒ように、自分の未来を切り開くきっかけになって欲しいと願いながら、進路行事を計画しています。